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【安藤醸造座談会】170年の歴史を学び、舌で違いを把握する時間


創業170年を迎えた
秋田の老舗発酵食品メーカーの”安藤醸造”さん。

今回、7代目代表と秋田のグルメ情報をインスタグラムで発信している3名のインフルエンサーが語り合う” 座談会 ”を開催しましたので、その様子をみなさんにもお届けします!

普段、何気なく口にしている醤油や味噌について深く知る時間となり、醤油・味噌の食べ比べ体験では五感を通してそれぞれの味わいの違いを体感しました。

0. はじめに


「座談会」とは..?

今後の商品開発やマーケティング活動に活かすべく,意見交換から生まれる
お客様のリアルな声、そこから新たな気付きを取り入れる機会!

座談会は二部構成。
前半を座学で“ 製品について深く理解頂く時間 ”、
後半は“利き醤油”・“利き味噌”体験を行い“ 舌で違いを把握する時間 ”としました。

五感を通して、安藤醸造を深く知って頂きます。


はじめに今回ご参加頂いた、インスタグラムで注目を集めている3名をご紹介します。安藤醸造へのイメージも事前にお聞きしましたのでご紹介します♪

〈 ハルさん 〉 @haru_akita_gohan 
安藤醸造のイメージは..
やっぱり「しょうゆソフト」!ぜひ地元企業の応援に参加させてください!

〈 アキエさん 〉 @9mgmg7 
安藤醸造のイメージは..
角館を代表する老舗のお味噌、お醤油のお店
。お土産や贈り物用の商品が多く、質の良いものを販売しているイメージです!

〈 hiさん 〉 @hi___gourmet 
安藤醸造のイメージは..
誰もが知る味噌、醤油の老舗だと思います!小さい頃から角館=安藤醸造といったイメージです。

◆参加者
◎話者:株式会社安藤醸造・代表取締役専務 安藤雄介/専務 安藤有加
◎進行:Mecci AKITA
◎撮影:茶々
◆開催場所
 仙北市角館町・安藤醸造本店お座敷

1.【前半の部】170年の歴史と製品について理解する時間

1-1 ” 安藤醸造 ”について


安藤醸造は、秋田角館の味噌・醤油・漬物醸造元。
創業から170年、多くの人々に長く愛されている「秋田の味」を作り続けています。

角館の恵まれた風土によって育まれる美味しい製品たちは、天然の力で“時間”を掛けて醸し、水と原料にこだわり、添加物を加えず“人の手”を掛けて丁寧に仕込みをされています。

Mecci
みなさん、本日はお集まり頂き誠にありがとうございます。
はじめに、安藤醸造の歴史のおさらい、後半には味噌・醤油を実際に食べ比べて頂き、感想、質問、意見を頂ければと思います。

さっそくですが、安藤醸造 代表取締役専務安藤雄介さんより「安藤醸造」についてお話し頂ければと思います。よろしくお願いします。

安藤雄介さん
はい、みなさん本日はお越し頂きありがとうございます。
本日の座談会では素直に思ったこと、感じたことをお伝え頂ければと思います。

はじめに安藤醸造のお話を。創業が嘉永6年、1853年江戸時代の後期、ペリーが来航した年から存在していると言われており、私で7代目になります。
来年が創業170年の節目。そこに向けてチャレンジを重ねているところです。  

商品数でいうと300品ほどあります。地元の味噌醤油屋にしては品数が多いメーカーです。   

地元の方からはしょうゆソフトのイメージが強いですが、味噌醤油を基本としながら、いぶりがっこのクリームチーズ マヨ、いぶりがっこを薄型にしたレター式のパッケージ、角館高校の生徒さんのアイデアを形にして共同開発した味噌マカロンなど、色々と新しいチャレンジを繰り返しています。

店舗は今いるこちらの本店、北浦本館、花上庵の3店舗。本店の蔵座敷は市の文化財でもあります。住みながら、作りながら、売りながら、文化財として観光地の役割を果たしながら、複合的に行っております。

一方で感じる課題としては、少子高齢化、米食からパン食への移行、味噌汁を食べる機会の 減少、様々な調味料の登場などによって、味噌・醤油の出番が年々全国的に 減ってきています。醤油・味噌の消費量が少なくなっているのは協会としても厳しい現状ですが、そうは言ってられないので、170年に向けてチャレンジを繰り返し、次代へのバトンを繋いでいきたい。

次に繋げられるヒントを、今日みなさんから得られればという風に思っております。

1-2 " 醤油 "について


安藤雄介さん:ではお醤油の説明から。お醤油の原料はなんだかわかりますか?

