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meetALIVE Vol.16 目利きの澤円とスタートアップ│イベントサマリー

澤円さんが独断と偏見で選んだ“ヤバい”ゲストと共に、ヤバいスタートアップや事業について語るmeetALIVE Vol.16。

投資家が思わず唸るスタートアップとは?成功する事業の共通点とは?澤円さんの目利きの軸となる“ヤバさ”を掘り下げます。

【モデレーター・プロフィール】
・澤 円(さわ・まどか)
(株)圓窓 代表取締役就任。数多くのスタートアップの顧問やアドバイザを兼任し、グローバル人材育成に注力している。企業に属しながら個人でも活動を行う「複業」のロールモデルとなるべく活動中。また、美容業界やファッション業界の第一人者たちとのコラボも、業界を超えて積極的に行っている。テレビ・ラジオ等の出演多数。Voicyパーソナリティ、琉球大学客員教授。
Twitter:@madoka510
【ゲスト・プロフィール】
・小石 祐司(こいし・ゆうじ)
大学卒業後、株式会社オプト・株式会社マクロミルにてマーケティングを学ぶ。2016年2月に医師菊池・医師名倉と出会い、ファストドクターを創業する。新型コロナウイルス対策として、4月14日に『救急オンライン診療』を立ち上げ、医師と共に24時間体制で業務に励む。

・佐藤 英丸(さとう・ひでまる)
1980年米国スタンフォード大学大学院卒業。95年にシチズン時計株式会社の米国現地法人代表。97年にAOLジャパン株式会社の代表取締役に転進。2003年4月、メディア·メトリックス·ジャパン株式会社CEO、その後、米国ダブルクリック社の100%出資によるアバカス·ジャパン株式会社の代表取締役社長、エクスペディア·ジャパン株式会社の日本法人代表、コムスコア·ジャパン株式会社の代表取締役を歴任。2014年9月より、米国サンフランシスコ本社のbtrax incの日本法人シニア·アドバイザーに就任し、経営に参画すると同時に日本企業のイノベーション創出のサポート、スタートアップ企業の支援などにも携わり現在に至る。

・佐藤 和男(さとう・かずお)
早稲田大学法学部卒、シンガポール国立大学経営学修士(MBA)。マイクロソフト、リクルート、ジョブウェブを経て、2008年より株式会社ビズリーチに創業メンバーとして参画。即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」を中心とした採用支援事業の立ち上げを行う。海外事業や子会社の立ち上げ、CS本部長、人事企画部長、人財組織開発部長などを歴任。直近は社長室にて全社横断のプロジェクトに関わる。

人を幸せにするビジネスは成功する――ヤバさの根源

澤円(以下、澤) 「まずはゲストの皆さんが携わる事業について教えていただきましょう。英丸さんが勤めるbtrax(ビートラックス)は、サンフランシスコに拠点を置くデザイン会社ですね」

佐藤英丸(以下、英丸) 「btraxは昨年15周年を迎えました。スタートアップがひしめくサンフランシスコ界隈では、非常に長く続いている会社です。会社名は『企業のB面を支えたい』という想いが由来です。

事業の主軸は日本企業の米国参入サポートですが、大手企業を中心に、新規事業開発のサポートにも力を入れています。開発チームにサンフランシスコを体験してもらうことで、グローバルで展開し得る新規事業やプロダクトの視点を学んでいただくプランを提供します」

澤 「btraxのCEOであり、僕の大親友でもあるブランドン・ヒル氏は、端的に言えば変態ですよね(笑)。世の中を面白く、より良くしたいというパッションがあふれている。btraxはどんな理念を掲げて社会課題に取り組んでいるのでしょうか?」

英丸「お客さんを幸せにすること。この1点に尽きます。良いビジネスやサービスの共通点は、事業を作るチームもお客さんも、全員が幸せであることなんです。大げさかもしれませんが、世界中のすべての人を幸せにすることをモットーに、ユーザー・エクスペリエンスの観点から事業を展開しています」

