ラジオで16万人を集客!?音声コンテンツがねらい目な理由
熱量の高いラジオリスナー
あるタレントが「ラジオ番組は自分の庭のような感覚がある」と語っていたように、タレントにとってラジオって特別な場所なんですよね。
結婚報告や不祥事の謝罪など、重要な発表の場としてラジオが選ばれることが多いのは、タレントがリスナーを一番のファンだと思っているからです。
今の40~50代の方々は、思春期に深夜のオールナイトニッポンに夢中になった経験がある人も多いでしょう。ラジオ業界全体の収益は減少傾向にありますが、熱心なファンとの交流の場としては、今でも重要な役割を果たしているんですよね。
16万人を集客。リアルイベントの成功例
最近では、ラジオ発のイベントが大きな盛り上がりを見せています。例えば、TBSラジオが配信するPodcast番組「オーバー・ザ・サン」(ジェーン・スー&堀井美香)では、定期的にイベントを開催しています。
2022年10月のヒューリックホール東京(800人収容)から始まり、なんと2025年3月には日本武道館でのイベントが予定されています。
番組では、リスナーのことを「互助会員」と呼び、大ビンゴ大会や3000人規模の運動会など、参加型のイベントを展開してきました。
さらに、規模の大きいラジオ初のイベントが2024年に開催された「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」です。ライブビューイングとオンライン配信を合わせて約16万人もの方々が参加し、お笑いコンビによる単独イベントとしては過去最大規模となりました。
ただ観るだけではなく、イベントに参加するリスナーが数多く存在したり、16万人という過去最大規模の集客が叶うというところが、ラジオリスナーの熱量の高さを示しているんですよね。
radikoが広げたリスナーの裾野
このようなラジオの盛り上がりの背景には、ラジオ視聴アプリ「radiko」の成長があります。2024年11月時点で月間利用者数が約890万人、ダウンロード数は2,000万を超えています。
メインユーザーは40代で平均年齢42.5歳とやや高めですが、Z世代の10代の利用も増加傾向にあるようです。タイムシフト機能により、好きな時間に聴けるようになったことで、ラジオリスナーの層が確実に広がっています。
ラジオリスナーの熱量はなぜ高い?
タレントたちがラジオを「自分の庭」のように大切にし、リスナーたちが熱心にイベントに参加する―。ラジオが持つ特別感について、過去にコラムニストの故ナンシー関氏が「耳から入ってくる情報に対して、人は特別な感情を抱くのではないか?」という内容の話をしていました。
五感の中でも、耳から入ってくる音声コンテンツには特別な魅力があるのかもしれません。リスナーの心に直接響く、独特の親密さがあるんですよね。
「推し」と「共感」が鍵を握る音声コンテンツの可能性
ラジオの広告費は減っていても、熱心なリスナーとの重要な接点として機能し続けています。radikoのような非同期視聴を可能にするツールの登場で、その可能性はさらに広がっているんです。
音声コンテンツのプラットフォームとして知られるVoicyは、2021年3月時点で月間利用者数250万人を突破し、約6割のチャンネルが収益化に成功しています。ただし、先ほど紹介したような大規模イベントの開催実績はまだないようです。
私見になりますが、音声コンテンツの強みは「推し」と「共感」にあるのではないでしょうか。
音声コンテンツの強み
「推し」の声を身近に感じたい欲求
配信内容への強い共感
例えば、オードリーの東京ドームイベントは、リスナーの「推し」としての熱量が結実したものです。一方、「オーバー・ザ・サン」は、中高年の生き方に寄り添う人生相談を通じて、同年代の女性から強い共感を得ています。
この「推し」と「共感」という要素が、音声コンテンツと相性が良く、イベントへの強い集客力につながっているように思います。
現在のVoicyは、ビジネス情報やハウツーコンテンツが中心で、「推し」と「共感」の要素がやや手薄に見えます。「推されたい」クリエイターや「共感を生み出せる」クリエイターにとって、音声コンテンツは魅力的な選択肢となるかもしれません。