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meetALIVE Vol.17 先駆者と語る!リモートワークのマネジメント徹底議論│イベントサマリー

meetALIVE視聴者の多くが注目していたトピックのひとつが、「リモートワーク」です。今回はコロナ以前からリモートワークを導入し、実績や収益に結びつけているゲストをお招きし、リモートワークを強みとするマネジメントの秘訣を探ります。リモートワークが“当たり前”になった経営層の視点から語られる現場の話は、そのヒントに満ちていました。

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【ゲストスピーカー・モデレーター】
畠山 友一 氏 (Bizer株式会社 代表取締役)
富士通株式会社にてシステム開発に従事し、その後株式会社リクルート、株式会社ネクスウェイにて企業の業務効率化やマーケティング支援などに従事、2011年にグリー株式会社に入社、グリーアドバタイジング株式会社の代表取締役に就任。2013年にBizer株式会社を設立し、企業向けバックオフィス効率化ツールの「Bizer」、チームのタスク管理ツール「Bizer team」を開発、運営。2019年にパーソル プロセス&テクノロジー株式会社に全株式譲渡し、パーソルグループにて引き続き「Bizer team」の開発、運営を担う。
【ゲストスピーカー・パネリスト】
石倉 秀明 氏 (株式会社キャスター取締役COO、株式会社bosyu代表取締役)
700名超のメンバーがフルリモートで働いている株式会社キャスターの取締役COO。2005年、株式会社リクルートHRマーケティング入社。2009年には株式会社リブセンスに転職し、求人サイト「ジョブセンス」の事業責任者に。
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)を経て、2016年より現職。2019年7月からはかんたん募集サービス「bosyu」を運営するbosyu社の代表取締役も兼任。

石野 幸助 氏 (株式会社INST代表取締役)「連絡が取れない」を解決するSMSやクラウド電話サービスを提供する株式会社INSTの創業社長。2005年に株式会社インテリジェンスに新卒入社。その後人材ベンチャー→モバイルITベンチャーを経て2015年に株式会社INSTを設立。独立資本・マイルド経営をポリシーにたまにバズる辛口ブログと口コミのみで400社を超える法人顧客を開拓。2017年に東京神田から千葉県千葉市に本社を移転。※INST Blogはこちら→ https://blog.inst-inc.com/  趣味は船釣り(年間50回以上)

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Bizer株式会社代表取締役であり、パーソル プロセス&テクノロジーの営業統括部長を兼任する畠山さん。リモートワークに注目が集まる昨今、彼の独特の働き方がメディアで話題になりました。

コメント 2020-06-03 182216

畠山友一(以下、畠山) 「私は普段からキャンピングカーにノートパソコンを持ち運んで働いています。コロナ以前は旅先で海を眼前に眺めながら働くなんてことも。今は自宅の駐車場に停めていますが、家と区別されながら徒歩0分の空間でリモートワークできるので、快適です。

さて、今回のゲストにお招きしたのは、それぞれ異なる企業規模で柔軟なリモートワークを実践しているお二方です。それぞれ簡単な事業紹介とリモートワークへの取り組みをお聞かせください」

石倉秀明(以下、石倉)「私がCOOを務めるCASTERでは、全社ほぼリモートワークを採用しています。わたしが実際に会ったことのある社員は700人中2~30人。本社にひとりでたどり着けるか不安だと冗談を飛ばせるくらい、リモートワークが定着しています。

メンバーは45都道府県、16か国に点在しています。規模としては日本一、世界でも三本の指に入るリモートワーク企業です。雇用形態や居住地によらず、仕事の成果によってのみ従業員を評価する制度を取り入れていることでも注目されています」

石野幸助(以下、石野)「わたしがリモートワークの可能性に興味を抱いたのは、石倉さんと出会った2015年です。以降フルリモート化を進め、約2年前に東京本社を解約しました。

私が代表を務めるINSTは、企業のコミュニケーション課題を解決するIT企業です。自由度高く従業員が生きられることを重視する組織であり、外部資金調達に頼らず短期黒字化、以降黒字経営を維持しています。400社超の顧客をアウトバウンド一切なしで開拓したことは、自慢のひとつですね」

