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「自民系若手市議2人」が思想信条の区別を強調しているようだが、彼らのそれは、「無党派層」と同じだろうか。「市民の声」は彼らにどう扱われるのだろうか。

彼らは、選挙活動において「市民党」というイメージ戦略に成功したようだが、「100万都市の復活」とか「稼げる街」という公約は、市民が本当に求めているものだろうか。

政治家は演説で熱弁を振るうだけでなく、何が本当の課題か、守るべきものは何かを冷静に考えてほしい。

「空飛ぶクルマ」が描かれていたり、遊園地や娯楽施設ばかりのような北九州市の「未来構想図(第一弾)」の第二弾はどんなものになるのだろうか。

トランプの「Make America Great Again」と同じようなナンセンスな公約にとらわれると市民の生活を守り向上させることはできなくなる。

「我々こそが保守本流」と言ったようだが、これはどういう意味なのだろうか。

自民党内の派閥の脈絡の中で麻生太郎氏や武田良太氏を意識してそう言ったのか、それとも自民党としての「思想信条」にこだわり「保守主義」を再定義しようとしているのか。

あるいは、単に市議会の自民党系会派を批判して自分たちの行動の正当性を印象づけようとしたのか。

 自民にも独自候補に踏み切れない事情がある。もともと製造業の労働者が多く連合組織(労働組合)の強い地盤があったことに加え、昨年1月の市議選では自民の現職6人が落選。この年の10月にあった衆院選でも、市内二つの小選挙区でベテランが相次いで落選するなど苦戦が続く。「ハートフルや連合でも推せる、(自民の)色が付いていないことが必要最低条件」(自民市議)だった。

 これに反発し、今月2日に自民の若手市議2人が自民党系会派を抜ける事態も起きた。新会派立ち上げの記者会見で、2人は「立憲民主、国民民主、連合との協働はまったくもって理解できない。思想信条で区別したうえで(候補者を)出すべきだ。我々こそが保守本流だ」と批判。すでに立候補表明している元厚生労働省官僚の武内和久氏(51)への支援を表明した。

朝日新聞デジタル


党推薦候補は津森氏だが、武内氏も2019年の福岡県知事選に自民推薦で出馬した「自民系」。今回の北九州市長選で、武内氏の知事選出馬を主導した麻生太郎・党副総裁(衆院福岡8区)は津森氏推薦を決める文書に署名しなかった。自民を含む市議会会派による津森氏擁立の過程を「密室政治だ」と反発した自民市議2人が武内氏支援に回り、自民の支持者からは「どちらが自民の候補なのか」と困惑の声も聞かれた。

毎日新聞

毎日新聞が共同通信社、RKB毎日放送と5日に共同で実施した、投票を終えた有権者1664人への出口調査では、自民支持層の投票先は約5割が津森氏、4割強が武内氏と真っ二つだった。一方で無党派層は約5割が武内氏に投じ、津森氏の約3割を大きく上回った。武内氏に投票したという女子大学生(21)は「政党の利害に左右されず、市民の声を反映してくれると思った」と明かした。

毎日新聞

ちなみに麻生氏といえば、先に行われた北九州市長選でも、自民党が推薦した候補・津森洋介氏を応援しないと宣言。そのことによって暗に、ライバル候補である武内和久氏を支援する形になり、結果、武内氏が当選した。武運を見せつけた麻生氏、候補者を選定したこの選挙区もまた、勝利となるか、それとも――。

デイリー新潮

自民党本部が津森氏の推薦を決める際の決裁文書には、麻生氏が幹部として1人だけ署名をしなかったことが表面化。麻生氏は武内氏が落選した福岡県知事選を前面に立って応援したが、武田氏が支援した当時の現職に大敗した因縁の経緯がある。

今回の市長選前には、武田氏が計画した菅義偉前首相を招いた津森氏の応援演説計画に、麻生氏に近い議員も多い自民福岡県連側が難色を示し、最終的に中止となった。

麻生氏は今回、表だった動きはみせなかったが、麻生氏と武田氏の冷えた関係が市長選の構図に影を落とした中の選挙戦。自民系候補が勝利したものの、分裂選挙で自民党の推薦候補が落選したことで、党内に後味の悪さを残す結果となった。

日刊スポーツ 2023年2月5日




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