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ミツモアCMをきっかけに明確化した「プロジェクト進行の課題」を、インセプションデッキを使って改善するまで

ミツモアでテックリードをしている白柳広樹です。

ミツモアでは、常に複数のプロジェクトが同時進行しています。具体的には、「依頼」「依頼後のやりとり」など機能ごとに開発チームが分かれていて、デザイナーは各チームを横断するように、プロジェクトへ参加しています。

組織規模が今よりも小さかったころは、そのやり方でも臨機応変に動けていました。しかし、メンバーが増えるとともに「ばらつき」が出始めたのです。そこでインセプションデッキを含めたリリースまでのフローをミツモア流にアレンジし、プロジェクト進行をするようにしました。

今回は、プロジェクト進行フローが改善されるまでの過程、その中身をご紹介します!

白柳広樹
ヤフーにてヤフオク!の運用・基盤開発などを経て、フロントエンドのプラットフォーム刷新のPMとして主導。ミツモアでは、テックリードとして、プロダクト開発からインフラに至るまで多岐にわたって対応。
Twitter: https://twitter.com/yanaemon169
GitHub: https://github.com/yanaemon

「マネージャーそれぞれの進め方」で問題はなかった。しかし…

冒頭でもお伝えしたとおり、ミツモアでは機能ごとに開発チームがわかれていて、デザイナーは各チームを横断するようにプロジェクトへ参加していました。

各チームでは、マネージャー自身の知見や経験に基づいたやり方で開発を進行。さらに、プロジェクト内容によっては「デザイン不要」「軽いレビューのみで終わる」などもあり、PMとデザイナー、エンジニアの連携タイミングもバラバラだったのです。

以前までは、メンバー数も少なかったため並行して動くことができていました。とはいえ、チームを横断して動くデザイナーたちの負担が増えつつあると感じていたのです。何とかしなくては…と考えていたところ、これらの課題が一気に顕在化するきっかけが訪れました。それが「CM放送に伴うミツモアTOPページリニューアル」です。

ミツモアは自社サービスであるため、今までは、必要があれば質のいいものをリリースするためにスケジュールを多少ずらすことも可能でした。しかし、CM放送日はずらせない。そのなかで、以前までのやり方でTOPページリニューアルを進めていたところ、認識のズレによる手戻りが多く発生し、後半にかけてバタバタしてしまいました。

開発自体は、多くのメンバーによる協力を得て無事に完遂。同時に「このままではいけない」という考えが、関係したメンバー内でも確固たるものになりました。

プロジェクトごとの共通認識と連携タイミングを固めたい

プロジェクト終了後、KPTなどを経て問題点を洗い出しました。話し合いのなかで共通していたのは以下のポイントでした。

レビューやMTGがばらばらのため「いつ参加すべきか」「レビューはいつまでに終わらせるか」が不明瞭

つまり、連携タイミングの認識が曖昧ということですね。

当然ながら、プロジェクトにおける共通認識は全員が持つべき。これまでもそういったポイントは設けていましたが、チームによってばらついていては、横断的に参加しているメンバーにとっては負担が大きくなってしまいます。さらに言うと、エンジニア間だけでは「どこが手戻りしそうか」をすべて把握するのは難しい。「レビュー時に見るべきポイントも明確にしたほうがいい」という声もありました。

「各チームのマネージャーが持つナレッジをうまく集約しつつ、プロジェクト進行するうえでのベースとなるフローをつくろう」

僕とミツモアCTOである柄澤史也で話し合い、インセプションデッキをもとにしたプロジェクト進行フローを作成したのです。

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インセプションデッキをもとにした「ミツモア版プロジェクト進行フロー」

そして、仕組みを改善した結果、出来上がったのがこちらのフローです。

プロダクト開発の大まかな流れ

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キックオフ>
・インセプションデッキの作成(テンプレートを別途用意)
プロダクトの目的を明確化する
・キックオフの実施
必ず関係者全員を呼ぶこと