澤 「ありがとうございます。一方、和男さんは国内の“ヤバい”起業家の右腕として創業に携わったご経験がありますよね」

佐藤和男(以下、和男)「はい、ビズリーチを生み出した南壮一郎です。ビズリーチは、南自身の転職経験の不満から生まれた事業です。転職サービスが求職者のためのサービスではないという彼の指摘は、実に的を射ていました」

澤 「でも、たとえ正しい課題設定があっても、何者かわからない創業者についていく決断は難しいものでは?彼と他の起業家の違いは何でしたか?

和男 「南には圧倒的な行動力がありました。彼は国内外の転職市場をリサーチし、自分の考えた転職サービスが海外には既にあることを突き止めます。さらに、その社長にわざわざ会いに行ったんですよ。はるばるニューヨークまで。こいつは本物だ、と思いました」

澤 「ちょっとネジが飛んでいることが、仲間を集める起業家の共通点かもしれません。小石さんは医師である菊池さんとの連携を通じ、医療業界のスタートアップを始められたんですよね?」

小石祐司(以下、小石) 「もともと僕はウェブ制作会社を経営していたんです。はじめは新規の病院のLP制作案件を請ける形で菊池と出会ったわけですが、訊いてみると彼は病院のオペレーションやシステムについてほとんど準備していなくて(笑)。

病院経営の悩みを聞きながらクリニックの準備を進めるうち、患者さんの悩みを解決し、かつ医師にとってもメリットのある新規事業の構想が生まれていきました。僕の持つITの知見が、偶然にも医療業界の課題を解決する糸口になったんです」

澤 「こうして聞いていると、創業者はみんなかわいげがありますね。抜けがあるから、その抜けを補うパートナーを引き寄せていくようです」

アーリーフェーズのヤバい裏話

澤 「ゼロから事業を立ち上げたからこそ経験できた、アーリーフェーズの裏話も聞かせてください」

小石 「自信満々でファストドクターをリリースしたものの、初日は1件も予約が入りませんでした。医師の皆さんと沈黙して待つ時間の長かったこと……とんでもない失敗事業を生み出してしまったかも、と反省しました。ようやく入った往診予約で、今度は医師である菊池がビビっちゃって(笑)。初診で往診なんて日本初の試みですから、家に行くのが怖いって。僕がついていきました」

澤 「今の姿からはまったく想像できない裏話……!ファーストユーザーとの対面も、スタートアップならではの経験ですね。和男さんがビズリーチを創業したときは、何かトラブルがありましたか?」

和男 「わたしたちが創業したのは、ちょうどリーマンショックの時期だったんです。周囲はこんな時期に起業して大丈夫かと心配していました。実際は、混乱の時期だからこそライバルが少なかったんです。振り返れば、時代が味方してくれたと思いますね」

コロナ禍のスタートアップが目指すべき道

澤 「現在は、リーマンショック以上のコロナの混乱が、世界規模で私たちの価値観をリセットしつつあります。この時代にスタートアップがビジネスを成長させていくためのアイデアはありますか?」

英丸 「まず、元の世界に戻れるという考えは捨てましょう。この数ヵ月で生まれた働き方やスタイルを、これからの事業に活かしていくことが大切です。

事業展開のヒントとして、日本のITには課題が山積みであることがコロナ禍で明らかになりました。ITを理解できない人たちを幸せにするためのビジネスは、新しい時代を作る礎となるでしょう」

澤 「新規事業ジャンキーの集まりともいえるビジョナルは、どうでしょう?コロナ禍で意識していることはありますか?」

和男 「リーマンショック同様、コロナ禍も新しいことを始めるチャンスと捉えています。実際に、あらゆる業界で新しい時代に向けた実験が行われています。詳しいことは言えませんが、私たちは国内外の動向を徹底的にリサーチしたうえで、新時代にどのような事業を展開するか考えています」

澤 「ファストドクターは、まさにコロナ渦の中心ともいえる事業を展開していますが、どのように対応していますか?」

小石 「『発熱患者を断らない』という理念を掲げて対処しています。病院の形態や規模によって、コロナ禍で抱える課題は大きく異なります。ファストドクターはメインユーザーが30~50代と若く、高齢者と比較して対応にリソースがかからない強みがあります。こうした企業の強みを生かした対処も、Withコロナの時代には必要でしょう」

マネジメント層から見たヤバい事業とは?

