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奇妙な円満夫婦

母の実母(祖母)は、気にしていました。

母が父を伴わないで帰省した際、父にお土産を買わないことを。

母が父を伴わないで帰省すると、大概、1ヶ月は実家に居座ります。

何故か、冷蔵庫の前に万年床が敷かれ、その上に母が鎮座。

そして、お昼の12時過ぎ頃に起きる母。

やがて、祖母が昼食を母の枕元に置きます。

すると、お布団の中にから、にゅっと手が出て来て、おにぎりが消えて行きます(笑)。

母曰く。

「アンタ(私)育てて、疲れたわ!」

祖母がこの様な娘の横暴(?)を許しているのには、訳があります。

祖母は、生まれたばかりの母を捨てた過去があります。

その捨てた子供に、しばらくの間養ってもらっていた祖母。

母に頭が上がる訳もなく…。

母が帰省するとなると、もう、大変。

冷蔵庫の中に、ビールや神戸牛、高級洋菓子などのご馳走を詰め込みます。

これ、決して母がおねだりしたのではないのですが…。

母が、言いました。

「あの婆さん(祖母)、罪滅ぼしも大変やな!」

時折、冷蔵庫を開けて、ビールを飲む母。

極楽、極楽。

我が家へ戻る母に、祖母が尋ねます。

「アンタ、お父さんに、何かお土産買わんでもエエんか?」

これに対して…。

「お父さんはな~」

「『お土産くれ!』とか、しょうもないこと言わんのじゃわ~」

「嫁に重たい思いをさせる様な男じゃないんやわ~」

そう、言い放つ母。

これを聞いた祖母の表情は、なんとも言い難い様なヘンテコな感じ。

ちなみに、母も父にお土産を要求したことは、1度もありません。

でも、父は必ず母にお土産を買って帰ります。

すると…。

「アンタ、いつまで既成概念に囚われとるんか!」

「私は、日頃からお父さんには良くしてもらっとるんやさかい、変な気遣わんときー」

怒りながら、感謝の意を表す変な母。

でも、この夫婦は、とても仲良しなのでした(笑)。


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