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ジュネ作品のNETFLIX「公開」から、インターネットの「得意技」を再度認識し直す。

短編の名作からスタートし、『デリカテッセン』 (1991年)、『ロスト・チルドレン』(1995年) 、なぜか『エイリアン4』(1997年)の監督となった(笑)、J.P.ジュネ。

その後、多くの人のに見られた『アメリ』 (2001年)をとり、『ロング・エンゲージメント』(2004年)、『ミックマック』 (2009年)、『天才スピヴェット』 (2013年)のあと続くがしばらく音沙汰なかった。

そして最も最新の作品『ビッグバグ』 (2022年)が、NETFLIXにて「公開」されている。

ジュネなんて、単館ミニシアターで流されるようなマニアック映画好きの監督。そうした映画好きな人々は学生時代とかに経験があるかもしれないけれども、「うちの近所にはミニシアターがないので、グリーナウェイとかデレク・ジャーマンとか観れない(泣)」とか、「ゴダール特集やってるミニシアターあるけど、京都まで行けないわ〜」なんてこともあった。で、ミニシアター行ってみると、拗らせた感じの客が数名なんて作品もたくさん経験してますよね、多分。

で、ジュネの『ビッグバグ』がNETFLIXで「公開」されてるの観て、ふと、「インターネット的」だなと思った。

インターネットの「得意技」は、時間と空間の制約を超えて、人と人、人と情報、情報と情報などを「結びつける」ことである。

例えば、「インターネット広告」(←そういや最近は「デジタル広告」と呼ばれるけどこの呼び方はされませんね)というのはその最たる例だろう。検索連動型広告なんて、日本中や世界中の人々の、いつ起こるかわからない「調べたい」という気持ちや行動と情報・広告がマッチングすることで成立しているわけだが、マッチングというのはなかなかタイミング良く成立するわけではない。しかしながら、時間的制約・地理的制約も超えると、マッチングする件数も増えてくる。これは別の言い方をすれば、ある情報と検索ユーザーとのマッチングというのは、制限された時空間では起こる頻度は極端に低いということになる。

で、単館のミニシアターで公開されてきたようなマニアックな映画たちも、それを観たいと思う人は日本中を探して見ればそれなりの数になる可能性がある。しかし、ある程度の人数になったとしても、その人たちが、同時的に同じ場所に集まるという確率となると、これまた極端に難しくなる。

ただ、NETFLIXのような「インターネットでオンデマンド上映」のようなことになると、時間的・空間的制約を超えて観たい人が観られるわけだから、これはミニシアター的映画鑑賞の嬉しい革命だとも思う(もちろん、ミニシアターで観るというあの独特の体験は得られないが)。

しかし、オンラインショップでも、B2Bビジネスでも、「マッチングの難易度が高め」の事業というのは、こうしたインターネットの「得意技」の恩恵を受けているのであって、そういや昔は「インターネットが普及するとこうなります」って話をしてたのってこういうことだったよな、って、ジュネ作品のNETFLIX「公開」から、「原点」が呼び起こされました。


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