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お仕事の話

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今までに経験したお仕事のお話
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#仕事の話

初めての仕事

初めて自分のしたことで対価を得たのは、まだ小学校にも入っていなかった頃だと思います。 私の母はこわい人でしたが、祖母の家にいとこ達が集まったときなどには、ユニークな言動をする人でした。 「白髪を抜いてくれたら1本につき1円あげる。」 「肩たたき100回で10円。」 夏に皆で海に行き、後日、背中の皮がむけたときには、 「皮を1まいむいたら1円。おおきな皮がむけたら2円!」 などなど… いわゆる『お駄賃』というものですね。 それで手にしたお金を持って、近くの駄菓子屋へ行き

OL

私は学生時代に、字を書いたり、細々した雑用を先生などから頼まれたりするのが大好きでした。 テレビドラマなどに出てくるOLに、とても憧れていました。 あんなに楽しそうなことをして、お給料をもらえるなんて! 高校を卒業後、ゼネコンに入社しました。 支店採用の事務職でした。 仕事に特にやりがいはありませんでしたが、嫌だと思う仕事はありませんでした。 ワープロも得意だったし、電話対応も好きでした。 ちょうどバブルの時期で、お給料やボーナスもどんどん上がっていきました。 私が在

内職

出産後は子育てを楽しくしていましたが、また暇だと感じる時間が出来てしまいました。 とてもよく寝るこどもだったのです。 それで、内職をしようと思いつきました。 母がお守りやお札を作る内職をしていたことがあったので、そのようなことができれば良いと思ったのですが、探してみると、『コイルの点検』のようなものしか見つかりませんでした。 そもそも「コイルって何だろう?」ってくらいだったのですが、暇だしお金が欲しかったのでやってみることにしました。 思ったより1つ1つが大きくて、ダン

こども教材販売

もう何年も訪問販売の方にお会いしたことがありません。 そんな仕事自体減っているのか、管理人のいるマンションに住んでいるからなのかわかりませんが、自分の子供がまだ小さく、管理人がいないマンションに住んでいた頃は、昼間家によく訪問販売の方がいらっしゃいました。 たいていは冷たくあしらい追い返してしまうのですが、ある日、声の優しいおばあちゃんのような方がいらっしゃいました。 私が子供の頃から存在するこども教材を、販売していた方でした。 私もそれをとっていたし、楽しく利用していました

掃除用具交換

ちょっと離れた町に住む友人が、掃除用具交換の仕事を始めた話を聞き、私も始めてみることにしました。 ただ仕事をするだけ、というわけにはいかず、1番安いモップを自分も使うことになりました。 もともと掃除が苦手な私は、部屋の掃除など、掃除機をかけるくらいしかしませんでしたが、 「どんなに汚して返してもいいんだから、交換する前に普段やらない網戸なんかを拭くといいよ」などと言われ、ほとんど交換の前日まで使わないくせに、前日にはどこか汚れたところを探して拭いてみたりしていました。 どんな

コーヒーショップ店員

コンビニ店員は辞めることにしました。 理由のひとつは、 土日のどちらかだけ出勤してくれれば…という面接時の話と違い、どちらも入ってほしいと言われるようになったこと。 人が不足しているのがわかっているとなかなかうまく断れません。 短い時間で、自宅から近いとはいえ、平日には2日程度しか入らず、土日両日出勤などというシフトが増えていました。 私より後から入った、同じ年ごろの子供がいる主婦が、 「土日祝日は絶対に働けません」と言い切って採用されていました。 絶対にとは言わないけれど

保険外交員

コーヒーショップで働くことがすっかり嫌になりました。 仕事というのはどんなものでも、 信頼や尊敬できるオーナーや店長や上司の下で、 その人たちの役に立ちたい、笑顔が見たい、褒めてほしい、という気持ちでするものだと思います。 オーナーのことも、店長のことも、すっかり信用できなくなっていました。 仕事を終えて、保育園に子供達を迎えに行く前に、どこかでお茶でも飲もうと思い、近くのドーナツショップに入りました。 その店に入ったのは初めてでした。 飲み終わったカップを下げようと立