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畠山「まず、お二人にオフィスについて聞いていきます。石野さんは東京オフィスを解約し、ご自宅に近い千葉に本社を移転していますね」

コメント 2020-06-03 190018

石野 「はい、神田にオフィスがあったころから、フルタイムだったのは僕とCOOだけだったのですが、当時週1回はエンジニアが出社していました。千葉にオフィスが移転してからは出社頻度がさらに下がり、現在は約半年ほどメンバーとは会っていません

石倉 「CASTERも渋谷オフィスは解約しました。現在は個室を必要とする取引先のために3席分だけ都内スペースを借りていますが、郵送物などの拠点は宮崎オフィスに集約しつつあります」

畠山 「私自身もオフィスの解約を決めました。こうして聞いているとオフィスの意義は大きく変わってきたのかなと思いますが、改めて、オフィスにはどのような価値があると思いますか?」

石倉 「オフィスの役割は二つあります。

ひとつは、その会社の企業文化を体現する従業員の背中が見えること。説明せずとも理念や文化の伝わる空間には、一定の価値があります。

もうひとつは、偶発的なコミュニケーションを生み出すことです。成功する企業のオフィスは、ビジネス以外の会話が生まれやすいようなス空間作りにこだわっています。何気ないことも話しやすい、軽く相談しやすいことは、チームにとって大切です」

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畠山 「何気ないコミュニケーションの大切さは、リモートワークに取り組んで改めて気付きます。Bizerはこれまで週1回は会社に集まっていたのですが、その機会すらコロナ禍でなくなることで、徐々にメンバー間にズレが生じてきました。現在はオンライン上で雑談タイムを作ることで、その問題を解決しています」

石野 「私たちは来社頻度を下げたことで、逆に密度の濃い雑談タイムが取りやすくなりました。来社が月2回のときはミーティング後すぐメンバーが帰ってしまっていたのですが、月1回にしてからは終了後に雑談していく時間が自然に定着しました」

畠山 「良いですね!雑談が大切と言いつつも、雑談という目的を持つと面白くならないですから、そこのバランスが難しいんですよね……」

コメント 2020-06-03 192328

石倉 「たしかに(笑)。マネジメントの観点では、雑談が起きやすい環境づくりが大切かもしれません。私はSlackをバーチャルオフィスと捉えていて、Slack上での一日あたりの投稿回数をコミュニケーションの指標としています。bosyuのSlackではメンバー一人あたり一日平均100回の投稿やレスポンスを残していますが、これが減ってくると何らかの働きかけが必要かと考えます」

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畠山 「リモートワークになると個々の状況が見えづらいですが、従業員の進捗や心身はどうフォローしていますか?」

石倉 「心身については、心理的安全性の確保が第一です。一番まずいのは従業員の抱えている問題が水面下に潜ってしまうことですから。進捗に関しては、仕事の振り方やスケジュールの立て方などマネジメント側に問題があることがほとんど。これは、オフィスワークのときも同じ話です」

石野 「リモートになったから進捗がわからないという相談をよく聞きますが、実際はオフィスにいてもパソコンに向かう姿が見えてるだけで、進捗が見えているわけではないですからね」

石倉 「そうそう、ほとんどのケースはリモートじゃなくてワークに問題があるんですよ。リモートワークで問題が明るみに出ているだけです。

私はむしろ、リモートワークのほうがメンバーの動きをつかみやすいです。積極的にコミュニケーションを取る分、ログを見ればみんなの進捗が手に取るようにわかります」

コメント 2020-06-03 193524

畠山 「リモートワーク下で監視することでマネジメント力を高めるサービスも昨今話題になっていますが、どう思いますか?」

石倉 「ルールはあえて作らない、なんでもOKの姿勢のほうがうまくいくでしょうね。ルールはルール適用外のことを潜らせてしまいますから」

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畠山 「マネジメント層や経営者がリモートワークのときどのように振舞うかも、重要なポイントかもしれません。個人的に経営者は“抜け”があるほうがいいかな、と考えています」

