窓越しには通行人の動きが理解できない
「閉じた窓越しに外を見ていると、通行人がなぜ奇妙な動きをしているのか説明できない。そこからだと外でどんな嵐が吹き荒れているか分からないし、通行人は嵐の中でただ必死に立っているだけかもしれない、というこも分からないんだよ」
ウィトゲンシュタインという高名な哲学者が大学でのキャリアを捨てて小学校の教師になると宣言したときに、姉に、なんで小学校の教師になるんだ、と聞かれて答えたのが上の一節らしい。ここで出てくる「嵐」はもちろん心の状態のこと。自身の「奇行」は心に吹く嵐に抗うためで