(続)保険外交員

会社に行きたくないと思い始めると、寝ても寝ても、眠気がおさまらなくなりました。 10時間以上寝ても、まだまだ眠いのです。 もともと得意ではない家のことも、何もやる気がなくなりました。 生活や、なにより子育てに支障をきたしてしまうくらいなら、もう保険会社を辞めよう、と決めました。 会社には、大好きな上司がいました。 おばさま方の中にひとり、私とは年が10才ほどしか違わない若さで、シングルマザーでした。 かわいらしい顔で、かわいらしい声、けらけらとよく笑い、一緒にいるのがとても

廃棄物処理業者

その会社の社長と初めて会ったのは、私が高校を卒業後に入社した会社でOLをしていた頃でした。 私の持っていた原付バイクを、 「もう乗らないんだし保険をかけ続けるのはもったいないから処分してしまおう」 ということになった頃、タイミングよく自宅のポストに 『いらないもの引き取ります』というチラシが入っていたので、母が3000円を業者に支払い引き取ってもらいました。 数週間後、そのバイクが売れたからといって、その業者が1000円を届けにきたそうです。 どちらの日もわたしは不在でした

移動ペット販売

夫が、どうしても廃棄物処理業の会社を辞めろというので、急に辞めました。 社長は、その日まで働いた分のお給料をすぐにくれましたが、 「あんた毎日遅刻してきたから少し引いておいたよ」 と言いました。 「好きな時間に来ていいって言ったのに〝遅刻〟って…」 保育園が始まる時間に合わせて子供を預けても、道路も渋滞しているし、 私が会社に着くころには、もう皆が働き出して何時間か経っていたので、 「やっと来た」 くらいの感覚だったのでしょう。 実際、すぐ出発できる状態で(全員がトラックに乗

新聞紙を見る仕事

ペット販売の仕事で一緒だった少年と、連絡先を交換しました。 彼は顔が広いらしく、 「いい仕事があったら紹介するよ」 と、言ってくれたからです。 そんなに間を置かず、すぐに連絡がありました。 電話の説明ではよくわからなかったけれど、難しい仕事ではなさそうだったので、とりあえず指定された時間に、指定された場所へ行ってみました。 まだ新しく建てられたばかりの、倉庫のようなところでした。 (ドラマに出てくるような古いいかがわしい倉庫じゃなくて良かった) 印刷会社だったのでしょう

ピッツェリア

新規オープンのピッツェリアで 『スタッフ募集』というチラシを見つけました。 田舎者でほぼ外食などせずに育ったまま、 居酒屋やラーメン屋でしか外食をしない男と結婚してしまった私は 「そもそもピッツェリアとは何ぞや?」 と思いました。 子育てをしていると、やはり都合がよいのは飲食店でのバイトだなぁ…と感じていたので、早速応募してみようと電話してみました。 電話口の人の対応は感じが良く、キッチンとホールのどちらが希望かと聞かれました。 私は接客の仕事がしたかったので、ホールを希

シングルマザーになるときに選んだ仕事

夫とは離婚をすることにしました。 シングルマザーになるわけなので、自分ひとりで稼いだお金で、子供を育てて生活をしていかなければなりません。 どんな仕事をしようか?などと、特に悩みはしませんでした。 最初から候補は2つありました。 廃棄物運搬をする会社か、自分の特技を活かした仕事。 廃棄物運搬の仕事は、その仕事の会社で働いていたときに社長に、 「あんたもこの資格とってこの仕事するといいよ。人間は必ず死ぬんだし、死んだ人の家なんか片付けるのみんな嫌なんだから、仕事は永遠にあ

格安ラーメンチェーン店

離婚する際、私達家族は、 夫と長女、私と次女 というふうに、2人ずつに分かれることにしました。 理由はまた別の機会に記すことにします。 とにかく、次女と2人だけの生活が始まりました。 快適なことこの上ありませんでした。 次女は赤ちゃんのときから、常にご機嫌なこどもで、 いつもニコニコしていて扱いやすく、 それでいてしっかりしていたので、 ストレスになることなど何もありませんでした。 夫が帰ってくる心配もなく、 毎日好きな物を食べ、 週末は家に友達を呼んだり、 友人家族と外食