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ヒットコンテンツの方程式は、インパクト×分かりやすさ

ヒットコンテンツを作る方程式


ヒットコンテンツを作る方程式は、インパクトと分かりやすさの掛け算になります。

インパクト × 分かりやすさ

インパクトが重要であることは、なんとなく分かるのではないでしょうか。現在ほとんどのサービスはフィード型のインタフェースになっています。通り過ぎるユーザーを引き留めてコンテンツを見てもらうには、インパクトが必要です。

そして、インパクトがあるだけでもダメで、限りなく分かりやすい必要があります。
スマートフォンが普及して動画コンテンツが溢れかえっています。コンテンツ当たりの情報量が多い動画は"分かりやすい”コンテンツであり、この分かりやすさに慣れてしまったユーザーは少しでも分かりづらい箇所があると離脱をしてしまいます。そして、フィードタイプであるということは短時間で内容を理解してもらう必要が生じるため、分かりやすさの重要性が以前よりも増しているのです。

このインパクトの出し方と分かりやすさの演出を詳しく分解して、ヒットコンテンツを作るための流れを解説します。

インパクトを生み出す3つの方法

まずはこの方程式の前半、インパクトを生み出すための3つの方法を解説します。

インパクトを生み出す方法その1:人間の本能に訴えかける


インパクトを作るためには、まず人間の本能に訴えかける方法があります。この手法では、食欲など人が基本的に持つ欲求に直接アプローチします。
グルメを扱うコンテンツはどのプラットフォームでも人気です。この人間の欲求に直接アプローチするほか、本能に訴えかける濃い味付けも有効に働きます。例えば、脂質と炭水化物が豊富なラーメン屋は、行列ができるほど人々を引きつけ、食べることで直ちに快感を得ることができます。ラーメン屋のように人間の本能に訴えかける脂質と炭水化物をコンテンツに置き換えると、衝撃映像などが該当します。
例えばYouTubeで一時期コーラにメントスを入れるメントスコーラの動画が流行しましたが、あれは映像が万人にとって刺激的だったからです。

また、人間は進化の過程でコミュニティを形成してきました。群れから追い出されないためにはコミュニティ内の噂話をキャッチする必要があります。ゴシップの話題に自然と引かれるため、不倫などのスキャンダルや裏話といった情報も人間の本能に訴えかけるコンテンツなのです。

インパクトを生み出す方法その2:新しい発見がある、切り口が面白い


次に、新しい発見やユニークな切り口を提供することもインパクトを高める手段です。お茶の間の人気テレビ番組「マツコの知らない世界」では、その道にハマった専門家が自身の好きな食べ物やことがらを解説しています。
人気回の一つにおはぎの回がありますが、おはぎはありふれた和菓子です。しかし、親しみやすいものでも新しい角度から見せることで、見る人の興味を引いています。
このように日常にありふれたものでも、新しい発見を得られることでインパクトを生み出せるのです。

また、バラエティとして圧倒的な人気を誇る「水曜日のダウンタウン」では、「○○の説」として仮説の検証を行っています。
「ドッキリの仕掛け人、どんなにバレそうになってもそう易々とは白状できない説」など、普段は考えないような奇妙な仮説を立て、それを検証することで視聴者の好奇心を刺激しています。その結末が気になってついつい観てしまうのですが、そもそものテーマは些末なことであったりします。しかし、テーマが些末なものであっても新しい発見や切り口を改めることでインパクトを出すことができるのです。

インパクトを生み出す方法その3:本人にとって切実である


例えば、転職活動中の求職者にとって、転職成功率の高い企業のランキングや、面接でよくある質問と対策などは、非常に切実な情報です。こうした情報は、人の心を捉え、記憶に残りやすいという特徴があります。

人は、何かを知らなかったために損をすることを恐れる傾向があります。これを損失回避バイアスと呼びます。
切実な情報を提供しながらその情報を知らなかった場合の損失を想像させ、行動を促すことでインパクトを演出できます。
例えば転職関係のコンテンツであれば「転職する前に知りたかった。年収交渉術」のような切り口が挙げられるでしょう。

