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呪いにかけられて

昔もいまも、純粋に音楽を聴きたいだけなのに。
私はいまだに呪いにかかったままライブハウスにいます。

子どもの頃から、音楽を聴くのが好きでした。
カーステレオからはそのとき放送していたアニメの主題歌集や研ナオコ、母が知人からダビングしてもらったという流行歌のつめあわせなどが流れていました。
その後は小中高と、父性に飢えていたせいでファザコンが炸裂したあげくにサザンオールスターズにどっぷりハマり、性的な歌詞に内心は興味津々ながら私はなにも思っていませんよ、桑田佳祐さんの声が好きなだけですよとクールを装っていました。我ながらとってもむっつりですね。サザンのおかげで着々と性的な知識もたくわえていきました。
そんな私が高校生のときに付き合った人は軽音楽同好会に入っていて、ギターとボーカルをしていました。もう声は覚えていないけど、BLANKEY JET CITYとか布袋寅泰とかのコピバンだったような。(その彼に憧れてエレキギターを買ったもののコードが理解できずまったく上達せず、結局は二束三文で売りに出したバカな女は私です。)

呪いにかけられたのはちょうどその頃。肝心の誰から言われたかは忘れてしまったのですが、多分他のバンドで音楽やってるコの彼女からだったんじゃないかな。どんな呪いかというと、

「演奏しているときの顔って、えっちしているときの顔なんだって」

という一言でした。バンドやってるコの彼女はみんなそう言ってるよ、と。
えっウソ、致しているときの顔なんて人前でするわけないじゃんと思ったのですが、ライブ中の彼の顔をよく見たらまさにそうだったのです。びっくりしすぎてキメキメの曲なのにちょっと笑ってしまったのを覚えています。

この言葉のせいで何十年経ったいまでも穢れた目でしか音楽している人たちをみられなくなってしまいました。本当に応援しているアーティストも、フェスとかで初めて聴くバンドも、ああプライベートではこういう顔して致しているのね…としか思えないのです。なんて最低な客。でも意外と当たってる気がするので一度好きなアーティストをよく観察してみてください。責任は取れませんのであしからず。
ちなみに私の好きなアーティストは横顔がとてもセクシーでライブ中も涼しい顔をしています。欲が高まっているときは、いっそあのギターになりたい、私のことをあんな風に弾いてほしいと思うほどです。ちょっとなに言ってるかわからないですよね。

ああ神様、なにかの間違いでこの文章が私の推したちの目にとまりませんように。

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