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医学と文学/EBMと私

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shimohara-yasuko ▶PCより本好きの元医学図書館司書です。
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記事一覧

医者が心をひらくとき ー医師にも彼らの物語があるー (2)

地域医療ジャーナル 2022年5月号 vol.8(5) 記者:shimohara-yasuko 元医学図書館司書 前号にひき続き、以下の本の下巻に収められた作品のなかから、3編をダイジェストでご紹介します。   医者が心をひらくとき -A Pieace of My Mind 上・下巻 ロクサーヌ・K・ヤング 編  李 啓充 訳  医学書院 2002年  告知 (医師) 彼女はサンルームに一人座り、輝く朝日を浴びて豊かな黒髪を梳いていた。彼女を受け持つ腫瘍専門医として

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医者が心をひらくとき ー医師にも彼らの物語があるー (1)

地域医療ジャーナル 2022年4月号 vol.8(4) 記者:shimohara-yasuko 元医学図書館司書   JAMAの名物コラム:A Pieace of My Mind JAMA(米国医師会雑誌)という雑誌をご存じだと思います。米国医師会(American Medical Association:AMA)が発行する臨床雑誌で、1883年創刊。アメリカで最も権威のある医学・医療雑誌のひとつです。 医学図書館員だったころ、わたしはこの雑誌の受け入れが楽しみでした

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ドストエフスキーと医学(3)

地域医療ジャーナル 2022年3月号 vol.8(3) 記者:shimohara-yasuko 元医学図書館司書   ジークムント・フロイト「ドストエフスキーと父親殺し」をめぐって ━「ドストエフスキーのてんかん研究」の変遷 ━ Sigmund Freud.1928. Dostojewski und die Vatertötung ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの (光文社古典新訳文庫) 中山元 訳 2011/2/9 1) 神経症患者としてのドストエフスキー(

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ドストエフスキーと医学(2)

地域医療ジャーナル 2022年2月号 vol.8(2) 記者:shimohara-yasuko 元医学図書館司書 ドストエフスキーとてんかん 1) W.ペンフィールド『脳と心の正体』 わたしは27歳で医学図書館員になりました。このときから「医学と文学の接点」の模索が始まりました。ほどなく、一冊の本と出会いました。医学専門書に挟まれて棚の奥に押しやられていた小さな白い表紙の一般書です。ドストエフスキーの合鍵がその本にピタリとはまりました。 脳と心の正体 ワイルダー・ペン

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ドストエフスキーと医学(1)

地域医療ジャーナル 2022年1月号 vol.8(1) 記者:shimohara-yasuko 元医学図書館司書   ドストエフスキーのハマり方  昨年2021年はドストエフスキー生誕200周年でした。同じ年に、連綿と引き継がれてきたわたしたちの「ドストエーフスキイ全作品を読む会」は50周年を迎えました。永続している理由は単純です。いつの時代でも、年齢、職業、身分、性別などを超えて、「すごい!おもしろい!」とハマる人々が後を絶たないからです。 長く読みつづけてきたこと

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「絶望読書」のすすめ ─ 絶望の時には絶望の本を

地域医療ジャーナル 2021年12月号 vol.7(12) 記者:shimohara-yasuko 元医学図書館司書 良い患者図書室を持つ病院には悪い病院はない 2021年10月、コロナ感染者数の減少が顕著になったころをみはからって、千葉県にあるがん専門病院を訪ねました。2020年10月に完成した新病院の中にリニュアルオープンした患者図書室を訪問するためです。これ以上望めないほどの一等地にその患者図書室はありました。 私はリニュアル前の患者図書室で、開設から7年間(20

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イワン・イリイチの死と “トータルペイン”

地域医療ジャーナル 2021年11月号 vol.7(11) 記者:shimohara-yasuko 元医学図書館司書 トルストイ『イワン・イリイチの死』は、小品ながら、広大なロシア文学の中でひときわユニークな輝きを放つ珠玉の名作です。 主人公のイワン・イリイチは19世紀ロシアの裁判所の一判事(45歳)。物語はこの人物の訃報から始まります。官界における出世と快適な私生活の充実に人生の努力の大部分を費やし、まずまずの成功に満足しきっていた矢先、イワン・イリイチは不治の病におか

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ノーマン・カズンズとプラセボ

地域医療ジャーナル 2021年10月号 vol.7(10) 記者:shimohara-yasuko 元医学図書館司書 自らのからだを実験室にしてプラセボ効果を実証した人がいます。ノーマン・カズンズ(1915-1990)です。ノーベル平和賞の候補にもなった有名なジャーナリストで、核兵器廃絶、環境汚染反対運動などで活躍しました。日本では広島の原爆乙女をアメリカに招き治療を受けさせた人として知られています。『サタデー・レビュー』の編集長を30年間つとめた後、1978年にUCLA医

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EBMって何?「エビデンス」ってどこにあるの?

地域医療ジャーナル 2021年9月号 vol.7(9) 記者:shimohara-yasuko 元医学図書館司書 EBMには「つくる」「つかう」「おしえる」などの側面があって、それぞれの分野において、研究、実践、教育がすすんでいます。 医学図書館司書もEBM情報支援という役割を担っています。私もその一人でしたが、EBMや「エビデンス」に対して、なにか言葉にならない、胸につかえたような感じがありました。 そのモヤモヤを、ものの見事に吹き飛ばしてくれたのが、以下に紹介する、

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[深読み] 返信:[新連載] 医学と文学

地域医療ジャーナル 2021年9月号 vol.7(9) 記者:shimohara-yasuko PCより本好きの元医学図書館司書  地域医療編集室では、地域医療ジャーナルの定例輪読会「深読み会」を行っています。メンバーがトピック記事をセレクトして、記者との意見交換を行うものです。  今回は 2021年08月号 vol.7(8) の記事 [新連載] 医学と文学 がセレクトされました。  記者へお送りした感想と質問に対する返信をいただきましたので、[深読み] 記事として公開

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[新連載] 医学と文学

地域医療ジャーナル 2021年8月号 vol.7(8) 記者:shimohara-yasuko PCより本好きの元医学図書館司書 自己紹介と「医学と文学」についてはじめまして。下原康子と申します。当年取って75歳。1966年に図書館短期大学を卒業して司書になりました。文系大学図書館、政策金融機関資料室を経て、1974年~2014年は、医学図書館、病院図書室、患者図書室で働きました。 このたびの「地域医療ジャーナル」連載は思いもよらないことでした。医学図書館員歴が長いとはい

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