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Googleも採用する、"良い人”の組織が強い理由

Googleの採用基準は、良い人であること

Googleの採用基準が「良い人=グッド・ネイチャード・パーソン」であること、というのは有名な逸話ですが、巨大テック企業がスペックではなく"良い人”という人間性に基準を定めているというのは、合理的な判断なんですよね。

いくら高スキルを持った人材がいたとしても、テック企業においては良い人で組織を固めた方が強い組織になるのです。

良い人は、組織に生まれた余白を埋めてくれる

ある会社にいたとき、アプリサービスを多数リリースしていて、ビルドというアプリを公開する前の準備を、各担当者がMacを使ってしていたのです。
私もMacを使ってアプリを公開しようとしたのですが、その際に「作業に数時間かかるから気を付けてね」と言われたのですね。

「え?そんなに時間かかる?」と思ったのですが、周囲の人は数時間かけてアプリを公開していたみたいなんですね。
そのMacはみなで使いまわしていたので、作業したいと思っても数時間待たないといけないこともあったようです。

それを聞いた"良い人”たる私は、社内のシステム部門に行って事情を説明すると、すぐにMacのスペックを確認してくれて「こんなマシンでよくそんな作業をしていたね」と言われたのです。
どうやらマシンのスペックが低かったらしく、すぐに別のマシンに取り換えてくれた結果、数時間かかっていた作業は数十分程度に短縮されました。

この問題は、Macのマシンのスペックが低いことが原因なのですが、それをうっすら分かりつつ、全員放置していたわけです。

なぜ放置していたかといえば、その問題を改善したところで自分の担当事業の評価には影響がないからです。
それを改善しようと思うのは、純粋に親切心なのです。組織上、こういう誰の担当でもないけど改善しないといけない余白というのが生まれます
それを放置するか、改善するかはメンバーが「良い人」かどうかにかかっているのです。

新規事業やITベンチャーでは、常に余白が生まれる


高スキル人材の組織は余白が生まれやすい。良い人の組織は、アメーバのように柔軟に余白を補完しあう


このように「良い人」は余白を埋めてくれるのですが、新規事業やITベンチャーにおいてはマニュアル化されていない未知の領域が多いため、常に余白が生まれ続けます。
このとき「良い人」でメンバーが構成されていれば、たとえ自分の専門外のことであっても組織の目的のために動いて、余白を埋めてくれるのです。

「良い人」は組織の目的達成のため、アメーバのように柔軟に動きを変えてくれるので、余白が生まれづらくなります。

逆に、高スキルではあるけれど「良い人」ではない場合、自分の評価やスキル向上に繋がらない領域には手をつけません。
そうすると、うまい具合にスキルのピースがかみ合わなければ、余白が生まれることになります。

例えばシステム開発をする場合「良い人」で構成された組織であれば、誰かしらが問題に気づいて、それを提起することで軌道修正ができます。
しかし「良い人」ではない場合、うっすら気づいていたけど「自分の担当領域ではないので黙殺した」ということが起こり得るのです。
システム開発における炎上の要因は、このように誰もカバーしない余白が生まれてしまうことにあるように思います。

市場のルールが変わるときは「良い人」が必要


一方、製造業であったり定型化されたフローが確率された事業であれば、とがった高スキル人材のみで問題なく事業が遂行されます。
各自のスキルを、モジュールとして上手くハマるように組み合わせることができるからです。

問題なのは、市場のルールが変わった場合や未知の事業に挑む場合など、不確実性が高い状況になった場合です。
どういうピースをどうはめれば良いのかが不確実なので「良い人」たちが柔軟に余白を埋めながら進めていく必要があるからです。

そして、特にIT業界などにおいては市場環境の移り変わりが10年単位で訪れるので、環境に適応できる「良い人」で構成された組織が強い、ということになります。

ということで、Googleなどおける巨大テック企業も、環境の変化に適応するためにアメーバ状に柔軟に動ける「良い人」の組織を構成しようとしているのではないでしょうか。


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