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第34話 「必ず、現れるから」




 あきらを学校に送って帰ってくると、温かいお茶を淹れ直した。
 昔から体調を崩しやすい私は、普通の人よりエンジンがかかるまで時間を要する。
 毎日日課のサプリメントか何かのように口にした頭痛薬は、この二時間弱の間あまり良い働きをしてくれているとは言い難く、すでに脱水まで終わっている洗濯物を意識の隅で面倒臭く思いながら、少しの間ソファーの背もたれに頭を乗せる。


 「必ず、現れるから。」


 今、声がした。
私の妄想でなければ、男の人の声が聞こえた。
 鈍痛の隙間の僅かな空間、微かな微かな気のせいみたいな声と、微かな微かな気のせいみたいな愛情。

 『ツインレイ』に関しては不動さんで少し懲りたところがあったし、不意打ちすぎて、それを『声』だと認識した自分が馬鹿みたいだとも思ったが、なんとなく、この声の主こそツインレイなのではないかと思う……疑う。
 そして同時にこの声を無視してはいけない気がして、「ちゃんと内側を視るね」と、心の中で返事をした。



 その翌日、都内のカフェでまおちゃんと久しぶりに顔を合わせた。奈良から羽田に戻って、京急で解散して以来になる。

 まおちゃんからは、その後に行った名古屋の話を聞かせてもらった。
 彼女のブログは引き続き読ませてもらっていたので大体の動向はわかったが、それでもブログで語られていない旅の詳細は聞いていて飽きなかった。パワフルな彼女は翌春にはシャスタに行くことも計画しているのだとか。

 私のほうはからは、セオリツヒメの切り絵の引き渡しと、最近はずっとハイヤーセルフを意識すること、エゴの観察を続けていることを話した。
 その結果として不動さんへの働きかけをすることは一旦やめることも伝え、それから昨日聞こえた声のことも、「気のせいかもしれないけれど」と前置きした上で付け加えておいた。


 注文したランチが運ばれてきた。
 お皿にはそれぞれデザインが違うUFOのイラストが付いていて、そのかわいらしさに二人で大喜びしてしまう。
 そして話題はその流れで、UFOに乗って帰ったかもしれない切り絵の中の月の人へと移った。

「やっぱりさあ、この人、月から来てるよね。」

「私もなんとなくそう思う。ビジョンもこの絵のまんま、月の前に立っていたんだよ。ただ、色入れてったらこんな派手になるとは思わなかったけど。」

「なるほどね。この、手に持っているのは珠(たま)だよね。
これさぁ、一体なんだろね。」

 絵の中のセオリツヒメは両手をお椀のように合わせて、光輝く宝珠をその手に掬っている。

「うーん、わからない。わからないけど例えば、宇宙を男性だとして、月を女性としたら、この珠は、男性と女性によってもたらされる創造性とかになるのかなっては思う。
 受け売り的な話になるけど、ツインレイって本来持ってる創造性を思い出すようなところがあるみたいだし。」

「ああ、それは聞くよね。」

「鴉天狗にもらったのも、もしかしたらこの珠みたいなものだったのかな。」

「それもさあ、ひみちゃんの奥の院の話になってくるでしょ?その辺ひみちゃん頑なだからな。
 私は不動さんが現れるから玉木山に行くことになった気がするけどね。不動さんやめちゃって、どうするの?」

「確かに、昨日の声の主が『本物のツインレイでした』ってなるのかどうかはわからない。
 でも、肩に触れられて、不動さんは無理っていう思いしかなくなっちゃったの。
 不動さんがツインレイなら、ツインレイとかいらない、取り組みたくないって思ったよ。」

「うーん……。まぁ、ひみちゃんがやめると言うのなら、私には止められないけどさ。」

 真面目な表情の下でほんの少しだけ、まおちゃんが呆れながら苦笑いしたのが伝わった。



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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あー、嬉しいな!
やっとこの辺のこと載せられる!
わーい!!

あ、でも、次回もっと嬉しいな!!

ふふふ。
自分的には次回で最終回だから!
(嘘。ちゃんと続くよ)

わーい!!

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→第35話はこちら

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