見出し画像

TiとTeの議論で起こりうる齟齬、その対策

1.はじめに

今回は、Ti(内向思考)とTe(外向思考)について書いていこうと思います。

SNSやYouTube、TVなど、場は問いませんが、「議論」を見ていると思考機能がTi軸かTe軸かによって、食い違いが生じているケースをよく見ると思ったのが執筆のきっかけです。

2.Ti、Teとは何か

Ti:内を向いた思考。主体の中で構築される思考。主観的判断>客観的事実
Te:外を向いた思考。外側の客体(データなど)から取り入れていくことで作られる「法則」のようなもの。客観的事実>主観的判断

端的に表すとこのような内容なのですが、そもそも論理の構築方法から見ても逆のアプローチをとっていることがわかります。

3.Ti、Teの性質と盲点

結論から述べますと、Ti軸とTe軸の議論が食い違ったり逸れてしまう原因は、互いの思考の内/外の比重が大きく異なっているまま議論しているケースが多いです。
(もちろん他の原因も考えられますが)

それでは、どういう諸性質により、どういった盲点が捉えられるのかを以下で示していきたいと思います。

Tiの論理と盲点
はじめに、Tiが構築する論理は、一見して筋が通っています。しかし、「主体(本人)の中で」という条件付きです。語義通りですが、内を向いて作られた思考とも言えます。換言すれば、「自分の中でしか成り立たない論理にもなりかねない」ということです。Tiがこのことを客観的に認知せずに自らの抽象的理念を外部に押し通そうとすると、客観的事実ベースのTe軸の相手からは「なんの事実にも即していないのに、何を言っているんだ」という齟齬が生まれます。

Teの論理と盲点

前述の通り、Teはどちらかと言うと外部から引っ張ってきたモノを素地として構築されています。語義通りですが、外を向いて作られた思考とも言えます。そのため、主体のバイアスが大きくなければ一定の外的妥当性があります。盲点としては、一つは、そもそも引用先に誤謬がある場合。もう一つは、Teが過度な場合、あまりにも外部データに依存しすぎて、自分の意見が希薄な論理になってしまう危険性も孕んでいると思います。相手からすると「その引用データの信憑性がわからない」「相手の意見の主軸がわからない」ということも起こりうると思います。

4.齟齬のメカニズム

こうした齟齬ですが、文章で説明してみるととても当たり前のことのように思えます。しかしこれにより発生してくる「論点のズレ」は非常によく観測されると思います。

典型的なTiの例としては、某2ch創設者の方の「Ti的な内的論理を外部にも適応させようとするも、周囲は疑問を抱いてしまう」のようなケースです。(この方は聡明であると考えており、例示しただけで非難しているわけではありません。)


こうした事例は、Ti傾向が強い分、相対的に思考が外を向かない(十分な外部データ、実際性の不十分さ)ために、外的な妥当性を十分に顧慮せずTiの論理を外部に主張することによって生じています。事実の十分な裏付けがされてない主張は、客観的に捉えると浮いていて、空振りしているようにも見えます。





5.建設的な議論のための対策/実践


ここで、意識することは思考の内外バランスを出来るだけ均衡に保つことです。完全な1:1は難しいかもしれませんが、意識して損することはありません。
ユングも「タイプ論」で「真に理性的な判断は、客観的要因と主観的要因の両方に基づいている」と述べています。

イメージではこんな感じでしょうか。

客観的要因(Te) :主観的要因(Ti)
           = 50 : 50
 (判断原因の全体を100とした場合)

↑あまりわかりやすくない描写ですが、何らかの判断を下す際、このような内外比が(理論上は)理想ということになります。

そのため

(i)判断が客観ベースの場合(Te寄り)→自分の主観にも目を向けて論理構築する
(ii)判断が主観ベースの場合(Ti寄り)→客観的な外的要因にも目を向けて論理構築する

こうした方法論に帰結します。

もう少し具体的に言えば、

(i)の場合、「自分はそもそもこのテーマに関して、(外的文脈を一旦排して)どう思っているのか」と考えたり、「自分がこの要素を選んだ理由は何なのか」などの内的な自分の声を聞こうとすることが挙げられます。

逆に(ii)の場合、内的な自分の論理を、外部と接合する必要があります。たとえば「この意見は筋が通っているように見えるけど、自分以外にも当てはまるのか、さらには一般的な妥当性かあるのか」などの自問をしたり、「このふわっとした抽象論理を、客観的に裏付ける外部要因はあるのか」などに目を向けることで論理はより妥当性を増すように思います。

それぞれ、こうしたことが実現できれば(または漸近できれば)、建設的な議論に一歩近づくのではないかと思います。


今回は以上です。ここまで見て頂きありがとうございました。


この記事が参加している募集

#おうち時間を工夫で楽しく

95,573件

#最近の学び

180,977件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?