ゲームでお金の使い方を覚える
最近買ったPS4のゲームは、車のレースをするものだが、何度も同じコースを走ってコインを貯めないと、つぎのレースに使う車が買えないという、ちょっとシビアなゲームだった。
無制限に車が買えたり、カスタム仕様にできたりした今までのバージョンとはちょっと違う。
最初は、優勝しても次のレースに出られない理由がわからず「ママ、助けて~」などと言っていたが、ちゃんと説明すると理解した。
普段の生活でもこれくらい理解できるとありがたいのだが、ゲームは特別のようだ。
ただのトラックみたいな簡単なコースをひたすら走って、コインを貯め、やっと次のレースに出るための車が買えるのだが、そこで調子にのって、最初の車をカスタム仕様にしてしまうと、またコインが減って買えなくなる。
それを何度か繰り返していたが、ある日「カスタムしません。車買いましょう」と自ら宣言してノーマル自力で次のステージに進んだ。
おぉ。やっと理解できたか!
横目でそれを見ながら、自分の手仕事をしていると「ママ、助けて~」と、また呼びに来る。
今度は一体何だろうと覗きにいってみると、コインが少し貯まったが、使いかたが決められない様子。
私に車を選べとか、「カスタムしますか?」などと仕様変更できるのか、何をどれくらいアップグレードできるのかなどを聞いてくる。自信がないからお金(コイン)を使うことができない。
しょうがないので「どのレースに出たいの?」と聞いてみると、けっこうランクの高い車が必要なレースで、出場するにもコインがかかる。
車がいくら、出場するのにいくら、いまもっているコインはどれくらいあるのかを一緒に調べて、目的のレースに出るためにあと何万コイン必要かを計算してみる。
ものすごく嫌な顔をしたので、「急がなくてもいい」「嫌ならしばらくほっといてもいい」などと慰めていると「ママ、がんばります!」と言われた。
最初は意味がわからなかったが、よくよく聞いてみると、自分が作業所やサッカーで留守にしている時間に、私が「めんどくさくて楽しくないコース」を走り、コインを貯めろと言われたのだ。
「しません!」もちろん断固拒否。
仕方がないので自分で「めんどくさくて楽しくないコース」をコツコツ走っているが、ちょっと目が合うと「ママ!頑張りましょう!」「しません!」の応酬。かなり嫌な様子だ。
そのまま飽きてやめるのかなぁと思っていたが、なんとか目標の金額が貯まって、車を買ってカスタム仕様にして、参加費用を支払い目的のレースに出場することができた。
彼はそういったゲームは超得意なので、初回で優勝し賞金を得た。それは、がんばって貯めたコインを上回るもので、つぎのレースの元手になった。
このゲームはけっこう良いかもしれない。
現実では彼は作業所でお金を少しだけ稼いでくる。とりあえず全額貯金し、お小遣い3000円だけを引き出して使っている。
お小遣いは、毎週(コロナになってからは2週間に1度)のゲオでのレンタルDVD代、隔週で出るモータースポーツの雑誌、カードスキャナーゲーム(?)代などで使うが、だいたい半分くらい残る。それをまた貯金する。
毎月の貯金は微々たるものだが、それでも一年経てば十数万になっているので、昨シーズンのスキーでは宿泊費を自分で出させた。(とはいえ別の彼名義の貯金に移しただけだが)
毎日、めんどくさい作業をして、お金を貯めてスキーに行く。自分のスキーをグレードアップしたり、ウェアを新調したり、美味しいものを食べたりするためにお金はかかるというのは、例のゲームとほぼ同じだ。
この人は、こうやってお金の貯め方、使い方を学んでいけばいいんだ。コツコツ貯めなきゃ。「お楽しみ」にはお金がかかる。「お楽しみ」が自分からはやって来るわけじゃないんだよ。
素晴らしいゲームと出会えてよかった。
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