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コンテンツにオリジナリティは必要ない理由

プラットフォームによって伸びるコンテンツの型は決まっている

コンテンツを作る際に独自性を入れようとするとたいてい失敗します。それは、YouTubeにしろインスタグラムにしろTikTokにしろ、ウケるコンテンツの型は決まっているからです。
変にオリジナリティを出して独自のコンテンツを作ろうとしても、誰にも見られずに失敗してしまいます。

例えばYouTubeであれば、王道のYouTuberのネタ系動画をはじめとして、日常のルーティンを撮影したVlogであったり、時事ネタを解説した解説動画であったり、再生数がのびるコンテンツの型というのは決まっているのです。

同じくインスタグラムやTikTokにも鉄板の型があり、再生数を伸ばしている人たちは、必ずその人気の型に沿ったコンテンツを提供しています。
これらのプラットフォームで成功するためには、特定のコンテンツの型に従うことが重要です。

このコンテンツの型を遵守した方が伸びるというのは、コンテンツを提供するプロの世界でも同じ現象が起きています。

復讐やデスゲームが鉄板となったNetflix

Netflixで配信された韓国ドラマ「イカゲーム」は、配信開始から28日間で視聴数が1億1千万世帯を超えて最高記録を叩きだしました。観た人なら分かると思いますが「イカゲーム」はデスゲーム系のコンテンツです。

デスゲームといえば日本のマンガでは鉄板のコンテンツですが、デスゲームマンガ「今際の国のアリス」はNetflixで実写化されて、日本作品として最大のヒットを飛ばしています。

さらに、デスゲームと並んで人気のコンテンツの型といえば復讐系のドラマです。特に韓国ドラマはこの型にハマるものが多く、日本でもリメイクされた「梨泰院クラス」など多くの復讐モノが配信されてヒットを飛ばしています。

このようにNetflixというプラットフォームにおいてもデスゲーム系や復讐系など、ヒットコンテンツの型が存在するのです。

マンガアプリやアニメにおいてもヒットコンテンツの型が存在

ちなみにマンガアプリやアニメにおいてもヒットコンテンツの型を踏襲したものが多く配信されるようになっています。
先ほどのデスゲームも鉄板の型ですが、マンガアプリでは復讐系や裏社会系なども人気です。

さらに、ライトノベルやアニメにおいても長らく異世界転生モノの型が人気となっていて「無職転生」など多数の異世界転生モノが配信されています。

このようにヒットするコンテンツの型はプラットフォームごとに決まっているため、コンテンツにオリジナリティを出そうとすると、型から離れてしまい、誰からも選ばれないコンテンツになってしまうのです。
それでは、コンテンツの型に沿ってただ配信すれば良いのかというと、そうでもありません。コンテンツの型を守りつつ、そこにはクリエイターの工夫が必要になってきます。それは、日本の武道や芸術を学ぶ際に用いられる学習法「守破離」に近いのです。

コンテンツにおける「守破離」


「守破離」は日本の学習法で、3段階に分かれます。「守」は基本的な技術や規則を学び、厳格に守る初期段階。「破」では習得した技術を超え、独自のスタイルを模索。「離」は最終段階で、伝統から離れ、完全に自己独自の表現を確立します。

例えば、さきほど例に挙げた「イカゲーム」ですが、監督は「バトル・ロワイアル」や「ライアーゲーム」など、日本のデスゲームマンガに着想を得たといいます。

日本のデスゲームの型を守りながら、そこに監督ならではの工夫をほどこして監督独自の作品として確立しています。監督によると、日本のデスゲーム作品はルールが複雑で観客が理解をするのが難しいと感じたため「イカゲーム」では誰でも簡単にルールを理解できるような子どもの遊びをベースにしたといいます。
この工夫によって視聴者層が広がるので、Netflixの史上最高記録に繋がった大きな要因といえるでしょう。

さらに本作はデスゲームというコンテンツを通して、大金を欲してデスゲームに興じる人々を描くことで、行き過ぎた資本主義や貧富の差を描き出しているといいます。

デスゲームというコンテンツの型を守りながらも、作品のメッセージを伝えるという作家性も盛り込んでいるのです。

コンテンツの型とオリジナリティのバランス


ということで、コンテンツをヒットさせるためには型に沿う必要があるというお話でした。しかし、さきほどの「イカゲーム」の例のように、コンテンツの型に沿いながらも「守破離」にしたがって、独自の要素を入れたり、作品へメッセージを込めることは可能です。

このように、コンテンツクリエイターはヒットコンテンツの型と作家性というオリジナリティのバランスを、日々模索しているのではないでしょうか。

ヒットコンテンツの型と作家性というオリジナリティのバランスについては、下記の投稿を参考にしてみてください。

ジブリに学ぶ、マスにウケるコンテンツは多重構造
https://note.com/media_labo/n/nffb4c9c4c817

ちなみに、なぜヒットするコンテンツの型が決まっているかといえば、レコメンド機能が発達したからです。視聴数や視聴時間などのデータが細かく取れるようになったため、人気のコンテンツの型が明確になり、それらがレコメンドされることで、さらに視聴数を集めるようになりました。このあたりについては、下記の投稿を見てみてください。

「バズるコンテンツ」は、人間の本能に従う時代に
https://note.com/media_labo/n/nd9c78f8aed4c


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とりさん
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