カラー戦略マガジン 016号「万緑叢中紅一点 ~みんなが見える色づかい~」
本日のお題
こちらのことわざの意味は・・・
だそうです。
「緑」の中に一点だけ「赤」があるから目立つ、ということでしょうね。
でも!!
色弱とか色盲の方の立場に立つと、「緑」も「赤」も同じ色(どちらも「焦げ茶」に見える方が多いようです)に見えますから、こちらのことわざは成り立ちませんよね。
実は、色弱とか色盲の方は、日本人は男性に多く、日本人男性の20人に1人が、色弱とか色盲なんだそうです。
つまり5%の方々が、色弱とか色盲という割合です。
残り95%の大多数の方々が普通に見える方々なので、世の中的には、大多数の目でプレゼン資料やら看板やらポスターが作られていますが、私はそれは間違っていると思います。
95%は5%に比べると「多い」ですが、5%という事実は「存在している」のですから、95%の方々も5%の方々も、み~んなが見えるように!というのが私の考えです。
・・・ということで今回は、「カラーユニバーサルデザイン」についてお話ししてみようかな!と思います。
本日の内容を画像でダイジェスト
色弱や色盲の方々の見え方を知ろう!
上の図は、「福島県 カラーユニバーサルデザインガイドブック」より抜粋したものです。
右側に「配色の例」が掲載されていますが、「配色の例」の中の左側が一般の方々が見たイメージ、右側が色弱や色盲の方々が見たイメージです。
色弱や色盲の方々からすると、「赤」も「緑」も「焦げ茶」に見えます。
「ピンク」と「水色」も、ハッキリとした違いは無く、同系色のように見えます。
一口に色弱や色盲と言っても、程度には個人差がございますので、全員が上の図のような見え方とは限りませんが、目安として、大体こんな感じの見え方だと思っていただければと思います。
この見え方でいくと、例えば黒板は、こんな風に見えます。
上の図が一般の方々が見たイメージ、下の図が色弱や色盲の方々が見たイメージです。
色弱や色盲の方々からすると、赤いチョークと青いチョークが、とても見えにくいことがお分かりになると思います。
知能に問題が無くても、学ぶ意欲があっても、黒板の字が見えにくいというだけで、勉強しづらい、授業が面白くないとしたら、それはとても辛いことですよね。
そして、その辛さを改善するように努力するのは、5%の色弱や色盲の方々ではなくて、それ以外の、95%の大多数の方々の役割だと私は思います。
大事なところを白いチョークと区別して、赤や青のチョークで書きたくなる気持ちは分かりますが、色を変えなくても「大きく書く」とか「下線を引く」とか、工夫のしようがあるからです。
色弱や色盲の方々は生まれつきですので、工夫のしようがあったとしても、95%の方々の工夫に比べると、とても難しいのです。
95%の方々が、大事なところを「大きく書く」とか「下線を引く」って、とても簡単なことですよね。
こちら、例えを黒板にしましたが、プレゼン資料でも同じことが言えます。
大事なところに目立つ色を使うだけでなく、「大きく書く」とか「下線を引く」というちょっとした気遣いをプラスするだけで、み~んなが見やすいプレゼン資料(カラーユニバーサルデザインに則ったプレゼン資料)に生まれ変わります。
プレゼンをしたお相手が色弱や色盲だったら…。
決裁をする役員の方が色弱や色盲だったら…。
カラーユニバーサルデザインに則っていないプレゼン資料では、見えにくいし分かりにくいので、情報が正確に伝わらない場合があります。
その結果どうなるかと言うと、検討する気が無くなります。
そして、企業としての資質も問われますよね。
これだけ、「バリアフリー」とか「ジェンダーレス」とか「副業OK」とか、垣根や差別を無くして、世の中はどんどんフラットになっていく風潮があるのに、プレゼン資料は時代遅れで、5%の方々を無視しているんかいっ!遅れた企業やな!ってツッコミが入ることでしょう。
誰だって、周囲のことをちゃんと考えている、あたたかい企業とお付き合いしたいですよね。
あと、下の画像もご覧になってみてください。
誰もがよく目にする、カード決済の端末機なのですが…。
「暗証番号を入れたら、緑のボタンを押してください」って言う店員さん、よくいませんか?
私はこれも違うと思っています。
「緑の」って普通に言いますけど、「緑」が分からない方々が、5%いらっしゃるんです。
そしてその方々は、「緑の」って言われて、「緑」っていう色が分からなくても、長年の経験から「このボタンのことを言っているんだろうな」とアタリを付けることができます。
でも95%の方々は、5%の方々のこの「アタリ」に甘えちゃダメだと思うんです。
5%の方々の「経験」から来るアタリ。
その経験には、迷ったり困ったりしたことが、いっぱい詰まっていると思うんです。
それを含んだうえで、「暗証番号を入れたら、右下の実行ボタンを押してください」って全ての店員さんが言ってくれる世の中になったら、ステキですよね。
「緑の」って色で説明しなくても、場所や文字で説明することはできるんです。
そして最後に、こちらの写真もご覧になってみてください。
こちらはある日の「秋●原駅」の写真です。
私が怒りのあまり、激写しました。
文春です!笑
って言うか、秋葉原駅(あ、言ってもーた。笑)という、たくさんの方々が行き交う大きな駅で、こんな分かりにくい案内サインはダメですよね!
マル印で囲っている中には「右折」とか「左折」という文字が入っているのですが、普通に見える私ですら「見にくっ!なんじゃこら!」と思ったくらいですから、色弱や色盲の方々は、ほとんど見えないと思います。
多分、この「右折」とか「左折」という文字は、最初はもっと濃い色で書いてあったのでしょうが、日光に当たって退色したんじゃないかと思います。
でも、それを放っておいてはダメだと思うんです。
たくさんの方々、いろんな方々が見る案内サインなんだから、「常に分かりやすく、見やすく」ということに敏感になって欲しいな、と思います。
自分が見えれば良い、っていうことじゃないですよね。
見えない人、見えづらい人もいる。
そこに敏感になるべきなんじゃないかなって思いました。
まずは「カラーユニバーサルデザイン」を知ることから
熱く語りましたが、赤や青のチョークを使う学校の先生や、カード決済の端末機を使う時に「緑の」って言う店員さん、秋葉原駅の駅員さんを批判しているのではないのです。
誰でも、色弱や色盲の方々の見え方をご存知なければ、そうなると思います。
なので、たくさんの方々に、色弱や色盲の方々の見え方を知っていただいて「み~んなが見える色づかい(カラーユニバーサルデザイン)」をみんながすれば、情報はもっと正確に伝わるし、迷ったり困ったりする人も減ると思います!
まずは、こちらの記事がきっかけになればいいなぁ!
本日のカラー戦略的結論
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
色彩設計師® 目黒潤
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