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50年振りに蘇る ビートルズ 映画「レットイットビー」と監督マイケルリンゼイホッグ

初公開から54年の時を経て、映画「レットイットビー」がストリーミング公開されることが発表されました✨

一昨年のピータージャクソンによる「ゲットバック」の公開時から、兄弟関係にあるこの作品の公開は常に噂されてきましたが、やっとのやっと。「ゲットバック」と同じくディズニープラスで5月8日配信開始です。


というわけで、新生「レットイットビー」と監督マイケルリンゼイホッグについて、最近のインタビューを使いながらまとめてみます。

新生「レットイットビー」

映画「レットイットビー」は、ピータージャクソンが「ゲットバック」を製作する過程で、約60時間の16mmフィルム映像とともにリストア処理がされました。そのため、今回の「レットイットビー」公開にあたってはほとんど作業が必要なかったようですが、デジタル処理で現代的な映像に仕上がった「ゲットバック」に対し、マイケルが「レットイットビー」はより映画的な映像となることを望んだため、再処理が行われています

ピーターは「ゲットバック」を製作する以前からマイケルと面談を重ねており、「レットイットビー」と重複する映像は使わない、同じシーンを使うときは別のアングルの映像を使うというポリシーのもと「ゲットバック」を製作しました。
「ドキュメンタリーのドキュメンタリー」となった「ゲットバック」では、マイケルが登場人物の一人として多くの場面に登場しますが、そのストーリーの中でも、「ゲットバック」の製作においても、マイケルリンゼイホッグをとても尊重しているのがわかると思います。
ピーターは「ゲットバックのクライマックスはレットイットビーであり、レットイットビーで描けなかった場面がゲットバックで表現されている。お互いが補完し合い、引き立て合う存在だ」と話しています。

監督マイケルリンゼイホッグ

「レットイットビー」の監督となったマイケルリンゼイホッグとはどのような人物でしょうか。マイケルはBBCの音楽番組「レディーステディーゴー」の制作に携っていたことからビートルズと知り合い、ペイパーバックライター・レインのMVを担当。その後、ヘイジュードのMVを制作したのち、ゲットバックセッションのドキュメンタリー監督として白羽の矢が立ちました。カメラマンや映像監督としてビートルズと仕事をした人たちは限られていますが、なかでも初期から解散期まで仕事を共にしたレアな存在と言えるのではないでしょうか。
またビートルズの解散後も、ウイングスのMVや、ジョンとポールの解散後フィクションドラマの制作にも関わっています。



マイケルが語る「レットイットビー」

マイケルが「ゲットバック」の公開時、そして今回の公開に当たって「レットイットビー」を語ったインタビューを抜粋します。マイケルの映画に対する想い、そして4人に対する想いが伝わってくるので必見です。

「レットイットビー」が暗い印象なのはなぜだと思う?

ビートルズは1971年の4月に発表をした。そしてレットイットビーは5月に公開された。だからみんな解散映画としてみることにしまった。本当はそうではなかったし、そういう宣伝もしてなかった。
でもみんな「もうビートルズを見ることはないんだ」という悲しみの中で「レットイットビー」を観ることになってしまった。

それに当時映画館で観た世代以外の人たちは、長年VHSかブートレッグでしか見れなかった。それらはアスペクト比も変わってしまうし画面は暗くて音も悪くなりがちだ。それも理由の一つだと思う。

リンゴは2021年に「楽しくない映画」と言っているけど、メンバーはみんな作品に不満だった?

1969年の7月にラフカットを観た後、ジョンとヨーコとポールとリンダとピーターブラウンと僕のガールフレンドと食事に行った。当時映画は順調で、ビジネスのゴタゴタもなかったし、友だちみたいな雰囲気で子供の頃の話なんかしながらワインを開けたよ。
11月に最終版を観た時もみんなでディナーに出かけて、ポールはいいんじゃないって言ってた。リンゴは踊ってたよ、彼は素晴らしいダンサーだからね。

54年の時がたって、楽しい映画に仕上がっていると思う?

先入観なしに見たらとてもいいと思う。
10代の頃からつるんで、お互いが兄弟のように情愛を持っている4人の物語だから。ただもうモップトップのファブフォーじゃなくなって、ツアーもやめて(ロックバンドにとってとても大きな変化だ)、 30になろうという頃のね。
映画から見て取れるのは4人の間の永久の情愛だ、ただ別々の人生を歩み始めたところだった。


当時バンドは解散すると思ってた?

いやまったく。4人で撮り始めて4人で撮り終えたから。
みんなそれぞれのアルバムを出したり別々のことをやるようになるかもとは思ったけど、また一緒にやると思ってた。ビートルズは本当にアーティストとしても社会に対しても強い力を持っていたから。実際解散するまで解散するとは思ってなかった。


屋上ライブについて

ビートルズはトゥイッケナムからアップルスタジオに移って満足していたけど、僕はドキュメンタリーのクライマックスに何かが必要だった。それで屋上ライブを提案した。間際のランチタイムでもまだやることが決定していなくて、ポールはやる気まんまんであーだこーだみんなを説得してた。リンゴもまあいうよって感じだったけど、ジョージは「何のためにやるの?」と。それからジョンがしばらくして「くそ、やるか」と言って決まった。

彼らのライブがどんなにスリリングか僕自身わかってなかった。
でも彼らは一緒に演奏するのが本当に大好きなんだ。お互い目を合わせて、笑いあって、ハモって、一緒にノルんだ。本当に美しいんだよ。そして彼ら自身それが特別だってわかってるんだ。

ジョンの最後の「オーディションに受かってるといいんだけど」ってセリフも完璧だった。誰もあんなエンディングは準備できないよ。



※参考文献※

NYTIMES(映画公開に合わせたインタビュー)

NME (映画公開に合わせたインタビュー)

People(2021年ゲットバック公開時のインタビュー)

I am the egg pod (2021年ゲットバック公開時のインタビュー)

2015年インタビュー動画


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