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AIバカ論~ビッグデータが人類を滅ぼす~

AI(人工知能)がいよいよ人間の暮らしに浸透してきた。いや、浸食と言ったほうが正しいかもしれない。

もちろん、AIによって私たちの暮らしが少しでも便利になるのなら、それに越したことはない。AIの技術を医療の分野に応用しようという動きが進んでいるが、人工知能のはたらきによってこれまで救えなかった命が救えるのなら、それこそまさに人類の進歩と言えるだろう。

ただし、AIガ本当の意味で役に立つならば、という話である。

たとえば、ネットショッピング。重度障害者ということで、普段からAmazonをかなりの頻度で利用している。

Amazonショッピングを一度でも利用したことがある人ならわかると思うが、Amazonで買い物をすると、それ以降、定期的におすすめ商品のお知らせがメールで届くようになる。ユーザーが購入した商品の履歴をもとに個人の趣味嗜好を割り出し、それに近い関連商品を売り込もう、というわけ。

大げさに言えば、ビッグデータの包括的活用、ということになるのだが、果たして、本当に意味があるのだろうか。

シンプルな話、おすすめ商品が私にとって本当に「おすすめ」だった試しがないのである。

つい先日も、「石原さとみ2021年カレンダー」をAmazonで購入したら、その後、深田恭子と新垣結衣のカレンダーが交互におすすめされるようになった。どちらも2021年版である。

……勘弁してくれ。

女優のカレンダーオタクでもあるまいに、どこの世界にカレンダーを1年に3セットも購入するユーザーがいるというのか(ガッキーのカレンダーには少しだけ心を動かされた)。

これもおそらく、AIがまさしく機械的に(うまいこと言っちゃったね)、「女優・カレンダー」というタグで情報を検索し、膨大なデータベースの中から「それらしい商品」をあてがった結果であろう。確かにAIの仕事として考えれば「よくできまちた」といったところだろうが、人間の仕事としては明らかに落第である。

「あの顧客は石原さとみのカレンダーを喜んでくれた。よーし、次は深田恭子のカレンダーを売り込むぞ!」と意気込むセールスマンがいたとしたら、即刻クビである。温情で残しておいたところで、つまらないミスを繰り返してトラブルメーカーになるのがオチだろう。要するに、本質を見る力がないのだから。

人が物を買う。確かに主体的な行動であるが、では、そのひとつひとつに明確な理由があるのかというと、そうとは言い切れない。洗剤や家電にしても、よほどのこだわりがある場合は別として、ほとんどは「何となく」という理由で選んでいるのではないか。

その「何となく」をいくら集積してひとかたまりのデータにしたところで、それはどこまでいっても「何となく」にしかならない。まあ、「下手な鉄砲も~」方式で1000回に1回はうまくハマるかもしれないが、それは結局、足で稼ぐアナログ営業と何ら変わりがない。だからこそ、深田恭子のカレンダーをおすすめされても心が動かないし、ガッキーのカレンダーを紹介されても「またか」としか思えないのである。

人が物を買う。その背景にある心理は、意外と複雑である。AIがどんなに進歩しても、「本当は専用サイトからテレ朝の女子アナカレンダーを買おうと思っていたけど、うっかりしていて申込期限が過ぎていた。仕方がないからAmazonで手っ取り早く売れ筋っぽい女優カレンダーを検索してみた」という購買理由を読み取ることはできないだろう。

AI信者のホリエモンには怒られるかもしれないが、人間がAIに負ける日は、まだまだ遠い未来のようだ。

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