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北九州市の市長選挙は何だったのだろうか。



選挙で何が争点であったか

北橋健治さんとお会いしたことはないが、自治体の首長としての適性と能力を備えておられたのだと拝察する。

今回の市長選挙で当選した候補者やその支持者の発言の中に、「北九州市の沈滞」——人口の減少が北橋市政の失敗のようにとらえる支持者がいるようだ——を嘆くものがあったように思う。

しかし、人口を増やすというかけ声の下にカジノなどを北九州市に誘致しようとした「一部の市議や財界」の動きに北橋市長が賛同しなかったことは積極的に評価したいところだ。

新市長がどういう人なのかよく知らない。

「組織票をほぼ持たない武内和久氏」という説明をある新聞で見たが、街頭における選挙運動が他の候補よりも活発であったという印象がある。

選挙に備えた活動を始めた時期も早かったのではないか。
運動員や支持者の動員も活発に行われていたようだ。

支援する候補者がやってくる場所に集団で移動する人たちがいた。

どの政党と関係があるのか、どういう人たちが中心になっているのかと思っていた。

気になって調べてみると、「麻生太郎vs武田良太のガチンコ戦争」と解釈する「現代ビジネス編集部」の記事もあった。

自民党内の無意味な権力闘争に自民党以外の人も市民も巻き込まれてしまったのだとしたら残念なことである

また、「IR推進派市議」が「二股をかけている」という、何のことかよく分からない説明もネット上にあった。

IRについて付け加えれば、それを誘致する活動の中心を担ったのが、北九州中小企業経営者協議会(中経協)であったことを選挙の後で知った。

選挙の投票日に、投票所に出かけようという意欲がなかなか出てこなかった。

新市長に望みたいことは、大阪府や大阪市のような——あるいは、米国の前大統領トランプのような——乱暴で独断的な行政のスタイルを取らないようにということだけだ。

「維新」とか、「改革」、「Make America Great Again」などの空疎な言葉の連呼で人びとが操作される不条理な政治の流れは受け入れがたい。


北橋氏の言い分


 北橋さんがTwitterで発信していることがわかった。16年間の経験を詳しく伝えてほしいと思う。

https://twitter.com/shunjyu999


自民党県議の述懐など



 自民党県議がつぎのように語ったということである。こういう冷静で客観的な分析ができる人は貴重な存在であろう。

「2019年の知事選の時、自民党福岡県連は麻生氏の“威光と意向”で武内氏を推薦した。選挙は負けたけど、自民党支持者のなかでは武内氏の知名度は確実に上がった。今回、麻生氏は表に出ていないとはいえ、武内氏が津森氏に敗れると武田氏に“2連敗”したというイメージがつくだけに、武内氏陣営は『負けられない』という気迫を感じる。逆に津森氏の選対事務所は武田氏が取り仕切り、大家氏の失策で立憲民主党や国民民主党はしらけてしまい、不協和音がささやかれている」

AERAdot. 2023年2月4日

[参考資料]

コンサルタント会社と企業経営者とが地域社会の未来を構想するとどんなものになるかを考えるための資料として。「企業経営者が考える地方創生とビジネスチャンス」ということであろう。

DXと地方創生』 :
「2030年を見据えたイノベーションと未来を考える会――イノベーション・ エグゼクティブ・ボード(IEB)」の公表文書。

「コアメンバー」として、サントリー、ユニ・チャーム、リクルート、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの社長等が、アクセンチュアの役員以外に入っている。

「有識者」として、内閣府地方創生推進事務局長内閣審議官、KDDI社長、ヤマトホールディングス会長などが、アクセンチュア内部の関係者以外で入っている。 

構想の内容は、「官民連携」という趣旨のようだが、「民」の方は企業だけで、住民は消費者としてしかとらえられていないような印象である。「労働者」という視点もないようだ。

「未来」について論じられているが、「民主主義」や「公正」、「平等」ということについての考察は何もないようだ。

「Big Brother Is  Watching You」の世界とどう違うのだろうか?

イノベーション・エグゼクティブ・ボード 2020 第1回テーマ会議 「DXと地方創生」


以下のようなものもあった。内閣府のサイトに「Society 5.0」についての説明がなされている。技術の発展がもたらすリスクについて考えが及ばない、何という能天気な発想なのだろうか。「技術決定論」の典型的なもののように思う。

Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます

内閣府
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

内閣府

スマート・シティの背後にある政治性について

AIを駆使したスマート・シティ計画。夢の技術によって都市の問題はすべて片付くのだろうか? 我々は技術がすべて解決するという「テック・ゴーグル」をつけたテクノロジーの伝道者に踊らされていないだろうか? 本書は、スマート・シティの背後にある政治性を明らかにし、テクノロジーが都市の統治と生活に与える無数の影響に光を当てることを目的としている。多くの失敗例や危険性を明らかにしながら、技術を適切に利用した、公正で民主的な都市のあり方を、行政に詳しい著者が提言する。(スマート・イナフ・シティ──テクノロジーは都市の未来を取り戻すために)

https://www.dumbcity.jp/smart_enough_city


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