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元看護師 メディカルイラストレーター座談会(第3話/全3話)

メディックメディア メディカルイラストレーターグループ(MIG)
公式キャラクターのミグです!

▼前回の記事はこちら。

現場にいたから得られた、かけがえのない経験

エイリアン 看護師よりも会社員としての年数の方が長くなりましたが、改めて振り返ると、医療現場でしかできない経験ってたくさんあったな、と思います。現在も「医療を学ぶ学生さんや医療職のみなさんのサポートをしたいな」と思いながらメディックメディアで働いていますが、患者さんに直接ケアを提供できるというのは現場ならではですし。

かっぱ 看護師としてやりがいを感じるのもそういうところですよね。身体的にも心理的にも辛い状況にある人に直接的に貢献できるというのは、やはり医療従事者しか経験できないことだと思います。患者さんにケアをしたときに「ありがとう」と声をかけてもらえると、やっぱり看護の仕事をしていてよかったな、と思いましたし。

こけし 私もかっぱさんと同じく、患者さんに感謝してもらえたことは嬉しかったなぁと思います。手術室は一生懸命看護をしても、患者さんは麻酔下なので覚えてもらえることはないのですが、病院の売店とかでお見かけして「あ、この前手術した患者さん、元気になったんだ!」とひっそり嬉しくなることがありました。

かっぱ もちろん、「感染予防」みたいな日常で使える医学知識を得られたことも大きいですよね。今の仕事にも役立っていると思います。

ライフスタイルの変化

エイリアン メディックメディアに転職して、ライフスタイルは変わりました? 交代制勤務がなくなったこととか。私が勤めていた病院は3交代だったので、準夜勤が終わって深夜1時に自転車漕いで帰ったのが記憶に残っています。

かっぱ 夜勤がなくなっただけでもだいぶ違いますけど、やっぱり看護師って先が見通せないシーンが多くて、例えばその日勤で「よし、もう退勤時間だ!」っていう時間帯になってから入院が入ってきたりしませんか? 患者さんのルート確保や、情報収集を一通りしてから、やっと帰れる。

こけし 夕方頃、遠くから救急車のサイレンが聞こえてくると、「あ、今日は帰れない…」ってなりますね。単に労働時間が伸びるというストレスではなく、やはり患者さんの命に関わることだから、常に緊張感があって。その点、メディックメディアでの仕事は、誤植や印刷事故を起こさないようにというプレッシャーはあるけど、対“人”ではないから、そこが違うところかもしれないですね。
手術部は基本は日勤のみで土日休み、たまに当直があるという感じでした。当直も、振り返ると思い出深いですね。緊急オペが舞い込んでくる怖さはありましたが、何もない日は穏やかでした。一緒に当直になった先輩と、休憩室でおやつを食べながら深い話になって、進学の相談をしたりとか…。その先輩には、受験からその後の就職までずっと励ましてもらって、今も感謝しています。

看護師の経験が、今の仕事に活きている

かっぱ 看護師時代、疾患や医療機器について勉強するじゃないですか。そういうのが頭に入っていると、書籍制作の際に役立つ、というのはありました。メディックメディアに来て最初に携わったのが『看護技術がみえる(※6)』の制作だったんです。シリンジポンプなどの機器を描くとき、実際に自分が使っていたのでイメージしやすかったですね。その後『病気がみえる(病みえ)』の部署に異動してからも、解剖や疾患の知識は役に立っているなと感じます。

※6  看護技術がみえる:看護技術の手順と周辺知識を、写真やイラストでビジュアル化したテキスト。現在は後継書『看護がみえる』シリーズが発行されている。

エイリアン 私は精神科勤務だったので、医療機器を扱う機会は少なかったのですが、学生時代に「批判的に文献を読め」と繰り返し指導されたことは身に付いていると感じます。原案(※7)を見た時に、「この説明、本当にそうなのかな?」「この情報を伝えるのに、本当にこのまとめ方が最適なのかな?」という疑問が浮かび、それが解消されるまで文献を読み込む癖がつきました
あと、精神科の経験としては、「人とどうコミュニケーションを取るか」ということをすごく考えたので、例えば後輩指導のときはまず相手の良かったところを肯定して、その上でやってほしいことを自分を主語にして伝えるとか、そういう技術を業務に活かせているかな、と感じます。

※7  原案:『みえる』シリーズの制作工程で、編集者が作成する原稿の束のこと。文章・イラストの指示書と、指示書を作成するときに使用した文献がひとまとめになった状態でメディカルイラストレーター(MI)に渡される。

こけし 私も2人とかなり同じで、医療知識があることで、原案を読みながら物品や現場の状況が想像できるというか。そこから、「本当にこれでいいのかな」っていうのを調べるところまで、あんまり時間がかからないかな。あと、「この現場ではあんまりこういうことをしないです」みたいなのも、編集者に伝えやすいかなと思います。編集部には看護師経験のあるアルバイトさんもいますが、どんな臨床現場を経験したかはまちまちです。原案のテーマが、たまたま私が経験した科のことだったりすると、役に立っているんじゃないかと思います。文献を読むのも抵抗はないですしね。

エイリアン 私は身体科の経験がないので、私が描いているケアのシーンにはリアリティがないんじゃないかな…と思っています。やっぱりこの仕事をするにあたって、臨床経験はあるに越したことはないなあ、と。

こけし 他のMIのイラストを見ると違和感なく描けているので、「臨床経験、別に必要ないな」と思うんですけどね(笑)。外科医の方が描いている手術のイラストなどを見ると、本当にシンプルに伝えたいことが絞られていて、「どこをクローズアップして見せる必要があるかが、経験があるから、すぐにわかるんだろうな」とは感じます。

MIを目指す看護師のみなさんへ

エイリアン このnoteを読んでいる方には、医療現場でお仕事をされている方もいるので、メッセージをお届けしたいと思うのですが、かっぱさんいかがですか?

かっぱ 僕からは、そうですね。看護学生や看護師をしている中で身につけたことを、メディックメディアでは活かせる場面が多いので、イラストや図とか、視覚表現に興味がある人はどんどん挑戦してもらえればな、と思います。

こけし 私も同感ですね。私も看護師時代、勉強しなきゃいけないことが膨大で、でも忙しくて時間もなくて…みたいなことを経験したんですけど、メディックメディアはその忙しい医学生・看護学生や医療職の方に、大事なことを短時間で伝えるためのコンテンツを作ることができる。それがこの会社に入るにあたっての希望でもあったし、入社してからも「みんなが勉強するための、より分かりやすい書籍を作っていく」っていうのは、むしろ現場に寄与できる仕事だなと思っています。やりがいもあるので、そういうものを作りたいとか、医療の知識を活かしたいという方がいたら、すごくいいと思います。

エイリアン お二人がすごくまとめてくださったので、もう話すことはないですが…、私は絵が好きでこの仕事をしたいと思って入ってきたんですけど、実際には情報デザイン力というか、「何がその物事の本質で、何を端的に伝えたいのか」を整理する力が必要だなと思っていて。だから正直、「絵が好きだからやる仕事」でもないなっていうのが最近の実感ですね。看護学生や看護師のとき、本当に膨大な知識を詰め込んで勉強したと思うんですけど、要点をまとめるようなノート作りだったりとか、そういうことが好きな人が向いている仕事なのかな、とは思っています。

看護師MI座談会への参加、ありがとうございました!

メディックメディアでは現在、中途採用のMIの応募を通年で受け付けています。看護師さんのほか、医療系資格を持った方のチャレンジは特に歓迎しています。
この記事を読んで興味を持ってくださった方は、採用情報のページもぜひ見てみてくださいね!

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