見出し画像

直木賞作家が、人生の背景は、嘘をつかないと教えてくれた。

少し前に直木賞発表を機に発売された
「オール讀物9.10月合併号」を読んだ。


第167回直木賞は
窪美澄さんの短編集
「夜に星を放つ」が受賞し
この作品が特集として組まれている。


わたしは、オール讀物を
定期的に購読しているわけではなく
受賞作の特集のような
お祭りの時に買い求めるという
日和見購読者。

年に一度、その賞を
吸い尽くすように楽しむための
ツールのひとつとして
活用させて頂いている。


こういった受賞作の特集には
受賞を逃した候補作も含め
審査員たちによる
「選評」が掲載されており

それを読むのを楽しみにしている。

普段は作家をしている審査員たちの
個々の考え方や視点を垣間見るのは
とても楽しいことで
「選評」好きなわたしとしては
こういう特別号だけは
買わないわけにいかない。


この手のものは
手にしたら最後
すぐに読みたい禁断症状が出るため
本屋さんを出るや否や
その足でカフェに寄り
いそいそとページを開いた。

まずは「選評」を。。。と
ページをめくったら
著者の窪美澄さんの写真と共に
インタビュー記事が掲載されていた。

わたしは、
窪美澄さんのことを
あまり知らない。

しかし、
どんな種類の書物でも
書き手のバッググラウンドは
「作品の信頼に直結する」

思っているので
彼女の人柄に興味が湧き
「選評」より先に
インタビュー記事に
目を通すことにした。

ひとこと、驚いた。

彼女の書く文体からは
想像もできない
「人生の背景」を
お持ちだった
ことに。

一方で
「だから、こういう文章を書くのか」
合点がいき、納得もした。


彼女の作品は
いずれも平易な言葉で
良きにつけ悪きにつけ
サラサラと読めてしまう。

難しい言葉が羅列されていれば
良書であるというわけではない。
しかし、正直なところ
あまりのサラサラっぷりに
なんだか物足りなさも感じる。

これは、窪美澄さんが
商業ライター歴が長いことが
起因していると思っていて
わたしの中では
あまり良い捉え方ではなかった。

しかし、今回
窪美澄さんの人生を読んで
見方が変わった。

そして、
彼女の作品を
全部読んでみたいと思った。


人生の背景は、嘘をつかないね。
思考や行動に、嫌でも滲み出る。


これはなにも
作家に限った話ではない。

何をみて
誰と過ごし
何を経験し
都度都度、どのように
心を動かしてきたか。

それらはすべて「糧」となり
血肉となる。

良き作家に出会えました。
オール讀物、ありがとう。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

わたしの読書や
本についてのコラムは
こちら。

ご覧いただけると嬉しいです。


この記事が参加している募集

読書感想文

わたしの本棚

みなさまのサポートを糧に、本を貪り、誠実なコラムを書きづけたいと思っています。いつもサポート頂いている皆さま、本当にありがとうございます。