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バイリンガル育児相談――父親のみが日本人でアメリカに住んでいる場合

昔からちょこちょこバイリンガル育児の相談を受けて来た私ですが、普通は日本人の母親から「(アメリカで)日本語教育を頑張りたいけど、どうやったらいいですか?」って言うケースがほとんど。この場合、父親はアメリカ人の場合がほとんどだ。(でも日本人夫婦だけどアメリカに定住しているという家庭も多い。)

しかし、たま~に父親が日本人で、アメリカ人乃至は他の国籍の女性と国際結婚をしてアメリカに長く住んでいるという家庭からの相談も受ける時がある。

その場合の方が、適切な回答を見つけるのが難しい。と言うのも

【母親がアメリカ人で日本語を全く理解しない場合】家庭ではほとんどの会話が英語になる。子供が学校から帰って来て日本語の勉強をしようと思っても、質問があっても母親だと勉強を見ることが出来ないので、どうしても自分で勝手にやっちゃう、という子供が多い。ーー>間違ったまま覚えたり、出来ないまま、というケースになる。そして父親は大抵フルタイムで働いているケースが多いので、帰宅後毎晩何時間も息子の勉強を見ることは物理的に難しい。

もっと難しいケースもある。それは

【母親がアメリカ人ではなく他の国出身で、英語、日本語以外の母国語を話す場合】実際に見て来たことがあるのは母親がタイ人、中国人、メキシコ人、のケースであった。こうなると母親は家庭では自分の母語(タイ語、中国語、スペイン語)を子供に話すこともある。そして夫婦間は大抵が英語の様である。そしてその上に日本語も、となると明らかに大変である。全てが覚束ないまま物事が進んでいく、という感じか。

その他にもアメリカ人の母親だけど、少しは日本語に造詣のある場合、等もある。もう家庭によってびっくりするくらい状況は全然違うのだ。

ただ、父親が日本人だといい事もある。それは「(日本人の)父親が子供に『日本語を教えたい』という意思は配偶者でもある母親に尊重されやすい。」という事だ。

母親が日本人で父親が全く日本語を理解しないアメリカ人、というケースが一番多いのだけど、その夫婦によっても違うが、ある夫婦はアメリカ人の父親が日本語を子供に教える必要性や意義を深く考えていなかったり、バイリンガル教育に非協力であったりするケースもある。そうなったら母親は父親の前では子供にも英語で話をしたりして、なかなか家庭内でのバイリンガル教育は進まない。また補習校に通っていても「辞めさせろ、土曜日は家族で過ごしたい、もしくはスポーツをさせたい」と父親に言われて泣く泣く諦めるケースも見て来た。

何度も書くが、バイリンガル育児&教育は夫婦で、家庭で、一致団結してやっていかないとなかなか結果は出ない。そんな簡単な道ではないのである。

そんな中、私がしてきたアドバイスで一番皆さんに納得してもらう事が多かった答えは「バイリンガル教育は特別なギフトになります、なのでやっぱり時間とお金がかかるのは仕方ない、ある意味必要経費だ、と考えてもいいかと思います。なので、思い切ってお子さんが学校から帰って来て、お父さんが仕事から帰ってくるまでの間の、週に一度の1時間でも日本人のチューターなどに来てもらって、勉強を集中してみてもらった方がいいと思います。お金はかかりますが、教育や教養はお金がかかるのはある意味仕方がない、と思えばわかって頂けるのではと思います。」というもんです。

父親はこれで納得する人が多いです。そうなると「週に1回、1時間で足りますか?」と来ます。勿論足りないでしょう、なので、その場合、「出来れば週に2,3回がいいでしょう。集中力の問題もあるので、1時間で大丈夫でしょう。補習校の宿題の丸付けや音読の確認、漢字の書き順やかけているかどうかをチェックしてもらうだけでも違うと思います。」と言います。

実際にそれに従ってやっている子供は日本語学習にも意欲を持ち続けて勉強していると思います。やっぱりバイリンガル教育はお金も時間もかかる。でもそれだけやって価値のある親からのギフトなんだと私は考えます。

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