神は細部に宿る
神は細部に宿る。
やっぱり、細部に宿る。
細部にこだわれないものは、琴線に触れない。
ホテルの部屋の備品というものはそこそこのレベルでよろし、と思えばいくらでも手をかけずに済ませられる。
至る所で “それなり” であればよろし。
見劣りはしないけれども、ハッと目を引くこともなく完結させられる。
しかしながら、
その先へ、
そのもう一歩先へと踏み込まないと見えない景色がある。
そしてまた、ゲストも知らぬ間に試されているのである。
ひっそりと出番を待つ、室内のあれこれから発せられる沈黙のメッセージ。
「あなたは、この部屋に潜む物言わぬ至極のプロダクトがもたらす価値に
一体いくつ気付き、そしてそれをどう愉しみますか」
とね。
独特のマットな手触りと甘すぎない色合いが絶妙。
これまたすごいのが、取手に人差し指を引っ掛けた時の持ちやすさ。
太い取手の内側は中央に向かうにつれて微妙に膨らみを帯びていて
指を通した時に密着感を生むらしい。
極めつけはコップのフチ。
飲むときに口にすうぅっと沿う。
「手づくりとプロダクトの境界にあるもの」というコンセプト
美しい、惚れ惚れする器。
続いてコーヒー。
シングルオリジン、直訳すると単一産地。
産地ごと、生産者ごとに細かくロットを分けたコーヒー。
よくあるコーヒー豆は地域ごとに混ぜられた、ブレンドで買われることがほとんど。そうなると農家にとっては、どうせ頑張っても他のコーヒーと混ぜられちゃうからさと頑張る意欲を失ってしまう。
そうして作られた豆は市場で買い叩かれてしまったり、年ごとの相場で価格が決まってしまい、農家にとっても存続が難しくなる原因にもなるそう。
シングルオリジンとして細かいロットで混ぜずに仕入れることで、生産者は収穫・精製の工程を工夫してフルーティな個性がある特徴豊かなコーヒー豆を試行錯誤して、その美味しさに応じた価格が支払われる。
winwin.
ものづくりはこうでなくっちゃ。
外観からエントランスといった共有スペースの素晴らしさは勿論のこと、
部屋の中で過ごす時間も果てしなく尊い。
良きホテル。
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