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【日経】国の基金、5割が期限なし:データ元を探してみた


もし行政事業が破綻していたとして

黒木亮の小説『エネルギー』の序盤、通商産業大臣の堀内氏が、石油公団の財務資料を読む場面が印象に残っていた。
公団が出資した開発会社の決算書を読んでみたら、存続中の112の石油開発会社のうち、102が赤字会社。一兆三千億円の不良債権が存在し、いずれも公団の負担になるという内容。

仕事として行政に関わったことのない自分にとっては、「行政事業の管理・評価はどうなってるんだ?」と驚いた。
そんな中、目に留まったのが2023年10月29日の日経新聞のこちらの記事。

日経新聞:国の基金、5割が「期限なし」

気になった部分を要約すると、

・基金は本来なら予算を年度内に使い切る予算の単年度主義の例外。
・20~23年に(中略)総額28.8兆円の予算が確保。
・「行政事業レビューシート」などによると、20~22年度で「期限なし」としている国の基金の数は全体の半数にあたる59で、「10年以上」の超長期のものは25と全体の2割を占めた。

因みに小説の石油公団は特別会計に対して、基金は殆どが一般会計ということで、大分別の世界のお話(多分)。

行政事業レビューシートの在処

気まぐれに調べてみたら、まとめサイトのようなものが存在していた。
基金一覧みたいな感じで、期限毎にソートできるエクセルシートを勝手に想像していたら、各省庁のHPに飛んで基金毎にレビューシートが存在するらしい。

基金シート、DLしてみた。

概要から始まり、目標、成果、収支、執行の乖離の状況、点検・改善結果、支出先リスト等の項目が続きます。

事業概要の4類型(ここでは「取り崩し型」)、何となくのイメージは沸くものの、全て説明しろと言われると困る。

終了予定時期はここを参照しているのだろうか(ここでは「未定」)。

まさか日経新聞が一枚一枚DLして、確認しているとは思いたくない一方で、仕事とは往々にして泥臭いものだしなぁ・・・という思いもある。

しかしながら個人が自らの頭で思考し、行政を評価するというのは、本当に骨の折れる仕事である。勿論、全てを把握するなどということは不可能だし求められてもないわけだが。

国の基金、運営方針と足跡

国の基金そのものについて、少し調べてみたら、同じく日経新聞の記事がヒットした。先ほどの4類型についても解説してくれている。
「取り崩し型」は、そのまんま、基金を取り崩して事業にあてるタイプ。貸付・出資や、運用益で事業を行うケースもあるのね。
2014~19年度では8割が「取り崩し型」だそう。

言及せざるを得ないのがこのコメント。

14年6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針では新規基金の造成や既存基金への積み増しは財政規律の観点から厳に抑制するよう求めている

29日の日経新聞内のグラフが示すように(記事リンクのサムネでも見れます)、2020年から予算は急増しており、まさにサブタイトルの「コロナ後急増」が重みを増して感じられる。

事業毎のレビューは省庁でするとしても、基金全体のあり方をレビューするには限界がある。まさに黒木亮の小説にあるように、大臣(内閣)の手腕が問われるといったところでしょうか。

追記:翌々日の東京新聞にも報道がありましたので添付。

#日経COMEMO #NIKKEI #日経新聞


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