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CEO柳内が書く、メダップの目指す世界と組織

メダップのFounder, 代表取締役CEOをしている柳内です。
2017年に病院向けSaaSスタートアップのメダップを創業してから4年、事業も大きく進展してチームも大きくなり、目指す高さも変わってきました。
2021/8にはDNX Ventures, ALL STAR SAAS FUND, MICからシリーズAにて6億円の資金調達を実施し、改めて現在地と目指すところと、そのためにどういう組織を作ってきているかをシェアします。(過去のnoteはこちら )

「病院」×「経営」の課題

病院は全国に約8,300施設あり、精密検査をしたり、入院や手術を行ったりする施設です。コロナにかかった方が入院するのが、この「病院」です。病院市場の規模は約20兆円と医療市場の過半を占め、日本で7番目の大きさ。物流やEC、電力市場と同じぐらいの大きさです。

入院や手術をするような医療機関を「病院」といい、ベッドの数が20以上と定義されている。風邪でいくような街のお医者さんを「クリニック(診療所)」と言い、全国に10.2万施設ある。

しかし、その重要性に関わらず、経営面では病院の4割が赤字。いろいろと理由はありますが、2年に一度の診療報酬改定で売上・人員・設備のルールが変わること、新型コロナウイルスのような感染症への対応、多職種の専門家集団であること、救急患者数が日毎に大きく増減すること、医師の偏在や不足など、そもそものマネジメントの難しさがその一因です。

マネジメントの難しさの例
1. 医師の労働時間。一般に過労死ラインとよばれる時間外労働月80時間以上(年960時間)を超える人は全体の4割・8万人。労働者の半分近くが過労死ラインを超えて働いている業界は、病院の医師以外にはほぼ存在しないはず。働き方改革関連法により2024/4より年960時間を原則下回るように法規制が入る見込みであり、勤務時間の可視化や医師の配置・労働内容のマネジメントなど、多くのマネジメントの変革が必要。
2. 多職種集団である病院で、法人の代表は原則として医師と医療法で決められている。病院の従事者数209万人のうち、医師は10.4%。看護師・准看護師は43.9%。優秀な医師は多くの患者さんを受け持っていることも多く、多数の手術を執刀してきた名医がある日を境に経営者になることも。

病院向けのスタートアップを運営してきて感じることは、病院で働く方々に、病院業界全体をよくしたいという熱い想いを持たれている方が多い、ということです。「他の病院の役に立てれば」「日本の医療をよくしたい」「一般企業の良いところをとりいれていかないと」と言った発言が多く聞かれます。起業前のただのVCであった自分へそういった想いを語ってくださった方々、商談や情報交換でお話を伺う先進的な病院の方々、そういった想いも取り入れて、メダップのVisionは形作られました。
メダップは、業界的な特殊性が高く、課題が多く存在する病院のマネジメント領域において、SaaSツールを使い、病院経営のDXを目指しています。
それにより、安定した病院経営やサステイナブルな働き方を実現します。

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メダップが目指す病院経営のDXとは

柳内の仮説や想いを多分に含んではいますが、組織文化の変革の重要さをふまえ、病院におけるDX成功のカギは下記の3点だと思っています。
これにより、一次情報に触れられる現場の方による、効率的でdata drivenな意思決定を実現します。そこで生まれた好循環から、いろいろな経営領域においてマネジメントのDXを目指しています。

1. データの一元化
 データの一元化は、データ活用のために必須。病院のデータは散在していたり、現場の人がアクセスできなかったりすることも多く、ツール導入やデータクレンジングのニーズが高い。

2. データ活用の業務効率化・高度化
 
多忙な医療従事者が、新たに多くの時間を掛けてデータを分析することは困難なため、ツールによるデータ活用業務の効率化・高度化がマスト

3. アクションの実行と成功体験の創出
 デジタル化をより進めて、組織文化と体質の変革するには、目に見える成功体験をうみ、組織への定着と拡大が必要。カスタマーサクセスによるオンボーディングの成功や、他部署への波及が鍵。

バズワードになりつつある「DX」をどう解釈しているか
経済産業省によるDXの定義は、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」。
これは、「一次情報に触れられる現場の意思決定促進」×「data driven」×「組織改革の好循環」の3点による実現できると解釈。

上記の文脈で、現事業のforo CRMを立ち上げました。
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事業の現在地

foro CRM事業で解決する課題

いま現在の病院経営の重要課題は、新型コロナウイルス対応、医師の働き方改革、患者増加であることが多いというのが、病院経営者の方とお話しする実感です。
このうち、DXによる改善余地の大きさと、収益インパクトの大きさから、患者増加、中でも紹介患者に着目しました。

