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本が好き、その想いだけで書く文章たち。
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#推薦図書

私が併読をすすめる理由。

本好きの皆さん、「併読」してますか? まず、併読とは何か。広辞苑を引いてみます。 このnoteでいう併読とは、2冊以上の本を、同時並行で読み進めることを指します。 本の読み方は人によって千差万別ですが、大きく「併読するか/しないか」に大別できます。 複数の本を同時に読み進める”併読派”。一冊の本を読み終えるまで別の本に移らない”熟読派”。 皆さんは、どちらの読み方で読書をされていますでしょうか? 私は、生粋の”併読派”です。 それも、「読んでいる本に飽きたから、

どっぷりハマる、SF沼。 【おすすめSF長編3選】

小説は何だってできる。人間が想像できることは、何だって。 どんなに突飛な超常現象も、銀河を駆ける星間戦争も、時間や空間を超越した恋愛劇だって、実現できる。小説に限界は存在しないのだ。 今回は、おすすめの長編SF小説をご紹介。 壮大な世界観に圧倒され、予想外の展開に翻弄され、主人公の覚悟と勇気に、胸を熱くさせられる。 そんな読み応え充分のSF作品を、3つ揃えた。気になる作品があれば、ぜひチェックしてみていただきたい。 デイヴィッド・ミッチェル|ボーン・クロックス英国の

爆ぜる文学性。”エモい本”を読んで、感情を揺さぶろう

皆さん、感情、揺さぶってますか? 平日は仕事に行って帰るだけ、休日はずっと寝ているだけ、そんな単調な日々をお過ごしの方も、もしかするといらっしゃるのではないでしょうか。 そんな感情の起伏の少ない日々に、一筋の光を差し込んでくれるのが、”エモい本”。 感情を揺さぶるようなエモい本を読むことで、忘れかけていたあの頃の気持ちが蘇る——今回はそんなnoteです。 ”エモい本”とは? 最近よく使われるようになった「エモい」という言葉。 実はこちら、『三省堂国語辞典』に収録さ

人に本を勧めるのは、実は結構難しい。

「趣味は読書です」と公言していると、よくこんな質問を受ける。 実際にこの質問を受けたことがある人はお分かりかもしれない。 これ、こんな軽いノリで聞いていい簡単な質問とちゃうで。 おすすめしたい本はたくさんあるけれど、いや、おすすめしたい本がたくさんあるからこそ、この質問に即座に答えるのは、実は結構難しかったりする。 人に本を勧めることは、ひとつのスキルだと思う。 ただ自分が好きな本を勧めても、なぜか相手の心に響かず、会話が盛り上がらない……なんてことがよく起こる。聞

私の価値観を変えた本

普段はほとんど小説しか読まないのだが、ごく稀に、何かの拍子に、ちょっとした奇跡が重なって、自己啓発本を読むこともある。 大抵は右から左に読み流すだけで、内容が頭に残ることは滅多にない。これはひとえに、私が真面目に読んでいないからである。もう少し真面目に読んでほしい。 それでも、これまたごく稀に、何かの拍子に、奇跡が奇跡を呼び、私の人生における価値観をガラリと変えてしまうような本と出会うことがある。 世に数多ある自己啓発本。 結局どれを読んだらいいの……? と途方に暮れ

声に出して笑える本

笑うことは、幸せなことだ。 笑顔でいることは、それだけで日々を豊かにしてくれる。 そして、声に出して笑うことは、とても気持ちがいい。些細なストレスなど、どこかに吹き飛んでしまう。 皆さんは、「笑える本」と聞いて、どんな作品を思い浮かべるだろうか。 「笑える本」と銘打って販売されている本は、世の中に数多くある。 しかし、本当に「声に出して」笑えるような本は、実はごくわずかだと思う。 心の中で笑ったり、少しにやけたりすることはあるけれど、思わず笑い声が漏れてしまったと

読書でイタリア探訪 〜前編〜

私にとってイタリアという国は、大学で歴史や文化について学んだ国であり、留学生として10ヶ月ほど暮らした国であり、日本に次いで馴染みのある国だ。 そのため、イタリアに関する本を手に取ることが多い。書店で「イタリア」の文字を見かけると、目が吸い寄せられてしまう。 読書でイタリアを旅する。 そんなテーマで選書した作品たちを、前後編に分けてご紹介したい。 内田洋子さんのエッセイ 内田洋子さんのエッセイは、「今日も、読書。」でこれまで何度もご紹介してきた。どの作品も、本当に良