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<プロダクトデザイン>
1. 基礎調査
・顧客からのリクエスト
・競合の分析
・ユーザー調査
2. ゴール・ロードマップの策定
・方針策定:インセプションデッキを具体化する
背景/目的/ペルソナ/ユーザーストーリー(User Story Map作成・プロダクトバックログ洗い出し)/キーメッセージ・キャッチコピー (インセプションデッキで書いた概要を詳細化)/プロダクトの方針(最終目標とファーストリリースそれぞれで実現すること )(プロダクト施策のやるやら )(サイトのイメージに大きく影響を与える素材はこの時点で検討)
・KPI 指標
・ロードマップの作成

========== 全体一度レビュー ==============

<デザイン>
・ユースケース
・ワイヤーフレーム
・必要な素材の洗い出し
(アイコン、イラスト、画像、アニメーションなど)

========== デザインレビュー ==============

・必要に応じてワイヤーフレーム段階でのレビューも実施する
・開発も参加し、技術的な制限がないか確認する
・できる限り実機に近い表示で確認すること→figma で SP View がある場合、手元のスマホで確認すること

ここでのチェックリスト

□ アイコンやイラスト、画像は画像サイトから選ぶか?作成するか?
□ 画面サイズが変わった場合に見にくくないか?、小さい端末の場合画面内に収まるか?
□そもそも技術的に実現可能か?

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・本デザイン
・プロトタイプ作成

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ユーザーインタビュー(任意)

========= デザイナー & 開発レビュー ==========

開発観点でデザイン段階で必要な事項はないか?を予め共有する

ここでのチェックリスト
□ インタラクション (例: hover の挙動)
□ 文字数が多い場合やデータがない場合の表示
□ レスポンシブデザイン
□ SEO 対策

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<開発>
・要件定義
・内部設計
・受け入れ条件の洗い出し

========== 設計レビュー ==================

ここでのチェックリスト
□ 将来的な負債になってしまわないか?負債になってしまうとしても修正予定が組み込まれているか?
□ 修正により他の機能への影響はないか?

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・実装
・テスト

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<リリース>
・staging 環境で確認ができるようになったら受け入れテスト実施

========== リリースレビュー ===============

ここでのチェックリスト
□ わかりにくい表記はないか?

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(以上)


強調したいのは、「あくまでもガイドライン」であること。プロジェクト内容によって省く項目もあると考えています。

そして、仕組み改善では「レビューポイントを早めに設けること」「プロトタイプづくりに時間を使えるようにすること」の2つを意識しました。

CM放送に伴うミツモアTOPページリニューアルで最も課題になったのは「手戻りの多さ」。それをなくすためには、デザインの手前であるアイデアベースのタイミングで一度レビューを設けるなど、デザイナーには早い段階から参加してもらえるようにしました。もちろん、そういった動きが不要なプロジェクトもありますが、その場合はキックオフの時点でいつ何を聞くべきかを明確にします。

もう1つが「プロトタイプづくりに時間を使えるようにすること」。実際に動く様子を見たら想像と違った…なんてことはよくあります。端末で動く様子を見られるよう、プロトタイプづくりにも時間を使えるようにしました。

エンジニアリングで培ってきた手法をプロジェクト進行へ活かせるのは強み

実は、デザイナーの1人がヨーロッパに住んでいて、時差があるなかでプロジェクトに参加していました。きっかけはCM放送に伴うミツモアTOPページリニューアルですが、こういったメンバーも参加していたことから、より「レビューのタイミングを何とかしたい」と考えていたのでした。

そしてプロジェクト進行の仕組み改善をした結果、「なぜやるのか?」の認識をより固めてからスタートできるようになりました。数字的なものを計測していないのではっきりしたことはわかりませんが、特にPMやデザイナー、エンジニアの連携タイミングが明確になり、認識のずれによる手戻りを減らせたと感じています。

ミツモアでは、エンジニアもプロダクト開発に密に関わることが多く、自分もエンジニアxPMとして兼任することが多かったからこそ、ほかの案件でも「開発での手法を使えないか?」とさまざまなアイデアもよく飛び交っています。このあたりは、ミツモアならではかもしれませんね。

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今回はプロジェクト進行フローが改善されるまでの過程のエピソードをご紹介させていただきました。

私の働くミツモアでは、現在事業拡大を進めており、エンジニア・デザイナー・PdMをはじめ多くの職種で積極採用中です。
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