帝王切開の不安を解消してくれた医療者の対応の話。
帝王切開の不安
お腹の赤ちゃん、骨盤位(いわゆる逆子)が治らず私は帝王切開での出産を控えている。
いつ来るか分からない陣痛に何十時間も耐えれる自信もないため、ある程度の予定日を決められるほうが気持ち的な余裕も出て良かったりもする。ただ、通常の経膣分娩よりも帝王切開はリスクが伴うことも(医療者という立場からみて)嫌というほど分かるため、不安は尽きない。
しかし、赤ちゃんがきっとお腹の中でこの体位(逆子)が居心地いいのであれば、母は帝王切開を受け入れるしかない。やってやるー!!
毎回の妊婦健診の度に、着々と帝王切開の準備が進められている。
術前検査
先日、術前検査や麻酔科診察ががあった。
私は患者なんだけれど、医療者という立場もあり、色々思うところがあった。
術前採血。
「ボン太さん、中へお入りください」
→(お、忙しいのか?サバサバしたような口調の技師だな。)
中央採血室で、氏名を呼ばれ何度も氏名確認される。
→(面倒だけど、ちゃんと確認してくれて、しっかりした病院だなぁ!安心)
いざ採血。
その時、
何人も検査技師がいるのも関わらず、私の採血中に後ろの棚にあったタイマーが鳴ったため、採血中に検体から手を放し遠くのタイマーを止めにいく検査技師。
→ (わかるよ、別に手を放しても針は抜けないし、血もすぐには固まらないし、タイマー鳴ってるのを止めたくなる気持ちも分からなくないよ。でもさ、針刺しっぱじゃん、私動いたらどーすんの?針抜けるよ?ってか、他にも手が空いてる技師いんじゃん。私の採血真っ只中の貴方がタイマー止める必要ある?手放すかいな〜?)
何気ないたった一つの出来事から、声のかけ方やテープの貼り方、伝票の渡し方など、いろんなところが目について不安(不満)になった。
心電図測定。
さっきの技師と違って…優しい口調で案内される。非妊娠時なら、容易に動ける身体だが、妊娠後期ともなるとお腹デカくて身動きが取りにくいため時間がかかってしまった。
四肢を露出し、胸をすぐに出せるように準備し、腕時計も外した。
→(腕時計を外して下さいと説明なかったけど、一般人なら分からないんじゃないかな?)
技師が登場し、無言で手早く吸盤を貼り付けた。
→(ってか、ちゃんと付ける位置あってます?鎖骨の位置から確認とか、どこも触ってないけど、第4肋間みつけられてんの?私、職場の定期健診で同僚に裸見られるの恥ずかしいから、自分で適当に吸盤つけて測定した経験から、「ブルガダ症候群※の可能性あり」って出ちゃったもんだからさ。しっかり心電図つけてくれないと、また変な結果出たら困るよ〜)
※ブルガダ症候群とは、若年突然死の原因とされる不整脈の一種。私の場合は測定方法がNGで、後にちゃんと、調べたら否定されているので健康体です。
色々思うところがらありモヤっとしたけど、どこの病院もこんなもんだよなと思いながら、最後に麻酔科受付に行った。
看護師の対応
美人だし、丁寧だし、声の掛け方も抜群だし、貴方のような方を白衣の天使と、呼ぶのです〜!素晴らしい対応だった。言うことない。ただ、私が看護師ということがバレたため、オペ室入室からの流れの説明は省かれた。想像つくし、知っているから時間短縮で私的には問題ない。たぶん、私でもそうしてしまう。
こんな素敵な看護師になりたいない〜と思える女性であった。
麻酔科医の対応
麻酔科の先生には、帝王切開の不安を全てぶつけてきた。
・疼痛コントロールについて
ちゃんと時間で痛み止めをくれるのか、痛み止めをもらうために忙しい看護師を呼ぶのも申し訳ないし、自己管理させてもらえるのか。
・硬膜外麻酔をする時に局所麻酔を先にしてくれるのか
経験上、針を刺すのならば一度が良いという考えから一発穿刺の考え方の医者と皮膚周囲に極細の針で局所麻酔をしてから本穿刺をする医者の2パターン存在する。
私的には、後者でお願いしたい。
・術後早期離床は理解している。しかし、外科の開腹オペ後の患者を診てる経験上PCA(自己調節鎮痛法)をしていると血圧低下が起こりやすい印象があるが帝王切開でも同じことが起こるのか。
そもそも、産科にリハビリ処方はされないため、初めての離床は、自分一人で行う?血圧測定は?もし、DVTがあってPEになったら?蘇生できるスタッフはいるの?しっかり講習受けてる?PCPSやECOMを対応している施設?
・・・ICUでの経験上、産婦人科での急変はごく稀にあった。しかし、急変対応に慣れていないスタッフが多いのも目の当たりにしている。コードブルーがなり産婦人科病棟に駆けつけると、心肺停止の状態なのに蘇生を開始していない医師、看護師。それ、心停止だよ?波形読めてる?まず、蘇生しましょうか。ROSCしたらすぐにICUへ運びましょう。何度経験したことか。。。恐ろしい。。。
都内の大病院でも、そんなことは存在する。私がお産する病院では、そんなことがないことを願う。
など、一般の妊婦さんではそこまで思わないであろう、医療者側の視点からも、不安に思うことはぶつけてきた。かなり面倒臭い患者だ。
麻酔科医は、丁寧に説明してくれた。ネガティブな言葉は使わず、私の不安に共感しつつもポジティブ変換してくれた。
しかし、オペ日にこの先生が居るとは限らない。カルテに記録しておくねと言われたが、細かなニュアンス伝わる?当日、自分で言うしかない。
当日、もしくは破水、陣痛などが先に来て緊急オペとなってしまった場合も同様、どの麻酔科医に当たるかはわからない。
→ 麻酔のうまい先生でお願いします、とお願いすると、「みんな上手いですよ。」そりゃそう言うわな。
不安軽減できたのは
感じたことは、病気をしている患者、オペを受ける患者って、めっちゃ不安なんだということ。
そんな時に、医療者側の忙しさを全面に出すのは問題外だし、患者が納得するような説明も大事だし、その時の声のトーン、姿勢、目線、雰囲気で印象ってすごく変わるんだなと言うことを実感した。
私も仕事をしている中で、接遇・患者対応の仕方は気をつけている。しかし、10人中1人に対して、接遇が出来ていなかったとしたら、その1人はどう、思うだろうか。私は10人中10人が、満足してくれる医療が提供できるようにしていきたいと再認した。
品行方正、人の振り見て我が振り直す、いい経験となった。
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