「転職」というテーマ以外には「婚活」や「育児」などライフスタイルに即したコンテンツは誰かにとって切実なコンテンツであると言えます。

分かりやすさを生み出すための3つの方法


インパクトを生み出すための3つの方法を解説してきましたが、次に分かりやすさを生み出すための3つの方法を解説していきます。

分かりやすさを生み出す方法その1:分かりやすさのヒエラルキーを理解する

情報を伝える際には、その表現手法が理解のしやすさに大きく影響します。以下に、最も分かりやすいとされる表現手法から順に階層化して説明します。

1位 動画

  • 短尺動画: 短時間で要点を伝え、視聴者の注意を引くことができるため、情報の伝達と理解に非常に効果的です。特にソーシャルメディアなどでの共有に最適です。

  • 長尺動画: 複雑な話題や詳細な説明が必要な場合に有効ですが、短尺動画と比べると注意を維持するのが難しいため、視聴者の関心を引き続ける工夫が求められます。

2位 写真・絵

  • カラー: カラー画像は視覚的に情報量が多いので、内容の理解を助ける要素が豊富です。色の使用は情報の際立たせ方に大きな役割を果たします。

  • モノクロ: 文章に比べれば視覚的にとらえられるので分かりやすいですが、カラーほど視覚的なインパクトや情報の強調は少なくなります。

3位 文章

  • 短文: 短く簡潔な文章は読み手がすぐに理解でき、情報の要点を迅速に掴むことができるため、効果的です。つまり140字のX(旧Twitter)は非常に有効です。

  • 長文: 詳細な情報や背景を提供することが可能ですが、短文に比べて読者の注意を引き続けるためには工夫が必要です。

これを分かりやすさの順番並べると下記のようになります。

動画(短尺>長尺)写真・絵(カラー>モノクロ)>文章(短文>長文)

動画、写真・絵、文章の順番に分かりやすく、長いよりは短い方が分かりやすいと覚えましょう。

この理解のしやすさにおける表現手法のヒエラルキーを理解することで、コンテンツを制作しやすくなります。
つまり、万人に広げたいのであれば短尺動画が一番適しているということです。

分かりやすさを生み出す方法その2:伝え方に比喩を使う


情報を分かりやすく伝えるための効果的な手法の一つに、比喩を使う方法があります。比喩は複雑な概念や抽象的なアイデアを、聞き手が既に知っている具体的なイメージや経験と関連づけることで理解を助けます

例えば、経済成長を説明する際に「経済はエンジンのようなもので、投資はその燃料です」という比喩を使うことができます。この比喩は、エンジンが燃料なしでは動かないことと同様に、経済も投資なしでは成長しないことを直感的に理解させるのに役立ちます。

このように比喩を使うことで、聞き手は新しい情報を自身の既知の知識や経験に照らし合わせて解釈することができ、理解が深まります。比喩は聞き手にとって馴染み深いものを選ぶことが重要で、適切な比喩を用いることで説明が格段に明確になります。

分かりやすさを生み出す方法その4:伝え方に物語を使う


情報を伝える際に物語を用いることは、聞き手が内容に没入しやすくし、理解を深める効果的な手法です。物語は人々の感情に訴え、情報をより身近で関連性のあるものとして受け取らせることができます。

たとえば、「30代共働きの子育ては大変です」という一般的な説明よりも、「よしこ、35歳、昇進に繋がるプロジェクトを前に子育てとの両立に悩む」という具体的な物語を描くことで、リアルな人物の経験を通じて同じ状況にある人々の共感を呼び、問題の深刻さをより実感してもらうことができます

この物語は、よしこが直面している具体的な課題や感情を描くことで、似たような悩みを持つ人々に直接話しかけているような効果を生み出します。読者や聴衆は、よしこの状況を自分のものとして理解しやすく、より深く情報に関与することが可能になります。

