源氏物語(夕顔、桐壺)/紫式部、谷崎潤一郎(訳)

私は文豪作品と同じく古典文学にも苦手意識があり避けていました。
理由は文豪作品も古典文学も難しくて理解できそうにないから。
しかしそんな理由で避け続けているのはなんだか大人気ない気もして、いつかは挑戦したいと密かに思っていたところ｢読書会すみれ｣の中で源氏物語の中から｢夕顔｣の輪読会が開催されることになり、これは良い機会かもと思い参加してみました。


読書会仲間さんたちと一緒に拝読できるのはなんとも心強いものです。
読めない漢字がたくさんありましたし、理解できない箇所もそりゃもうたくさんありましたが、お仲間さんたちに教えてもらいながら途中途中で色んな感想もお聴きしながらなんとか｢夕顔｣を読了できました。


そしてそれを皮切りに谷崎潤一郎(訳)の源氏物語を最初から最後まで輪読していこうということになり、ここまでで｢桐壺｣を読了したところです。
月一ペースの開催なので全部読了するのは10年くらいになるかもしれないという壮大な輪読会は、まだ始まったばかりですし源氏物語の良さは正直未だによく分かっていないのですが、｢深い河/遠藤周作｣同様一章読了する毎に簡単な感想を書いていこうと思います。




まず｢源氏物語｣を輪読するためのテキストは谷崎潤一郎(訳)ですが、全く無知の私は少し心細かったので自分なりのサブテキストを数冊用意しました。

｢げんじものがたり/紫式部、いしいしんじ(訳)｣
｢愛する源氏物語/俵万智｣
｢源氏物語九つの変奏/江國香織、角田光代他(現代語訳アンソロジー)｣
｢源氏物語 愛の渇き/大塚ひかり｣

これらを併読しながら輪読会に挑んでいます。

源氏物語 巻一｢夕顔｣

源氏が乳母を見舞いに行った際に出会ったのが通称｢夕顔｣という女性。
夕顔からの返歌で興味を抱き彼女の元へ通うこととなり素性がわからないまま逢瀬を繰り返しのめり込んでいきます。
そしてある日2人きりになれるところへ夕顔を誘い出し一夜を共に過ごすのですが、源氏の夢に女性の霊が現れ恨み言を言い、慌てて目覚めた源氏の横で夕顔は既に息絶えていたのでした。
夕顔の死にショックを受け伏せてしまった源氏でしたが、夕顔に仕えていた右近から初めて夕顔の素性を聴くことになります。


今も昔も変わらないのは女の恨みは女に向かうのですよね…。悪いのは男だとしても。
女ってものは…と言いたいところだけで自分にも身に覚えがあるのでなんとも言えません。
素性が分からないまま恋に落ちていく2人なのですが、ミステリアスだからこそどんどんのめり込んでしまうもの。
私はなんでもおっぴろげにしてしまうので…
もう少しつつしまやかにミステリアスに生きることを｢夕顔｣から学び得たのでした。

源氏物語 巻一｢桐壺｣

前半は源氏の父上と母上のお話。
源氏の父上である帝はさほど身分の高くない桐壺更衣を見初め寵愛します。
そのせいで桐壺更衣は他の女たちからの嫉妬の的となり酷いいじめを受け、源氏を産んだあと心身衰弱し亡くなってしまいます。
それから時は経ち、桐壺更衣と瓜二つの藤壺女御を迎え、帝はまた寵愛し、源氏は継母に憧れを募らすのでした。


いやもう！
この父にしてこの子ありです。
愛がとまらね〜な気持ちもわかるのですが、自分の思いを押し付けているだけにも思えてしまいます。
本当の愛って相手を思いやるものでしょ？
相手のことをもう少し思いやれていたならば、桐壺更衣は心身衰弱せずともよかっただろうに。
愛の与え方を少し間違えてしまっただけに起きた悲劇と私は捉えました。



まだ二話だけですが、キリキリハラハラしながら拝読しています。
源氏に翻弄される女たち。
女に翻弄されることを悦びと感じていたであろう(私の浅い勝手な推測)谷崎潤一郎はどんな思いで源氏物語を訳していたのでしょう。
翻弄される側に共感していたのでしょうか…



ちなみに今は源氏にキーっとなっている読者の私ですが、翻弄される気持ちが痛いほどわかるのでキーっとなるのです。
文武両道で男前な源氏。しかし、自分勝手というか優柔不断というか、ある意味ダメ男です。
男前のダメ男はずるい。顔みたらなんでも許したくなってしまうし、ダメ男っぷりがほっとけなくてズンズンのめり込んでしまう。
私も身に覚えがあるので尚更、キーっ。



これからたくさんの女たちが登場する源氏物語、私はどの女性にとくに共感するのでしょう。
そしてズンズンと源氏にのめり込んでしまう自分の未来が見えるようで末恐ろしい気もします。


源氏物語の輪読会ゆっくり楽しみます。

潤一郎訳 源氏物語 (巻1) (中公文庫)

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