紹介患者に着目した背景
・病院は固定費率が高い・貢献利益率が高い業種であるため、売上が増えたときの利益へのインパクトが大きい
・入院患者さんの来院経路は、紹介6割・救急3割・患者さんが自分で見つけて来院1割。救急患者数は増減が大きくコントロールできないため、紹介患者の増加が最も有効な施策

一般的な大病院は、患者さんが直接診察を受けにいくことはありません。多くの入院患者さんは①クリニック(町医者さん)からの紹介か②救急車といったルートで入ってくることになります。
したがって大病院にとって収益源となる患者さんを紹介してくれるクリニックは顧客と言えるのです。
このような病院の収益構造は極めて不安定で、紹介の安定的な獲得は死活問題ですが、顧客である地域医療機関に対する マーケ・営業・CS活動が不充分なことによる機会損失・顧客不満足が常態化しています。

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foro CRMは病院業界に特化したCRMです。院内外に散在する様々なデータを統合・一元化することで一般的なCRMを超えるユーザー体験を生み出し、効率のよい/効果の高い営業・マーケ活動をサポートします。
結果として、よい病院の収益は改善し、患者さんはよりよい医療を提供する病院へ行くことができます。

サービスサイトはこちら。
https://www.foro-crm.jp/

事業のFuture

将来何を目指しているのか
まずはなるべく多くの病院の地域連携の課題解決を目指し、foro CRMの事業拡大と機能追加により、マーケットリーダーの地位を確立します。
その後は、病院経営DXのために、BIツールをはじめとした、data drivenなマネジメントを実現するためのツールを作っていきます。
例えば病院業界の人件費率は5割強で金額としては12兆円ほどですが、マネジメントの改善により人の生産性を1%・1,200億円のインパクトを産むことは、充分可能だと感じています。

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目指す組織

事業で取り扱いたい病院経営の領域が複雑なため、組織の仕組みを工夫して対処しています。他SaaSを参考にしつつも、事業特性とステージに合わせて動的に変えてきており、今後も動的に変えていく可能性が高いと思っています。
具体的な事業マネジメント体制の変遷は、図のようになっています。

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1. 立ち上げ当初: CEOがPOとして全範囲担当
 - CEOが自分でSalesもCSもPdMもやっていました。当然どのオペレーションも質が高くない状況です。
2. チーム強化: CEOがPOをやめて、CS責任者の岡田さんが事業責任者(PMM)へ。参画したCTO馬場さんがPdMを兼任
 - 早い段階で、今どきなPMM-PdM体制へ。専門性が高まり、オペレーションの質が大幅にあがりました。
3. CSの深化・ユーザーインサイト強化: PMM, PdMにCS責任者を加えた3頭体制へと移行中
 - 他社にはあまりない体制とした理由は、ユーザーがただ使うだけではなく、活用してもらえて初めて大きなインパクトが出せるプロダクトであり、CSの重要度が高いためです。具体的には下記のような役割分担を志向しています。これにより、ユーザーインサイトを深く吸い上げて、Sales/MKTやProductに活かしていきたいと思っています。

- PL責任を持つ (事業ビジョン、事業戦略、事業計画、組織) : 事業責任者(PMM)
- ユーザーインサイトの収集 (課題発見) : CS責任者
- プロダクト戦略 (ロードマップ策定) : PdM
- ソリューション策定 (Product Backlog Itemを作る) : PdM

メダップでの用語の定義
・PO: Product Owner。事業責任者で、全範囲を担当
・PMM: Product Marketing Manager。事業責任者で、Productを除くPL全範囲を担当
・PdM: Product Manager: 開発のアウトプットとPLを担当

求められるリーダーと育成

組織が動的に変わっていく中で、マネージャー、リーダーも動的に役割を変えていくことが求められます。
そのため、メダップではメンバーの育成に力をいれています。また、事業成長のためにはCEO自身の成長もかかせません。全社員とCEOの定期的な1on1のほか、CEOである柳内自身も週1回・メンターとの1on1を実施し、成長速度の最大化にトライしています。
具体例としては、会社のVision (なりたい姿) 、事業のVision,全メンバーのVisionを、1つのスプレッドシート (↓) で全社員に公開しています。こういった自分の目標の達成のために何ができるか?目標が低くなっていないか?と言った内容を1on1で話しています。

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We're hiring

正社員約15名とまだまだ小規模な組織で、MKT, CS, Recruitingなどの責任者も積極的に採用しているので、下記のいずれかよりお気軽にご連絡ください!

柳内Twitter
https://twitter.com/yana__git

採用ページ
https://jobs.medup.jp/


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