アキエさん:大豆…?

安藤雄介さん:正解です!あとは?

ハルさん:小麦?

安藤雄介さん:おお、正解です!あとは塩水ですね。
弊社の場合はほとんどの商品が秋田県産の大豆と小麦、国産の塩、敷地から湧いている井戸水を使って仕込んでいます。
また、味噌の原料は大豆と塩までは同じで、あとはお米です。

hiさん:井戸水?!

安藤雄介さん
醤油の場合は大豆と小麦を混ぜ合わせたものを3日間かけて「麹」という状態にしたあと、約一年ほどかけて醤油蔵の中で発酵熟成させます。
そのあと濾布に入れて搾る、火入(加熱殺菌)を行えば完成。
醤油は12月に仕込み、商品になるまで1年程かかります。
春と秋は味噌を仕込みます。大手さんは、大きなタンクで温めるので約半年で完成します。温めると発酵が早く進むからですね。
我々はゆっくり自然に発酵させる「天然醸造」なので美味しい。
杜氏が一つ一つタンクを管理しながら一年間付き添うので、微生物が発酵させる様はまるで生き物。ご機嫌を伺いながら、会話をしながら作っていると杜氏さんが言っておりました。おいしさの秘訣です。

ハルさん:味噌と醤油の仕込み時期はなぜ分けているのですか?

安藤雄介さん:同じ機械を使っているから仕込みは一緒にできません。
気温が低い方が良質な麹ができます。ゴールデンウィークを過ぎて6月頃まで米麹を作ります。お米が取れて、寒い秋田だからこそ麹文化が盛んになったのかもしれません。

Mecci:ありがとうございます。それでは次にお醤油の試食をしてもらいましょう。

安藤雄介さん
「生醤油(きじょうゆ)」は当時の製法を守り、発酵熟成させたそのままのお醤油です。
「家伝醤油」と「十年さいしこみ」は醤油を醤油で仕込む”再仕込み”という製法で作ったものです。
“十年”の意味は、醤油を付け足しつけたし十年間足したものということになります。 “利き猪口”というお酒の比較にも使われる、透明度が分かる、底に模様のあるお猪口にお醤油を入れてみましょう。
特に醤油だとお猪口を傾けて粘度や濃度を測ったりもできます。

ハルさん:いい香り!!

アキエさん:「十年さいしこみ」の濃さがダントツですね!

「生醤油」試食・・・

アキエさん:一番薄い色の「生醤油」でも味が濃いと感じます..!

「家伝醤油」試食・・

ハルさん:全然味が違う.お刺身に合いそうです!

「十年さいしこみ」試食・・

アキエさん:濃厚でお餅にかけて食べたくなる..!

安藤雄介さん
「生醤油」は普通のお醤油より味が濃くて意味としては、添加物が何も入ってない、という意味です。
「家伝醤油」はそのまま、家に伝わるという意味で"再仕込み醤油”。
「十年さいしこみ」は、十年つけたしで作っています。
それぞれの味は好き好きなので、特徴に合わせて料理によって使い分けてもらうといいです。「十年さいしこみ」のように濃いのは、ワサビ醤油でステーキとか、砂糖醤油にしてお餅などが合います。「生醤油」のように薄めのものは、おっしゃる通り、刺身が美味しいですね。

ハルさん:料理によってお醤油を使い分けるという発想は普段ないですね。食べ比べてみたらその味に合いそうな使い方のイメージが思い浮かぶので、使い分けて料理を楽しんでみたいです!

