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あまいきもち

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カレとワタシの恋のお話
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恋なんて結局、骨折り損のくたびれ儲けだよ

恋なんて結局、骨折り損のくたびれ儲けだよ

その日の夕方

「ごめん!俺スマホ忘れて出ちゃったよ!ホントごめん!」

来たんだ、ラインが。

ぐるぐる、ぐるぐる、杞憂で、徒労だった…

「きっと不安になっているだろうと思ったら
仕事してても心配になっちゃって…」

カレはそう言って、文字で伸ばした腕でワタシを包み込んでしまったんだ。

ぐるぐる、ぐるぐる、杞憂で、徒労だった…

今日は七夕だ。

ワタシをもっと刻みつけようと思う。

来ない

来ない

いつもの時間にメッセージが来なかった

知り合ってからずっと、ずっとずっとずっと

ほぼ途絶えることなくメッセージが来た

おはよー

今朝はそれが来なかった

昨晩から既読もつかない

浮かれてテロのごとく写真を送った

嫌われちゃったかな

不安なことがあって冗談めいて口汚い言葉を送った

嫌われちゃうよね

いつどんな時も

お話できない時も

ワタシが心配しないように

理由を教えてくれた

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ヤキモチ

ヤキモチ

ヤキモチぐらい焼かせてよ

自信ないんだもん

もっと見ていて欲しいし

手を離さないでいて欲しいもん

まだまだたくさん知りたいよ

嬉しいことも少しぐらいの悲しいことも

だって大好きだから

だけど
それはダメだっていうんでしょう?

破裂する前に対処してるの知ってるの

破裂なんてしないのに

妬かせてくれないのなら

もう

グッド・バイ

チクっと一刺しすればいい

チクっと一刺しすればいい

カレは隠し事をする。正確に言えば、隠し事ではなくて、ただ話さないだけだ。

どうして話さないのかと尋ねると、

「雰囲気が変わるのがわかるから、それが、苦手なんだ…」

ぼそっと呟いた。

ワタシから寂しさと悲しさと妬ましさが手に取るように溢れ出てしまっていたのだ。それをダイレクトに受け取ってしまっていた。

お腹がいっぱいになる感覚がまるでない仔犬のようにカレを貪りたいワタシは、
「話さない」を

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知っている

知っている

カレは知っている

ワタシの知らないワタシのこと

カレは見られる

ワタシが自分で見えないワタシを

だから

これからももっともっと教えてもらいたい

カレの知っているワタシのことを

カレだけが知っているワタシのことを

温もり

温もり

久しぶりに会うカレは無精髭に少し白髪が混じり目尻のシワも少し深くなっているようだった。

近くにいれば会いたい時に会えるのだろうけど、
少し離れているカレとワタシが会うのには少しばかり工夫がいる。

だからできるだけたくさんのカレを体に思う存分染み込ませる。

強くしっかりと繋ぐ指はやさしく絡みつく。

深く抱きしめる腕は、柔らかいのに強くて少し強引でなんでも許してくれる。

笑顔、声、匂い、息遣

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それだけ

それだけ

このまま
もうこのまま目を開かずに
いてもいいかもしれない。

楽しかったり、嬉しかったりした残像を
何度も何度も繰り返して
見続けていたほうが
幸せかもしれない。

体が熱くて息がしづらくてうなされる。

風邪ひくのってこんなに辛いんだっけ。

あいまいになりつつある記憶の糸を
少しずつたぐりながら思い出す。

そもそもカレは
ワタシになんてこれっぽっちも興味なんてなかったんだ。

ただ、あまり

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ひ・み・つ

ひ・み・つ

隠し事とか

小さなウソとか

多いんだ

キミは

だけどそれは

結局見えることになっちゃうんだから

ヒミツ箱に仕舞わなくっていいよ

どんなことだって、キミの一部

大好きなキミのかけら

見せてよ

誰にも何も言わないよ

約束するよ

できるよ

だって、大好きなんだから

雨

雨だ

雨はいいね

全部キレイに流していってくれる

音もいい

雨のにおい

あれ、少し土っぽいような、そんなにおいでしょ

死んでしまったバクテリアが雨粒に乗って

土に帰るんだよ

ワタシもそろそろ

雨粒に乗って

カレのところから帰ったほうがいいのかな

ワタシの乗った雨粒は

カレの瞳から出発できるのかな

暖かくて優しいカレの雨粒

忍び込む

忍び込む

「もうそろそろガス欠だよ。本格的にね。早く助けにきてくれないと、壊れちゃうよ。そこまで、たどり着けなくなっちゃうよ。」

カノジョはよく駄々をこねる。

「近頃、本当にどうでもいいことにばかり振り回されていたの。だからぎゅーだけじゃ足りないんだから。もっとして。」

オレだってスゲー会いたいんだって思っていることに気付かされる。

そうだ。

オレだって、ふと気づけばカノジョが意識に忍び込んできて

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ヒマと退屈と妄想

ヒマと退屈と妄想

退屈というのは三つの形式に分類され、それぞれが「引き止め」と「空虚放置」という二つの要素を持っているんだって。

でね、一つ目が停滞する時間に引き止められてしまって、焦って期待通りにいかない場合。その場合、退屈をなんらかの気晴らしをすることで相殺していく。ぼーっとしつつタクシーを数えるとかね。

二つ目は、気晴らしと退屈の根源が同じ場合で、退屈であることに不意に気がついてしまう場合。例えば、カラオ

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知らない時間

知らない時間

共有していない時間がほとんどなの、ワタシたち。そう思わない?

そうだね。俺は俺の時間を生きているし、キミもキミのを生きている。ほんの少しだけ交わる時間があるけれどね。

彼は知らない。
ワタシが1日のどれだけの時間を彼に費やしているのかを。きっと知りたいなんて、思ったことすらないに違いない。
それは大切なものがあるから。ワタシは彼の退屈凌ぎのおもちゃだ。

ほんの少ししか交わらない時間だけど、キ

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愛だって健康第一なんだ

愛だって健康第一なんだ

きっとまだこちらとあちらの狭間にいてもどれないでいるのだね。

新しい一年の最初の日を迎えたのはあちらだったのかな、それともこちらに戻ってきていたのかな。

出会ってから二度目の彼の新しい年の始まりなのに、彼の中にはワタシじゃなくて得体の知れない他の何かがいて彼をいじめている。

追い出して懲らしめてやりたい。ほんと、グーパンチでぶっ飛ばす。

何日も続く38℃を終わらせたい。

どうして彼の中に

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ゼイタク

ゼイタク

満たされるなんて

本来なら簡単なことだ

爆音のダンスミュージックに包まれてお酒を飲んで踊り狂うとか

大好きなあの人の腕の中で愛を囁かれるとか

そんなことでいいのだ。

だけど

そんなことが

一番難しい

彼は

ワタシのことは忘れてしまったから

覚えていて欲しいとか

忘れないで欲しいとか

烏滸がましいんだ

だから、今夜も一人で酔えないお酒を流し込んで
眠れない夜を溺れないように

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