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キャリアはHPが減っていくRPGの前提で設計する

現実では年が経つごとにHPが減っていく


RPGゲームは、経験値を積んでレベルアップすることでHPの母数が増えます。しかし、現実の世界では、経験値を積んでレベルアップしても、加齢によってHPの母数は減少していくんですね。ラスボスを倒すときのHPが、ゲームスタート時のHPよりも少なくなるのが現実の世界です。だから、キャリアプランを総合的にどう組み立てるか、あらかじめ考える必要があるんです。

長期でのリソースの最適化が必要に

例えば、キャリア全般におけるHPの総母数が1000だったとします。これを20代~50代までの各年代に割り振った場合、例えばこんな感じになります


年代が進むと逓減するHP
AIで生成したが日本語フォントが化けている

20代から始まって、だんだん減っていくので、20代ではHPが400だったのが、50代では100と1/4になります。ということは、キャリアの初期に自分のリソースを何に割り振るのかがとても重要になるというわけです。それでは、キャリアの初期に何をすれば良いのか、次に考えてみましょう。

20代 戦士か魔法使いか。手数を打って専門性を見つける


20代のうちはHPが有り余っているので、何をやっても無敵という状態です。この時期にすべきことは、とにかく多くのことに挑戦して自分の専門性を見つけることですね。

RPGで言うと、戦士はHPが高く力が強いが魔法が使えない、魔法使いはHPは低いがMPが多く魔法が使える、というような特徴があります。自分の中の専門性が何かは、実際に手を出してみないと分かりません。ですから、いろいろと手を出してみて、自分の専門性を見つけることが重要です。

30代 職業転職。別の専門性を身に着けて希少人材に


RPGゲームの名作、ドラゴンクエスト3では一定以上にレベルが上がると転生ができて、転生前の能力もある程度引き継ぐことができます。

現実世界でも、若い時に色々と手を出して専門性を見つけた後、30代でさらに異なる専門性を身に着ければ、その希少価値はさらに上がります。ある分野で1/100の人材であり、別の領域で1/100の人材になれば、結果として1/10000の人材になるわけです。たとえば、20代でITの専門性を身に着けた後に、30代で不動産業界の専門性を身に着ければ、ITに強い不動産の専門家として「転生」することができるんです。これが、30代のキャリアプランで非常に重要な戦略になります。

40代 最強のギルドを組む


40代以降になると、加速度的にHPが減っていき、プレイヤーとしての限界が見えてくるんですね。このとき重要なのは、リソースを外部化することです。自分のHPが減少してアウトプットの総量が減るので、自分のリソースを補完してくれるギルドを組むわけです。

このとき、自分の得手不得手をふまえてギルドを組むことが大切です。さきほどの戦士と魔法使いの例を挙げると、力が強い戦士が攻撃を加えて相手にダメージを与え、魔法が使える魔法使いが回復系の呪文で回復を行うと、効率が良いのです。このように自分の得意不得意と、相手の得意不得意を補えるように組み合わせることが、40代のキャリアで非常に重要になります。

50代 RPGから卒業して戦略シミュレーションに


HPが逓減しているこの年代では、RPGというゲームの仕組みで戦うこと自体が不利になります。そのため、ゲームの種類を変えて「信長の野望」のような戦略ゲームにシフトするのが良いでしょう。これまで培った実績や人脈を活かした戦略ゲームへの方向転換が必要です。

目的のためにはこのリソースを動かす、このリソースを引く、というように、目的に合わせてリソースを戦略的に動かすための「仕組みづくり」が重要になります。つまり、この年齢に到達するためには、仕組み作りに必要な専門分野の知見と、そこに投入するためのリソース、人脈や資金などを確保する必要があるんです。この段階でのキャリア戦略は、自らがプレイヤーとして直接戦うのではなく、総合的な視点でゲームを操る「ゲームマスター」に近い役割を担うことになるでしょう。

ここまで年代別に考えてきましたが、特に重要な2~30代のキャリアにおいてやるべきこと、やってはいけないことについて解説します。

20~30代のキャリア初期にするべきこと、やってはいけないこと

やってはいけない:ブラック企業で耐える


20代ではHPが有り余っている状態ですが、それをブラック企業での過重労働に耐えるために消耗するのは避けるべきです。ブラック企業では、自身のスキルアップや成長につながらない仕事が多く、自分の大事なHPという資産を会社に差し出しているようなものです。最も大切なのは、これから母数が逓減していく自身のHPですから、ブラック企業につかまった場合はすぐにその環境から逃れるべきです。

また、長時間労働をして何らかのスキルが身についたり、本人が充実感を感じている場合は良いですが、義務感で行うべきではありません。いずれ目減りする貴重なHPを他人のために消費することほど取り返しのつかないことはありません。自分の時間とエネルギーは有限ですから、それをどのように使うか、とても慎重に選ぶ必要があります。

やるべき:レベルアップしたときに、何のスキルにパラメーターを振り分けるか意識する


レベルアップしたときに、どのスキルにパラメーターを振り分けるかを意識することは、RPGゲームと同様に、私たちのキャリア形成においても重要です。RPGでは、経験値を積んでレベルアップした際に、HP、力、守備力など、どの能力値にパラメーターを割り振るかを決定します。この選択によって、キャラクターの特性が形成され、その後のゲームプレイに大きな影響を与えます。

現実世界でも同様に、私たちはどのスキルや能力に投資するかを考える必要があります。たとえば、長く働ける耐久力をつけたい場合は、運動や食事に気を付けてHPの母数をできるだけ増やすことが重要です。また、海外で仕事をするための専門性を身に着けたい場合は、語学力など特定のスキルにパラメーターを割り振る必要があります。これらの選択は、10年後、20年後に自分というキャラクターがどのように成長しているかに繋がります

やるべき:手数を打って自分の向き不向きを見極める


自分の向き不向きを意識することは、キャリアを築いていく上で非常に重要です。生まれながらに体力があってトークスキルが優れている人もいれば、体力はないけれど思考力に秀でている人もいます。まさに、戦士や魔法使いのように、生まれ持った特性によって各々の向き不向きが決まります。

20代のうちは、誰しもがHPが一律に多い時代です。この時期に多くのことに手を出し、試行錯誤することによって、自分の適性を早いうちから見極めることができます。これは強いアドバンテージとなり得ます。例えば、さまざまな業界や職種でインターンシップを体験することで、自分がどの分野に自然と興味を持ち、どのスキルが得意であるかを理解することができるでしょう。

まとめ:ラスボスは自分で探す


ドラゴンクエストは物語が一本道で、順番にクエストをこなしていけば自然にレベルが上がり、最終目標=ラスボスを倒す、に近づいていいきます。しかし、現実の世界はオープンワールドRPGと呼ばれる、物語が一本道ではなく、プレイヤーの自由度が高いRPGに近いのです。
そこではお金を稼ぐもクエストをこなすも自由。自分が何をしたいかは、まずはフィールドをあるいてみて、手当たり次第にクエストこなしていくことで、自分が好きなことや嫌いなことを学んでいきます。
そうした経験を積みながら、キャリアの最終目標ーラスボスが何なのかは自分自身で決める必要があるのです。

一方で、会社に入社して、会社のために尽くすということは、自身の物語を会社に預けているということになります。20代のうちに自身の専門性を見極めて、自分の物語のために会社を利用するくらいの心構えの方が良いのではないでしょうか。


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