安藤雄介さん
安藤醸造の仕込みは、時間をかけてゆっくり作ることで旨味をたくさん出せるようにしています
旨味があるので、いきなり舌をつくようなしょっぱさはないのです。
塩分濃度は変わらないのですが、旨味でしょっぱさがマスキング(包まれて)されていて、しょっぱいけどしょっぱくないみたいな。
それが特徴的な美味しさかなと思います。

1-3 " 味噌 "について


安藤雄介さん:
味噌は現在4種類
ありまして、麹の歩合の違いと、熟成期間の違いがあります。米麹が多い味噌ほど作るのが難しくなって、甘さが増し高級感がある

はじめにこちらの「みそマルシェ」は3年熟成させていて、少し酸味があります。野菜をディップして食べるのに丁度良かったので“野菜をたくさん食べる味噌”というフレーズを入れました。

三年熟成という特徴を生かしてプレミアム感を出す予定でしたが、女性デザイナーのアイデアにより方向転換。こちらのパッケージになりました。

ハルさん:パッケージが素敵。味噌選びに迷ったら私はこれを手に取ります!

安藤有加さん:「みそマルシェ」のファンは女性のお客様が多いですね。やはりパッケージがおしゃれで可愛いので手に取られる方が多い印象です。

安藤雄介さん
「家伝つぶみそ」は米麹がたくさん含まれていて、甘み・旨味が多い商品。他社の味噌と並べると分かりますが、安藤醸造の味噌は色が濃いのです。

色が濃いとしょっぱいイメージになり、店頭に並んだ際、選ばれにくいこともあります(笑)大豆を“蒸す”か“煮る”かで色の濃さが変わってくるので、「特上つぶみそ」は半々にして色をおさえています。
ちなみに「秋田味噌」と呼ばれるものは山吹色で、安藤醸造の味噌のように濃くないです。

hiさん:赤味噌と白味噌の違いはなんですか?

安藤雄介さん
赤いのは愛知・名古屋の付近、原料は大豆がほとんどで米があまり入りません。九州に行くと白味噌になり、米が取れない地域なので原料は小麦。

あとは発酵期間の違いです。九州は暖かい気候なので1ヶ月でできる。
秋田味噌は米麹を使った粒味噌になります。いわゆる世の中一般的にある味噌で信州味噌、仙台味噌と並ぶような日本のお味噌です。

Mecci:試食の準備ができましたので「家伝つぶみそ」から試食してみましょう!

「家伝つぶみそ」試食・・

ハルさん:これ、だし入ってないですよね?味噌だけですか?美味しい!

アキエさん:ぐいぐいいけちゃう・・!

hiさん:冷めても絶対美味しい!

「特上つぶみそ」試食・・

ハルさん:見た目が全然違います!

アキエさん:さっきのより味が濃いかも。

安藤雄介さん:米麹が少なくて普段使いにお薦めです。

hiさん:あれれ、わかんないかも(笑)

アキエさん:でも、結構味が違いますよね?

ハルさん:この後の利き味噌テストで間違ったとき恥ずかしいから意見言いにくいなあ(笑)

「みそマルシェ」試食・・

アキエさん:うーん、わからない〜(笑)食べ比べるほどにわからなくなってきますねー。

安藤有加さん:「みそマルシェ」が一番わかりにくかもしれません..!

hiさん:一番最初の「家伝つぶみそ」は香りが一番強い気がする。「家伝つぶみそ」が一番甘い、味噌たんぽみたいな感じ..?

安藤雄介さん:味噌たんぽは液糖を混ぜた味噌なのでトロッとした感じになる。甘いからそうですね、正解です。



2.【後半の部】舌で違いを把握する時間

【食べ比べテスト!】利き醤油・利き味噌


Mecci
では座談会後半に移り、まずは「利き味噌」体験を行います。
みなさん目を瞑った状態で、お味噌汁が入ったカップを順に2種類お渡しします。頑張って当ててくださいね〜!

利き味噌中・・

アキエさん:え、まって!わからない!(汗)

ハルさん:うーん。。わかんないけど好きな方を選ぶ!(笑)

安藤雄介さん:では、安藤醸造の「家伝つぶみそ」は何番でしょう?一斉に番号を発してください。せーの!

ハルさん:2番!
アキエさん:2番!
hiさん:1番!

安藤雄介さん:正解は1番です!!