石野 「そうですね。経営者が率先して休むのも大切です。成果さえ出せば柔軟な働き方をしていいとメッセージを発信することも。なかにはスマホでできる業務もあるので、『料理しながら仕事してもいいんだよ』と伝えています」

畠山 「福利厚生について、フルリモートならではの工夫はありますか?」

石野 「海外出張などで出向いた場所のお土産を社員全員に宅急便で送るようにしています。小規模のチームだからこそできることですけれど」

コメント 2020-06-03 192355

石倉 「CASTERではリモートワークの運動不足対策として、オンラインのフィットネス・トレーナーのサービスを受けられる福利厚生を準備しています。また、普段リモートなので、10人以上集まる会議があるときは、集まるための手当が支給されます」

畠山 「なるほど、面白いですね。新入社員がリモートワーク環境に順応できていない場合の対処法はありますか?」

石倉 「最低限の通信環境や働くスペースの準備は各自に任せるのが今後のスタンダードかもしれません。もちろん会社として補助も出せますが、細かなケアというより定額支給のような形になるでしょう。オフィスに通える距離に住む必要性が、各自の環境整備に変わったと捉えると自然だと思います」

石野 「私の会社では通信環境の有無を着任前に確認し、Zoomの背景についての指導も行っています。個々の自宅が間接的にお客様に見える環境だと意識してもらうことが重要です」

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畠山 「リモートワーク化を妨げる要因のひとつとして、取引先がリモートワークに慣れていないという話を聞きますが、どう対処していますか?」

石野 「『うちはリモートワークなんです』と積極的に示せば、『え?直接来ないんですか?』と返すのは100社に1社くらいです。

特に営業担当が少数の場合、リモートワークのほうが効率的に数をこなすことができ、成果にもつながります。どうしても会社に来てくれと言われるならば、訪問費を取ってもいいかもしれません」

石倉 「これからは各社がリモートワークできるビジネスモデルに変えていくことが大切だと思います。オンラインで完結できるビジネスを目指しましょう。DXなんて小難しい用語も取り上げられていますが、要はハンコと紙、ファックスをなくせばいいんですよ」

畠山 「業務的なことだけでなく、リモートワークへの移行によって『さみしい』と感じる方も一定数いるようですね」

石倉 「個々の従業員のオフタイムが充実していないと、そういった感情を引き起こすのでしょう。ただ、現状に限って言えば、ストレスの約7割は新型コロナウイルスによるものだと思います。コロナ禍ではないリモートワークってめちゃめちゃ楽しいですから、これから皆さんに体感してほしいところです」

石野 「わかります。正直、リモートワークから毎日出勤する働き方に戻れと言われても、僕は絶対に無理ですよ(笑)」

石倉 「実践してみればわかることですが、リモートワーク自体は特別な働き方ではないんです。マネジメントのポイントと言っても、実際はオフィスワークのときと大差ありません。

むしろ今まで働き方の選択肢がひとつしかなかったのが、問題だったんです。オフィスで働こうが家で働こうが、個々のスキルは変わりません。今後は対等に、どちらかの働き方を選べる社会になっていくでしょう」


コロナ禍で突然新しい試みを迫られ、リモートワークに抵抗感を示す人も多いかもしれません。しかし、コロナ以前からリモートワークを取り入れていた先人たちは、本質的な課題はオフィスワークのときから変わらないと言います。

従業員の視点に立った配慮や盤石なマネジメント体制を敷き、ビジネスモデルそのものをリモートワークという働き方に合わせてシフトさせていくこと。その心がけが、アフターコロナの世界で売上を伸ばす企業の礎となるかもしれません。

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ライター 宿木雪樹 @yuki62533
グラレコ 多ぁ望 @newhabits
meetALIVE プロデューサー 森脇 匡紀 @moriwaking
meetALIVE コミュニティマネージャー 小倉一葉 @osake1st

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「毎日をより楽しく、世界をより豊かにしよう!」と挑戦を続けるイノベーター達と語らう企画を用意しています。


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