見出し画像

まほうの穴-3「くつくつと」

くつくつと

きゅうくつで
たいくつな
毎日の中で

何も考えずに
疲れて眠る夜が
好き

嫌な夢ばかり見て
うなされている自分が
好き

ため息をついて
傘をさして出かけるのも
好き

われを忘れて
馬鹿笑いしている時間も
好き


画像1

何も考えず、毎朝会社に行き、休日には友達とカフェで他愛もない話をし、夜は飲みに行って、たまに旅行もする。
つい先日まで当たり前だった何気ない日常が、この一年で大きく崩れ去りました。

仕事はリモートワーク、カフェにはアクリル板が設置され、マスクは必須、飲み屋はどこも閉まっている。旅行に行くことさえできない。
一年前は、街全体が地球滅亡のストーリーを描いた映画のように、緊迫したように感じられたものです。
今はそれが日常の光景となってきているのですから、人間の順応力、適応力には、ただただ驚くばかりです。

当たり前だった日常が一変し、退屈だと思っていた毎日の一つひとつに感謝するようになりました。
出勤して疲れて眠る夜、今日も無事に会社に行き、仕事ができたこと。
嫌な夢を見ても、翌朝何もなかったかのように目覚められたこと。
最近は雨の日も多いけど、雨が憂鬱なのは外に出られるからこそ。
マスクを外して、ガハガハと大笑いするのは、一人ぼっちの家の中でだけだけど、それでも笑える元気があること。

一つひとつが当たり前ではなく、幸せなことなんだと改めて今噛みしめています。

先週末は母の日だったので、実家の母に電話をしました。
相変わらずの調子で電話に出た母に少しホッとしながら、いつも通りどうでもいい近況を語り合い、しょうもないことで爆笑していたら、最後に母がこう言いました。
「こうしていつもと変わらない母の日を迎えられたんは、お互い健康だからこそ。当たり前ではないんよ、ほんまに感謝しな。今はなかなか会えないけど、お互い自分のことをしっかりやるしかないよ。お母さんはあんたのためにも毎日手洗いうがいしてるんやから。あんたもそう思ってしっかりやりなさい。」

電話口でちょっとうるっと来てしまった私は、言葉に詰まりながら、
「そやね。お母さんのためと思って、私も手洗いうがいするよ。」
と返すのが、精一杯でした。

本当はもっともっと感謝を伝えたかったのにな。
まだまだ未熟な私ですが、感謝しています。
お母さん、いつもありがとう!


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今後も不定期ですが、書き溜めた詩を発信していきます。

今日もあなたにとって素敵な一日になりますように。

画像2



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?