澤 「次に、マネジメント層の視点から見たヤバいスタートアップについて聞きます。どうしたらマネジメント層やVCを唸らせることができるのでしょうか?」

英丸 「たとえ天才児ひとりで始めても、ビジネスはひとりだけで成立しません。そこで、マネジメント層が見るのは下記の5つの力が備わっているかどうかです」

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英丸 「ビジネスには関わる人々のトラスト&リスペクトが非常に重要です。5つの要素すべてをひとりの起業家が持つのは難しいかもしれませんが、この5つを念頭に置いて行動することが周囲へのアピールにつながり、支援者を増やしていく契機となるはずです。

ちなみに、澤さんはどんな見分け方をしますか?」

澤 「かわいげのある事業や起業家は魅力的ですね。また、おそらくここで失敗するだろうなと想像できる事業のほうが、周囲が手助けしやすい。

だいたいそういった起業家はカンがいいので、自然と出会うべき人と出会い、課題を解決して事業拡大していきます」

“ヤバい”=“Sick”の領域へ――アフターコロナの起業家よ、突き抜けろ

澤 「では最後に、それぞれから起業を志す方々にメッセージをお願いします」

英丸 「起業の鍵を握るのは『人』です。考えているビジネスが誰をどう幸せにするのか、しっかりイメージしてください。そのために周囲にいる人を尊敬し、信頼することから始めましょう。そして、信頼され、尊敬される行動をとってください。その積み重ねが、あなたのビジネスやネットワークをより良くしていきます」

和男 「逆風も順風も風は風。この言葉を、これから挑戦する人に贈りたいです。困難の多い時期は、それだけ大企業とつながるチャンスが生まれます。この新型コロナウイルスの影響をポジティブに捉え、推進力に変えましょう」

小石 「スタートアップは人生そのものです。周囲の風景を見ているとゾクゾクしますよね。自分の目に入るすべてのものが、誰かの新規事業なんですから。コップ一つだって、誰かの生み出したプロダクトです。その熱量を感じながら生きていると、意欲がわいてきますよ!」

澤 「……今の小石さんの言葉、相当ヤバかったですね(笑)。私からは、英丸さんが所属するbtraxの経営者、ブランドン氏の言葉を贈ります。

たとえ良いプランでも、投資の決定打をつかめない事業があります。そこに足りていないものは何でしょうか?

VCの間では、よく『She(or He)is not enough crazy.』という表現が使われます。ブランドン氏は、この“crazy”の上位概念として”sick”を掲げています。つまり、『こいつヤバい、まじでビョーキ』って思わせたら勝ちということです。

まじめに何かを成功させなくたっていい。ビョーキだと言われるくらい振り切ったほうが、人生は楽しいですよ。笑われるかもしれないと不安になるアイデアは、むしろ積極的に発信すべきです。妄想を爆発させて、ヤバい事業を生み出しましょう



ライター 宿木雪樹 @yuki62533
meetALIVE プロデューサー 森脇 匡紀 @moriwaking
meetALIVE コミュニティマネージャー 小倉一葉 @osake1st


meetALIVEとは…

meetALIVE(ミート・アライブ)は、「今、会いたい人に会える」を目指すコミュニティプロジェクト。
「毎日をより楽しく、世界をより豊かにしよう!」と挑戦を続けるイノベーター達と語らう企画を用意しています。

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