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第203話 三艘目の船員から始まる世には出ない(であろう)外伝の序章


 あきらの心に青い滲み(にじみ)が広がっていく。
母である私が、けーこやタケくん、それから宇宙子さんといったシリウスのソウルファミリーと次々再会していくのを目の当たりにすると、あの子の心の内側から、普通にしているつもりでも誤魔化しきれない疎外感が溢れてきているのがわかった。

 夕飯後、そんな闇の存在がじわじわ出てきているのを確認すると、「お風呂を終わらせたら、あきらと少し話をしよう」と考える。
 ところがいざ階段を上っていくと、友人たちと通話をしている声が廊下の外まで漏れ聞こえていた。土曜の深夜。しまったと思いつつ、その日は私からフォローを入れるのを諦めるしかなかった。


「……おはようひみ。昨日遅かったから、隈がやばいけど気にしないで。」

「おはよう。ああ、なんか疲れてるね。
昨日の夜さぁ、あきらが夜中まで通話してたから話をしに行けなかったんだけどね。
 私の過去世の家族たちが次々わかってきたことで、あなたに悲しみの感情が出てきてたでしょ。だけど私とあきらは親子だし、オリオンではかけがえのない存在だったよって、本当は夜、そんな話をしたかったんだよね。」

「あー、やっぱわかってた?
今朝さ、なんだかひみに置いてかれる夢を見て、さっきまで部屋で一人で沈んでたんだよね。」

 それから少し本格的に、具体的な闇の見方のレクチャーをする流れになった。……とは言っても、あくまで方法を伝えるだけ。例え親子であったとしても、対価が発生しないのに過剰に浄化までしてしまうと、後からどんなエネルギーの歪みが出るかわからない。
 本人が闇を視るコツを大雑把に掴んだあたりで、朝食後のダイニングでのミニセッションはお開きとなった。

……

 そんな出来事があってから数週間が経っていた。再び桜神宮へと向かう車の中では、けーこが前日見たという夢の話をしてくれた。

「桜神宮の敷地の横にね、あそこって本当なら幼稚園だか保育園だかがあるでしょ?あの辺りにね、夢だと小さな小学校があったの。
 あきらはそこに通ってるんだけどいよいよ卒業式となって、そしたらみんながいて、あきらのお祝いするの。
 ご馳走たくさん用意してるんだけど、卒業に合わせてタケくんも何かの決意表明らしくって、お祝いの席を『ここは俺が持つ。』って言ってね。」

「うわーすごい、タケくんの奢りだね!」

「そうそう。なんかそれだけの気合いというか決意なんじゃない?
 でね、その小学校ってのが小さくて、まだ校歌が無いんだって。だからあきらの卒業のタイミングで校歌を作ろうかって話になって、ついでにその校歌をイメージしたシンボルマークも作ろうって話が出てたんだよね。」

 実際あれからあきら自身も、だいぶ自分の闇への向き合い方が変わってきていたようだった。あの子自身、自分の性格に関して昔から『難儀』で『柔軟性に欠ける』と形容してはいるけれど、それでも前より闇を客観視できるほどには成長しているのがわかった。

「校歌もシンボルマークも、何かいいのができるといいね。」

……

 うわっ、そういえば……。

 けーこの夢の話によって、今になって一つの事実を思い出した。
 あきらが通った中学校は、学年ごとにちょっとしたマークを設けていた。地域学習の一環として、この土地にまつわるものを取り入れて、イベントだったりプリントだったり所々に登場させることで地元に親しむことを狙いとしているようだった。
 例えば他の学年だと、特産品の果物、行政区の花、地名の由来となった漢字など。

 神奈川県の内陸にある私たちの居住地は、縄文時代は東京湾側の海だった。その影響で現在も、県の東部を中心に貝塚の遺跡や、貝塚に因んだ地名などが山のように残っている。中学校の学区の端にもその中の一つの跡地があり、あきらの学年マークはそれを元に採用されていた。

 そのモチーフこそ『帆立貝』。

 私の三種の神器のうちの『鏡』とは、二つで一つの二枚貝。個体が違うと重ならない、帆立もまさに双子そのもの。
 あきらの過ごした学年とは、同時にスサナル先生が私に出会った三年間のことでもあって、彼もまたその同じ時間、帆立をシンボルマークとして身近に忍ばせていたのだった。

 するとその週末、あまり無駄買いをしないあきらから、突然珍しく「買いたいものがある」と言われた。

「ずっとね、ひみの金色の船みたいのが羨ましくて欲しいと思ってたんだけど、探したらいいの見つけたから通販していいかなぁ……。」

 見せられたスマホの画面には、ケースに入った銀色の帆船……“帆立て船”の画像があった。

「あー、いいじゃん、買いなよ。
……っていうかちょうど誕生日だね。卒業記念でもあるみたいだし、お祝いに買ってあげるよ。」

……

 そのあと誰も、どんな校歌とシンボルマークが出来上がったかは結局知らないままだった。
 けれどもこの世界にまた一艘、三次元から五次元を目指す若き船が誕生すると、奇しくもあきらとリトがその日で同い年になったことに気がついた。

 新米航海士としての、あきらのエピソードゼロは(おそらく)ここでお終い。あの子も今後、地球を担っていく側になることは間違いないけれど、その近未来の活躍はいずれ別の機会があれば。



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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とはいえ明日は、あきらの番外編ですけど笑

この話を書きながら、たぶん小学校のシンボルマークは
『  ∴  』これに近い、点が三つの三角っぽいんじゃないかと思いながらいました。
(ちなみにこれ∴は茶畑の地図記号w)

このサイズだと変なかんじだけど、せめて5センチ角くらいに脳内変換していただけると有り難し。
あきらって、男子か女子か性別公表してない時点で
三位一体感あるでしょ?笑
さて、どっちでしょう。

実は『あきら』とは、私にとっての探し物でした。2016年の、私のツインレイプログラムの開始当時から「これこれこういう人を探しなさい」って言われていました。
それで、あの子が中1のある日の放課後、教室にスサナル先生がいる時に、「私、こういう人を探すようにって言われているんですよ。」って彼に伝えてるの笑

小説の連載が始まって、「あー!探しなさいって言われてたのってあきらのことだったんだ!」ってなりました!

今目の前におる。探し物足元にあったのか、ってナウシカみたいだ。

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←今までのお話はこちら

→番外編 あきらとけーこ





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