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「会社を休みましょう」殺人事件/吉村達也



図書館から借りてきた吉村達也さんの小説、
「『会社を休みましょう』殺人事件」を拝読しました📖´-
(2023,9,29 読了)



SNSでご紹介されているのを見かけてタイトルに思うところあり拝読してみることに。
吉村達也さんはお名前だけは存じ上げていましたが、本作が初読です。


休みたいのに休むのが怖い「一生懸命サラリーマン」の主人公。
そんな主人公が勤務する会社で殺人事件が起こります。
主人公は犯人ではないかと疑われたり、会社を休みたいと苦しい胸の内を打ち明けても妻からは理解を得れなかったり。
一生懸命働いているのは誰のためかと自問自答しながら、会社を休むきっかけを作ろうと小説を書き賞を取るという目標を立てます。




本作はミステリー要素を楽しむというよりも、込められたメッセージを読み解きたくなるような物語でした。
読了後に改めてタイトルを見直してみると、殺人事件は会社で起きた殺人事件のことを指しているのではないということに気付きます。
”誰が誰に殺されたのか”これが本作を読み解くカギではないかと感じました。



タイトルの「会社を休みましょう」は私に言ってるんだよねと勝手に自分宛のメッセージとして受け取ったのですが。
拝読してみると、主人公の気持ちに共感しまくりでした。
承認欲求を上手に利用され、会社のいいように働かされて疲弊して、でも組織から抜け出す勇気はなくて。



そしてある日ふと気付くのです。
これ誰のための人生?自分のための人生だよねって。
今、自分は自分の人生を歩めているだろうかって。そう気づいた時には、既に少し身体に異変が出ていました。


おれは仕事の奴隷じゃない。イザとなったら、いくらだって会社に反抗して休んでやるからな。ーそんなふうに心の中で開き直ってみたら、これまでカイシャを休むのを怖がっていたのがウソみたいに思えてきた。



これは主人公が書いた小説「プロメテウスの休日」の中に出てきた主人公のセリフです。
私も身体に少しばかり異変が出てきて、これはもうアカンとなり、初めて当欠させていただきました。もちろん、職場にはなるだけ迷惑がかからないように配慮をした上で。
明日また検査して確かな診断が下されるとは思いますが、これまでだいぶ無理して働いてしまっていたことを自覚しました。


コロナ禍になり、病欠なんて甘えるなという会社の雰囲気は一掃されだいぶ休みやすくなってきたとは思いますが、飲食業界では未だに根性論がまかり通っています。私の働く職場でも。
そしてそれを仕方ないと諦めている自分もいました。
熱が出ようと身体に鞭打って仕事へ出ていたこともあります。



けれど今回は、少し大袈裟かもしれないけど、そこまでして働いて寿命縮めて、それで本当に幸せな人生なのかと疑問に思えてきました。
そしてやっと週一の定休日以外で休みたいと伝え休むことができ、病院へいくこともできました。
先程の「プロメテウスの休日」の主人公のように心が軽くなったのです。


自分の話ばかりになってしまいましたが、今回本作を拝読して共感することも多かったですし、本作の主人公が伝えたかったことが伝えられるべき人に伝えられたらいいなと思います。


それと本作が誕生するきっかけが「オリジナル版あとがき」に書いてありましたが、そちらも胸が熱くなりました。
吉村達也さんは既に他界されていますが、夢中でチャレンジしたものが今こうやって私の元に届いたことを深く感謝いたします。












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