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「人口100万都市の復活」を市民が望んだという解釈は間違いだと思う。人口は減るべくして減ることを北九州市民はわかっているはずだ。


5日投開票の北九州市長選で、組織票をほぼ持たない武内和久氏(51)が、新市長に選ばれた。原動力になったのは、市が衰退に向かうことへの市民の危機感だ。日本をけん引する都市の象徴として「人口100万都市の復活」を公約に掲げ、福岡市のような成長を望む有権者の心をつかんだ。

日本経済新聞 2023年2月6日

下に引用したのは、2015年の厚生白書にあったグラフである。

人口減少時代に「人口100万都市の復活」を選挙での公約に掲げる候補者に市民が引きつけられたという解釈が日本経済新聞の記事にあったが、これは当たっていないと思う。

人口は増えるべきして増え、減るべくして減る。

また、人口量に象徴される諸都市間のヒエラルヒーも自然法則のように存在する。

「福岡市のような成長」を北九州市に望むことは、福岡市の存在を前提にする限り現実的でない。

しかし、「人口100万都市の復活」を公約に掲げた以上、公約の実現に向かって市政を動かしていくのであろうか。

カジノなどを誘致したら若者の職場を確保できるとか、「人口減少に対する起死回生策」だとかいう議論——「一部の市議や経済界」がIR誘致活動をやっていたと言われている——を市民が信じていたとは思えない。

人口の「復活」を市政の最優先課題に取りあげるのはやめた方がよい。

もしかしたら、それが達成できるまでと言って市長を続けようという戦略なのだろうか。公約達成について、その時期の目標を示さなかったということである。

人口の減少は、色々なことの結果であり、「最適サイズ」を想定するのはいいが、人口量自体を政策目標とするのは不条理である。

付け加えて言えば、100万人が北九州市の人口の最適サイズであるという根拠はどこにあるのだろうかと思う。

人口減少時代であることを前提にして各市の人口もとらえるべきだろう。また、ランクサイズルールも。

グラフの出所:平成27年厚生白書


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