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なんくるない/よしもとばなな






読者好きが集まるオープンチャットでの1月の課題本2冊目。
よしもとばななさんの著書「なんくるない」を拝読📖しました。
(2022,1,22 読了)







エッセイ的私小説を含む沖縄を舞台にした4つの物語が収録された短編集。
久しぶりのよしもとばななさんの物語は、柔らかすぎず硬すぎず、でもメッセージ性はしっかりしててやっぱり好きだなと思いました。



特に表題作である「なんくるない」は、立場や環境は違えど今の私の心境を表してくれるような言葉が所々に散りばめられていて、自分の心の奥底にあるものをやっと知ることが出来たような気がします。


そして、私は、「自分はこの世の中に全く必要がない、居場所がない」という思いを振り切ることがどうしてもできなかった。ちっぽけな傷だけれど、じくじくしてなかなか治りきらない。
(「なんくるない」より)


自分の中にあるちっぽけな傷を無視してはいけないと実感しました。
そして、その傷を癒せるのは誰かではなく自分だけなのだとも思いました。


なんだかこの国のあちこちに自由のつぶつぶが少なくなっていて、人々は水面でぱくぱくしている金魚みたいに見えた。自由はいつでも、お金だとか時間だとかなにか条件がなければ手に入らないものみたいだった。
(「なんくるない」より)



ここ最近、見えない力でコントロールされているような窮屈な感じがしていました。
それは自分も、他の人たちも。
なにものにもコントロールされないというのが本当の意味で自由でいるということなのに、それを見失っているようにも思います。


「つまんないことがたくさんたくさんあって、力がなくなるようなこととか、生きててもしかたないと思うようなことがたくさんある、TVを観ても、なにをしててもいつでもたくさん目や耳に入ってくる。
だから面白いことをたくさんして、逃げ続けるんだ。
逃げ続けるしかできない戦いなんだよ。
僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ。」
(「なんくるない」より、トラの言葉)





「なんくるない」の主人公が沖縄で出逢ったトラの言葉は、混沌とした今にしっくりくるメッセージではないかと感じます。
なんでも真正面から戦いに挑むことがいいとは限らないですよね。
楽な方に逃げるということではなく、心が蝕まれていくようなものをわざわざ見たり聞いたりしなくていいと私も思うので、TV番組やNEWSを見なくなりました。
溢れる情報の中で真実はどれだけあるか疑問なので、そんな情報にコントロールされたくもありません。




真実を見る眼は、静けさの中から育まれていくのでしょう。
時には喧騒から離れて沖縄のようなところでゆっくりする時間を作りたいものです。














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