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本棚見ながら、語るだけvol.2

——さて、今回も始まりました「本棚見ながら、語るだけ」。むささびさん、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。

——本日も、ご自宅の本棚をお見せいただきたいと思います。

はい。
前回は、新潮文庫の本棚をご紹介させていただきましたが、今回は創元推理文庫角川文庫の本棚をご紹介します。

——楽しみです。それでは早速、よろしくお願いします。



創元推理文庫①

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東京創元社の創元推理文庫ですが、こうして本棚に並べたときの、背表紙の統一感が素晴らしいですよね。

——たしかに、著者によって背表紙の色が違う出版社が多い中、創元推理文庫の黄色い背表紙は、書店でも目を引きますよね。

ええ。もし「文庫背表紙ランキング」というものが存在するなら、創元推理文庫が第1位です。

——それでは、こちらのお写真にある作品についてお話ししていきましょう。むささびさんのおすすめはどちらでしょうか。

有栖川有栖さん「学生アリスシリーズ」と、市川憂人さん「マリア&漣シリーズ」の2強ですね。
「学生アリスシリーズ」は『月光ゲーム』から『江神二郎の洞察』の6冊、「マリア&漣シリーズ」は『ジェリーフィッシュは凍らない』から『グラスバードは還らない』の3冊です。

——どちらも、魅力的なキャラクターたちが活躍する、「シリーズもの」ミステリですね。

はい。ちょこちょこ文芸誌には掲載されているみたいですが、学生アリスの続編が書籍化されることを、心待ちにしています。



創元推理文庫②

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——続いても、創元推理文庫の本棚です。見たところ、米澤穂信さんの作品が約半分を占めていますね。

米澤穂信さんは、私が読書にハマるきっかけになった作家さんのひとりで、文庫化された作品はほとんど持っています
後ほど角川文庫の本棚で、私に読書の楽しさを教えてくれた、「古典部シリーズ」についてお話しします。

——それは楽しみです。さて、中町信さんの『模倣の殺意』や貫井徳郎さんの『慟哭』など、名作ミステリが並んでいますが、この中で特にお好きな作品はどちらですか?

梓崎優さん『叫びと祈り』です。
世界各地を旅する青年が訪れた国特有の謎に遭遇する、「異文化×ミステリ」というジャンルの作品なのですが、他のミステリとは違う独特の匂いを感じます。

——なるほど。海外を舞台にした異国情緒ある作品が好きな方は、きっと楽しめるミステリですね。

私は大学時代に外国語や海外文化を専攻していたので、この作品の趣向に、自分の好みががっちりハマったのだと思います。
少し違うかもしれませんが、「異文化×ミステリ」でいうと、米澤穂信さんの『折れた竜骨』も傑作ですよ。



創元推理文庫③&角川文庫①

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——こちらのお写真は、作品数が少ないですね。

ここは、本棚のスペースの都合で端数切捨てに遭ってしまった、創元推理文庫と角川文庫の作品をとりあえず置いている場所ですね。

——今最注目の英国ミステリ作家、アンソニー・ホロヴィッツさんの作品がありますね。特に『カササギ殺人事件』は、各所で大々的に取り上げられました。

東京創元社は、ホロヴィッツさんのような新進気鋭のミステリ作家を国内外問わず発掘する一方で、名著と称される古典作品の復刊にも力を入れていますよね。
本当に後世に伝えるべき作品を世に広めていこうという姿勢が、とても好きなんです。

——作品数は限られていますが、この中でのおすすめを教えていただけますか。

この中であれば……綾辻行人さん「Anotherシリーズ」です。
実は、綾辻さんの作品は長い間「館シリーズ」しか読んでいなかったのですが、最近になってAnotherシリーズを読み、やっぱり綾辻作品は面白いな、と。

——最近では、講談社文庫で「囁きシリーズ」が新装版化されていますし、綾辻さんの館シリーズ以外の作品への注目度が高まっていますね。



角川文庫②

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角川文庫の背表紙は、基本的な色やデザインは統一されていて、タイトル上部の◉と下部の帯に、著者ごとの色が割り振られています。
背表紙自体の色は桃色・青・緑など様々ですが、どういう基準で決められているのかはわかりません……。

——お写真を見ると、乙一さんの『失はれる物語』が一際目立っていますね。

個人的には、◉と帯で色分けをしているのだから、下地の色は統一してほしいとも思うのですが……創元推理文庫を見た後だからかもしれないですけど、統一感はあまりない印象です。

——むささびさんは、背表紙の統一感に重きを置かれているように感じますが。

私は装丁デザインが好きなんですけど、本棚に本を並べたときに見えるのは、結局背表紙だけですからね。

——たしかにそうですね。この中でおすすめの本はどちらでしょうか。

比較的最近読んだ作品で、上橋菜穂子さん『鹿の王』は、世界観と緊迫した展開に引き込まれました。
『水底の橋』も早く読みたいです。



角川文庫③

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——引き続き角川文庫の本棚ですが、思い出深い作品などありますでしょうか。

宮部みゆきさん『ブレイブ・ストーリー』は、幼き日のむささびが初めて読み終えた長編小説でした。
おそらく1000ページ以上あると思うんですけど、少しずつ読み進めていったことを覚えています。

——まだむささびさんが読書にハマる前の、前史のお話ですね。

森見登美彦さん『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』も、前史から繰り返し読んでいる作品です。
私が本を読み始めたのは母の影響が大きいのですが、これらの本はすべて母から譲り受けたものですね。

——本棚を見ると、その人が歩んできた歴史や、家族・友人・恋人との繋がりなどが浮かび上がってくることがあります。それも本棚の魅力のひとつでしょう。



角川文庫④

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——早いもので、本日最後のお写真となりました。印象深い作品について教えてください。

先ほど少し触れましたが、米澤穂信さんの「古典部シリーズ」は、私に読書の面白さを教えてくれた、恩師ともいえる作品です。

——古典部に所属する高校生たちが、学生生活の中に潜む「日常の謎」を解き明かしていくミステリですね。

謎がすごく緻密に作り込まれていて、やや切なさの残る読後感も良い。登場人物たちの掛け合いも、知的かつ非生産的で面白いです。

——海外の小説もありますね。見たところ、シリーズ作品がたくさん並んでいます。

ダン・ブラウンさん「ラングドンシリーズ」は、大学時代に夢中で読みました。
1年生のときにイタリア旅行に行ったのですが、その前後に読んで、イメージを膨らませて楽しんでいました。

——実在する場所が舞台の小説は、実際にその場を訪れたことがあると、一層面白くなりますよね。



——さて、名残惜しいですが、そろそろお別れのお時間です。むささびさん、最後に一言お願いします。

はい。
本日も私の本棚語りにお付き合いいただき、ありがとうございました。
こうして本棚を眺めていると、もう一度読みたい本がどんどん出てきて、困ってしまいますね。積読が際限なく増えていくようです。
また次回も、よろしくお願いします。

——こちらこそ、よろしくお願いします。それでは、また次回の「本棚見ながら、語るだけ」でお会いしましょう。ありがとうございました。



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