ちりつも読書

「塵も積もれば山となる」という諺がある。 わずかな物も、積もり重なれば高大なものとなることのたとえだ。 私は普段、「ちりつも読書」をしている。 「塵も積もれば山となる」を略して「ちりつも」である。 夜寝る前の10分間、1日数ページずつ本を読む。1回の読書量は少ないけれど、塵も積もれば山となる方式で、毎日続けるうちに頭に入ってくる。 ちりつも読書は、忙しくて本を読む時間が取れない人におすすめの読書方法だ。1日1ページだけ読めば良いので、隙間時間を活用して続けられる。

本を贈ろう

誰かに本を贈るのは、難しい。 本は、個人的なものだと思う。どんな本を読むかは、その人がどんな考えを持ち、どんな生き方を選択しているかに直結する。 相手が喜んでくれる本、相手が望む本は何かを考え始めると、あっという間に時間が過ぎる。本を贈るためには、相手のことをよく知らなければならない。この世に無数に存在する本の中から、ぴったりの一冊を見つけ出すのは、非常に難しい。 でも、誰かに本を贈るのは、素敵なことだ。 幼い頃に読んだ絵本のことを大人になってもずっと覚えている、とい

あの感動を、もう一度。【異国が舞台の長編小説】

読書をしていると、「全く同じとは言わないまでも、この小説と似た作品が読みたい……!」と思うことがよくある。 自分好みの良作を読み終えた時、感動や満足感に浸るのと同時に、初読時の新鮮な感動はもう二度と味わえないのだという、一抹の寂しさを感じるのは、私だけだろうか。 記憶を消して、もう一度読みたい。 読書をしていて、何度そう願ったことだろう。しかし残念ながら、その願いは叶わない。記憶を消すことは、今の科学技術では実現できない。 それならせめて、「似ている作品」が読みたい。

非常事態、それでも紡がれる文章。 〜後編〜

新型コロナウイルスの流行、ロシアのウクライナ侵略。現代は、未曾有の非常事態下にある。 それでも人は、言葉を欲する。言葉を紡ぎ、言葉を運び、言葉を受け取る。 今回ご紹介するのは、非常事態の最中で書かれた作品だ。辛くて苦しい、明日に希望を見出すのも難しい状況で、それでも、書かれるべくして書かれた文章。その力強さに圧倒される、そんな読書体験だ。 ↓前編をまだお読みでない方は、こちらからご覧ください! ウクライナ戦争日記 2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ

非常事態、それでも紡がれる文章。 〜前編〜

言葉を紡ぐこと。紡がれた言葉を読むこと。 人類は、いついかなる時も、どんな非常事態であっても、言葉を伝える営みを続けてきた。 人間には、自らの考えを言語化し、他者に伝えたいという強い欲求がある。自身の言葉を第三者に、後世に届けたいという強い意志がある。 その思いは、実は非常事態においてこそ、最も強まるのかもしれない。 緊迫した状況、危機的な場面、絶望の淵。 そんな非常時に紡がれた文章には、人の心を揺さぶる力が籠っている。 太宰が晩年に残した「人間失格」や「桜桃」な

不可逆の歴史のうねり、中東の地で|今月のむささび選書

みなさん、こんにちは。 むささびです。 9月も、たくさんの素敵な作品と出会いました。 今回はその中でも、特に印象に残った作品たちをご紹介します。 ■恐ろしくも味わい深い余韻、余韻、余韻。 まずは、北山猛邦さんの『さかさま少女のためのピアノソナタ』です。 『「クロック城」殺人事件』から始まる新本格の流れを汲んだミステリや、「ダンガンロンパ霧切」のノベライズなどで知られる、北山猛邦さん。 本作は、そんな北山さんによるミステリ短編集。 あらすじにもあるように、物語の謎

『本の虫の本』——本好きのための用語辞典

みなさん、こんにちは。 むささびです。 読書に関するnoteの投稿を始めて、約半年が経ちました。 こんな拙い文章のnoteを読んでくださり、本当にありがとうございます……! 今回は、実はあまり(一度も?)やってこなかった、一冊の本にテーマを絞った本紹介をしようと思います。 本の虫、集え早速ですが、今回紹介する本はこちら。 「本に埋もれて、生きる。」 本好きの夢を代弁した、素敵なキャッチコピーですね。 このnoteを読んでいる方は、ほとんどが「本の虫」なのではな