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今月の音楽 —2023/11 Mr.Children “miss you”
11月は、Mr.ChildrenのNew Album「miss you」について語らざるを得ない。
配信が開始された日から、ほとんど毎日聴いているmiss you。
個人的に本作は、これまでで最も自然体のMr.Childrenが表れているアルバムだと感じた。
そして、1曲目の「I MISS YOU」から最後の「おはよう」まで、全曲通して聴くことで、より真価を発揮するアルバムだと思う。
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初めてmiss youを聴いた感想は、「アコギが多い」と「アート=神の見えざる手がヤバい」だった。今までのアルバムとは全く毛色が違うと感じた。
スローテンポで音数の少ない楽曲が多いためか、1周目は正直、ちょっと退屈に感じてしまった。無意識のうちに、「生きろ」のような骨太のミスチルを期待していたのかもしれない。
しかし、2周目3周目と聴き続けていくうちに、ひとつひとつの曲に対する解像度が上がってきて、じっくりその深みを味わえるようになった。
本作は、全体を通してコンセプトと曲調に統一感があり、全曲合わせてひとつの作品であるように感じた。印象としては「深海」に近いかもしれない。
まず、miss youの楽曲には、常に日本の音楽シーンの第一線を走り続けてきたMr.Childrenの、音楽制作や表現活動に対する苦悩が随所に表れている。
何が悲しくって こんなん繰り返してる?
誰に聴いて欲しくて こんな歌 歌ってる?
それが僕らしくて 殺したいくらい嫌いです
求められるクオリティ 今日も必死で応えるだけ
「偶然」に助けられ なんとかやって来ただけのこと
望まれたことに応えたいだけ 刺激が足りないってみんな言うから
「酷い」とか「汚い」とか「卑怯」とか
その通り それも想定内です
また始めるには We have no time
焦る気持ちも 沸き起こっちゃう
だけどスキルは 尚も健在
まだまだいけんじゃない? とか思っちゃう
特にアルバムの前半〜中盤にかけて、このようなメッセージが多く見られる。これまであまり見られなかった、心境の吐露である。
30年以上バンド活動を続け、成功も挫折も味わってきたMr.Childrenだからこそ見える景色と、年齢を重ねてきた今抱える複雑な思い。どんな栄光の影にも葛藤はある。
一方で、miss youの楽曲には、日常の細部を高解像度で切り取り、その営みに希望や幸福を見出すシーンが数多くあった。
仕事終わりに飲むビールと 年老いた2匹の犬が
僕の帰りを待っている それだけで良い それだけで良い
「遠慮は要らねえぞ 思い切り掛かってこい」と息巻いて
子供の飛び蹴りが ミゾオチに決まって 体を屈める
小さな願いを 一緒に積み上げよう
背伸びしなくても明日を 見渡せる高さまで
一つずつ 丁寧に
駅前には自転車を置ける場所が あまりないから
歩いて駅まで向かおう その方が長く話せる
アルバムの中盤〜終盤にかけて、そういった歌詞が多く見られる。ともすれば見逃しがちな日常のワンシーンが、写実的に描写されている。
これまで日本のトップを走り続け、多くのリスナの期待に応えてきたMr.Children。
30年に渡って、迷いもがきながらも音楽を作り続けた先で彼らが見たのは、なんてことのない日常のささやかな幸せこそが、最も大切という境地なのかもしれない。
miss youには、彼らが辿ってきたそんなストーリーが、アルバム全体を通して表現されているように感じた。
荒んでささくれだった曲も、ぽっかりと温かい曲もあるが、どれも自然体でいることを選択した、今のMr.Childrenの真っ正直な気持ちだのだと思う。
寝苦しい夜 汗ばんで
張り付いた Tシャツのように
悪いイメージが 離れないぜ
こんな歌詞から始まったmiss youの最後が、
おはよう
これからはいつだって 君がいる
おはよう おはよう
おはよう おはよう
今日もきっと良い日だ
こんな希望の光に満ちた歌詞で幕を閉じていることを、嬉しく思う。
自然に解き放たれたMr.Childrenが、これから先どんな楽曲を提供してくれるのか、とても楽しみだ。
最後に、miss youに収録されている13曲の、個人的なランキングを発表する。
1. Are you sleeping well without me?
2. 黄昏と積み木
3. 雨の日のパレード
4. I MISS YOU
5. ケモノミチ
6. deja-vu
7. LOST
8. おはよう
9. We have no time
10. Party is over
11. 青いリンゴ
12. Fifty’s map 〜おとなの地図
13. アート=神の見えざる手
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