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1週間で東京・大阪生活スタイル×15年【吉良式発想法&視点】

どうもどうも、吉良です。

僕は月曜日の午後と火曜日の午前中に大阪府の大阪芸術大学で、その後飛行機移動して火曜日の午後に東京都の日本女子大学で毎週講義をおこなっています。もちろんそれ以外は明治神宮前のマンガデザイナーズラボでプロデュース作業をしています。

同じ日に大阪と東京で15年間続けて講義をしてる先生はさすがにあまりいないねと言われますが、決して自慢するためではなく、強い想いを持って継続しています。

今回はなぜ大阪と東京で講義をする東京・大阪2分割生活を送っているのか、僕が考えるその必要性についてお話していきたいと思います。

【1】雑誌局で抱いた疑問

僕は電通雑誌局時代、クライアント担当が長く、その中でもファッションクライアントを数多く担当していたためメディア戦略の中心である女性・男性ファッション誌を刊行するたくさんの出版社と仕事をしていました。

講談社や小学館という大手出版社をはじめほとんど全ての出版社の本社は東京にあり、広告作業の一部を除きすべての作業は東京で行われ、出版社はまさに絵に描いたような東京生活圏中心主義でした。

そのため、担当ファッション誌から発信されている情報のほとんどが外資系ブランド情報や東京発のもので、大都市である大阪や名古屋、福岡、北海道でさえも地方としてわずか数ページの扱い、東京生活圏のターゲットが嗜好するファッション情報を日本全国に広げるという考え方でほとんどすべてが完結していました。

電通は全国に支社、支局がありそれぞれの地域のクライアントに対応していたので、東京本社雑誌局にいる僕にとって出版社のこの在り方にはものすごい違和感がありました。

この出版社の事情から作り出される、いわゆる東京情報を日本情報として発信する形は日本中の人々に同じ視点で伝える報道、文藝、マンガ、芸能情報などなら構いませんが、地域ごとに人口、気候、ましてや文化が異なり考え方すら違うターゲットが東京発信のファッション情報を受け入れているのだろうか?

実際には東京生活圏以外の方には完全には受け入れられていないのではないかと思い続けていました。しかし、当時の雑誌は多くの方に購入していただいてそれなりに部数を重ね、われわれも一生懸命広告セールスをしていたので、販売、広告の両面で成り立っていました。

同じ紙媒体のメディアである新聞社は、全国紙である日本経済新聞、読売新聞、朝日新聞、産経新聞、毎日新聞の他に各都道府県に地方紙の新聞社があって地域情報を広める大きな役割を担っています。

この地方新聞社のような地域ごとの展開がファッション雑誌の世界には全くありませんでした。東京生活圏情報だけを伝える方針で本当に良いのだろうかという大きな疑問を抱えたまま、僕は電通を卒業しました。

【2】学生が教えてくれた疑問の答え

電通を卒業する時に、絶対にやりたいと決めていたことがあります。それは、1週間を2分割して関西文化圏と東京文化圏の両方で過ごす生活サイクルを創る、それもサッカーで鍛えた体力がある限りでした。これは電通に在籍していたら絶対にできない事でした。

強い想いや願いは不思議と叶うもので、2006年から大阪芸術大学で講義をする機会を恩師・小池一夫学科長(当時)、バロン吉元教授にいただき、念願かなって月・火曜日は関西文化圏、それ以外は東京文化圏で過ごす東京・大阪2分割生活スタイルを手に入れることができました。

そして、大阪芸術大学での200名ほどの受講生がいる講義で「関西に住んでいて東京の文化をそのまま受け入れる気持ちのある人は手を挙げてください」と長年の疑問を確かめる機会を得ました。

誰も手を挙げませんでした。誰ひとりもです。

僕はこの事実を嬉しく思いました。関西で生まれ育った人々が東京の話を見聞きしたとき、突然東京の文化を受け入れて地元の文化をないがしろにすることはないと信じていたからです。

僕は誰ひとりとして手を挙げなかったこの光景から、その地域の人々の生き方や習慣を理解し、その地域で努力して生きている人々に寄り添わない限り関東圏から来た僕の話を受け入れてくれる人はいない、ということを実感しました。

その時から今日まで実践している事があります「すべての講義、生活の中で地元の人たちが大切にしている関西弁(関西地方の方言)を絶対に使わず、どんなにうるさがられても自分の生活圏の横浜弁を炸裂させて講義や生活をおこなう」ことです。ありがたいことに学生達はこころよく(笑)受け入れてくれています。

口だけで関西の人々に合わせるのではなく、毎週関西に通って講義をするという体を張った行動で関西圏の人々にも真剣に向き合う気持ちを示すことで僕の話は関西の学生をはじめ関西圏だけでなく日本のどの地域の方にも受け入れられるようになりました。

東京は進んでいる、その東京で私は生活しているんだ、と東京を押しつけるような気持ちのにじみ出た情報や言葉を日本中の多くの人は受け入れていないのです!

1週間のうちに関西文化圏と関東文化圏の両方で過ごす新しいスタイルを創り、関西と関東で生活をしてみて関西のほうが情に厚く、地場に根差していると感じました。

東京にはもとから東京で生まれ育った人は多くなく、上京した人が大半です。東京は作り上げられた新しい文化・社会をそこにいる人々が中心になって作ったと思い込んでいるだけのように感じます。

【3】これからの地域の大切さ

デジタル化が発達した現在ではどこにいても東京どころか世界の文化や情報を享受することができます。近年ではインバウンドが進み、世界的に海外への興味も大きくなってきました。(新型コロナウイルスの影響で現在、インバウンドは停止状況ですが)

どこにいても情報を取れ、発信できる時代では発信地を東京にこだわる意味はなくなっています。逆に言えば、皆さんの地元の文化や情報を世界に発信することもできるようになっており、地域の重要性がこれから増していくということです。

確かに東京にも多くの魅力がありますが、東京がすべてではありません。
自分の地元を大切にしながら、他の地域の魅力も偏見や思い込みをなくして感じとれるようになると良いですね。

故郷を大事にする重要性はこちらでもお話しておりますので是非、合わせてご覧ください!

【4】故郷に錦を飾る企画

2021年の前期の講義では、学生たちの地元の発信の機会を創るために授業課題として2021年9月5日(日)に開催されるKANSAI COLLECTION 2021 AUTUMN&WINTERのメインビジュアルコンテストの作品制作を出題しました。

「J/COLOR~日本の自然がはぐくんだ四季折々の色彩~」をテーマに大阪から世界へ発信する関西の文化イベントを広く伝えるビジュアルを制作し、最優秀賞、優秀賞ともに僕の講義の受講生が受賞しました。

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(最優秀賞受賞 大阪芸術大学 キャラクター造形学科4年 呉本 紗理さん)

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(優秀賞受賞 大阪芸術大学 デザイン学科2年 長岡 怜奈さん)

このように地元のファッションの魅力はその地をよく知る人から伝えることでより魅力が増すと思います。地元で開催されるイベント等にアンテナを張って積極的に参加する努力をすることが、地元を大事にすることや他の地域を知ることの土台となります。

皆さんも地元をよく知り、他の地域の魅力を感じ取れる人に是非なってください。

マンガデザイナーズラボもこの考えを具現化するための企画(地域→日本→世界)を現在制作しています。また、お話しさせていただきますので楽しみにしていてください。


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