一同:わーーーーーーーーーー(泣)

hiさん:なんとなく香りの違いでわかりました(嬉)

安藤有加さん:「家伝つぶみそ」の味に近い他社さんの味噌を選んでいたので、相当むずかしかったと思います。どちらも麹が多くて甘い味噌なので味がすごく似ています。

安藤雄介さん:難易度が高かったですね..!こちらの他社さんの味噌は麹の量が多めなので甘味だけに注目すると、選んでしまうと思います。旨味に着目するとかなり差があるので、料理に使用するとはっきり違いが分かると思います。

Mecci:これは主催者側のミスです、すみません(汗)気持ちを切り替えて利き醤油のテストをしましょう..!

利き醤油中・・

安藤雄介さん:では、安藤醸造の「家伝醤油」は何番でしょう?一斉に番号を発してください。せーの!

一同:1番!

安藤雄介さん:正解!1番です!

hiさん:よかったー!

アキエさん:もう外したらどうしようかと思いましたー(泣)

ハルさん:2番(他社製品)はただしょっぱくて、キツい感じ?
丸みが無いので違うと思いました。

安藤雄介さん
おっしゃって頂いている通り、安藤醸造の醤油は「塩カド」と呼ばれるものがないです。
大手さんだとどうしても生産手順・コストのカットによって、生産量やスピード重視になり、じっくり時間をかけて作った自然な丸みは出せません

Mecci
以上で利き醤油・利き味噌体験は終了です!
緊張感のある試食でしたね。(笑)最後に感想がある方がいらっしゃれば、ぜひお聞かせください!

ハルさん
味噌醤油の基本的な作り方を全く知らなかったので、「熟成」とかってパッケージに表記されていても今までピンと来ませんでした。製造に手間がかかってると、それに伴って深みも旨みも増すものなんだなと。今後、選び方が変わってくるなと思いました。

アキエさん:誰かに今日の体験を話したくなりました!お味噌を当てられなかったのが心残り..!

hiさん:普段、味噌醤油を食べ比べる機会が無いので味の違いを知る良い経験になりました!

安藤雄介さん
安藤醸造は、おいしさを求めて、時間なり手間なりをかけており、そういったところに違いが出ると信じています。とにかく美味しいものを作りたい。という志で、これからもその軸はブレません。

木に例えると幹の部分は残しつつ、枝葉の部分は切ったり曲げたり、いろんな角度での考え方は取り入れ、新しい商品の開発や、マーケティング施策は積極的に行っていきたいと思っております。みなさん、貴重な意見をありがとうございました。今後ともぜひお力添えよろしくお願いします!

3. 座談会を終えての感想


Q1.「安藤醸造にどのような印象を持ちましたか?」

ハルさん:こだわりを大切にしながら、新しい発想を取り入れ、商品開発されていることをもっと広めたいし応援したいと思いました。

アキエさん:老舗ながら新しいことにもチャレンジ、取り組んでいる。まだまだ今後も伸びていく企業さんだと思いました。お醤油やお味噌へのこだわり、愛情が伝わってきました。

hiさん:味噌醤油の製法・伝統を代々守り続けている老舗だと思いました。


Q2.「製品を使用して作りたい料理はありますか?」

ハルさん:味噌汁、野菜スティック、砂糖醤油でお餅!

アキエさん:お味噌汁、野菜スティック、野菜の味噌焼き、醤油と味噌で焼きおにぎり、きりたんぽ鍋!

hiさん:味噌汁、豚汁!


Q3.「新製品を開発するならどんな製品がいいですか?」

ハルさん:みそスイーツ、本館で気軽に食べられるものあったら嬉しい♡

アキエさん:お醤油やお味噌を使ったスイーツ、ケーキやソフトクリーム、クッキー

hiさん:みたらしスイーツ!


Q4.「座談会に参加した感想をお聞かせください。」

ハルさん
今回お話を聞いて、もっと安藤醸造さんの商品を身近なものとして使いたいし秋田の方々に知ってほしいと思いました。
なんとなく「観光のお土産」のようなイメージもあったので日頃から親しんで特別なもの、より普段使いしていきたいと感じました。
ありがとうございました!

アキエさん
お醤油、お味噌について詳しい説明をしていただいて勉強になりました。とてもいい経験をさせて頂いてありがとうございました!

hiさん
普段食べ比べることのなかった味噌醤油を食べ比べしてみて、香りも味も全然違ってびっくりしました。たまにいつもと違ったものを買って料理の食材によって使い分けてみたいと思いました。





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