このように物語を用いることで、単なる事実の羅列よりも人々の記憶に残りやすく、情報の受け入れやすさを高めることができます。物語によって、情報は生活の中に溶け込み、より具体的で感情的なものとして伝わるのです。

分かりやすさを生み出す方法その5:直感に訴えるコピーライティング

さきほどコンテンツはインパクトが重要だという前提があったのですが、そのインパクトを"分かりやすく”伝える方法がコピーライティングです。
SNSでは、広告代理店が考えそうなひとひとねり効いたコピーよりも、聞き手の直感に訴え、即座に反応を引き出すようなコピーが有効です。

例えば、料理のレシピでは、「至高のパスタ」や「無限ピーマン」といった至高、無限などの表現を用いることで、ただのパスタやピーマン料理ではなく、特別な体験や試してみたいという好奇心を誘います。

これらのフレーズは、料理の結果を強調し、その驚くべき美味しさや独特な特徴を前面に出すことで、読者の興味を引きます。つまり、直感的なコピーライティングはインパクトを演出するにも一役買っているのです。

ファッションの領域では、「これ可愛い」「良すぎる」など可愛い、良い、というフレーズを使った直接的表現や、「神デニム」「優勝ワンピ」のようにバズレシピにおける「至高」と同じくインパクトのあるフレーズが同様の効果を持ちます。
これらのコピーは、コンテンツの魅力を極端に表現することでユーザーの心をとらえて、コンテンツを観てもらうトリガーになります。

分かりやすさを生み出す方法その6:情報を詰め込む

先ほど分かりやすさにおける伝え方のヒエラルキーは以下の通りだと解説しました。

動画(短尺>長尺)写真・絵(カラー>モノクロ)>文章(短文>長文)

短尺動画が最も分かりやすいのは、コンテンツあたりの情報の濃度が最も濃いからです。人間は情報の濃度が濃ければ「分かりやすい」と解釈します。

ですから、伝え方の手法を組み合わせることで画面あたりの情報の濃度を挙げて、より分かりやすくすることが情報の詰め込みです。

たとえば、YouTubeの解説ビデオでは、ホワイトボードを活用し、動画の始めにその内容を全て書き出しておく方法があります。これにより、視聴者はビデオの流れを初めから把握でき、具体的なポイントに注意を払いやすくなります。ホワイトボードには主要な話題やキーワード、図表などが含まれ、ビデオの各部分がどのように連携しているかが一目で分かるようになります。

また、たまにX(旧Twitter)において、映画の場面写真にタイトルや映画の説明コピーを載せている写真が流れてきます。場面写真にキャッチコピーと主要な場面の写真を載せることで、映画のテーマや雰囲気を効果的に伝えることができます。これにより、視聴者は映画の内容を素早く理解し、関心を持ちやすくなります。(ただしこのケースは、著作権の観点ではけっこうグレーな気がします。)

このように、コンテンツに多くの情報を詰め込むことは、受け手が一度の接触で多くのデータやメッセージを吸収できるようにするための効果的な手段です。しかし、情報の過多が逆に理解を妨げないよう、情報の整理と視覚的なクリアさを保つことが重要です。情報を整理し、重要なポイントを強調することで、内容の理解度を上げる手助けになります。

まとめ


ということで、ヒットコンテンツを作るための方程式を解説=「インパクト × 分かりやすさ」について、それぞれくわしい方法を解説しました。
冒頭にもありましたが、今の時代はユーザーに刺さるポイントがなければ観てもらえませんし、内容が分かりにくければ一発で離脱されてしまいます。
今回のフレームワークをヒットコンテンツの制作に利用してみてください。

今回のフレームワークに従うと似たようなコンテンツが量産されることになりますが、詳しくは下記を見てみてください。

コンテンツにオリジナリティは必要ない理由
https://note.com/media_labo/n/n533f80c5d860

インパクトのないコンテンツにもメリットはあります。くわしくは下記を見てみてください。
温度の低いコンテンツは、賞味期限が長い法則~Mステのタモリさんに学ぶ
https://note.com/media_labo/n/n4a7175156320

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