バースプラン

芸能人の妊娠関連本やブログを読んでいるとよく目にする「バースプラン」。どんなお産にしたいのか、要望を事前に記入するというもの。私の病院でもバースプランの紙を渡されました。よく聞くのは、好きな音楽をかける、夫(と子ども)に立ち会って欲しい/欲しくない、カンガルーケアをしたい、などなど。

私はというと、どういうお産にしたいのかいまいちイメージが湧かず、なかなか筆が進みませんでした。迫り来る提出期限に追われ、ひねり出して考えてみるものの、「とりあえず、無事に産めればそれでいいんやけど」くらいのことしか浮かんでこない・・・。しかも、ブログや本を読んでいると、無痛分娩のはずが帝王切開になってしまったという顛末もよく目にしており、そうそう思い通りにいかないことも十分承知していました。書いたところでその通りにいかないかもしれないのなら、果たして書く意味はあるのか?と冷めた感想を抱きながらも、「空白を埋めなければ!」と強迫観念に襲われる謎に律儀な私。

まず音楽に関しては、好きな音楽といってもいろいろあるし、ノリのいい曲でテンションを上げるのか、落ち着いた曲で集中力を高めるのか、どっちがいいんだろうとか考え始めるも、経験したことがないから答えは出るはずもない。出産を終えた友達によると「歌詞によって励まされるなんて余裕は一切無い」らしいので、だったら音楽をかける必要なんてあるのだろうか、となってしまい、音楽についてはなにも触れませんでした。

次に考えることといったら、いざ赤ちゃんが出てきたときにどうするか。カンガルーケアうんぬんの話。もともと夫には立ち会ってもらう予定だったので、私的には、彼に生まれたての赤ちゃんを私よりも先に抱っこしてもらい、へその緒も夫に切って欲しいと思っていたのです。女性の場合、妊娠中の身体の変化や実際に分娩を経験することで母になる準備が段階的にできていきますが、男性には身体的に体感できるものがあまりに少ない。いくら近くでそれらを見ているとはいえ。なので、私よりも先に抱っこしてもらったり、へその緒を切る体験によって分娩に参加してもらい、その瞬間から父となることへのスイッチを入れて欲しいと考えていたのです。子どもが大きくなったときに、「お父さんがへその緒切ったんだよー」と話のネタにもなるし。が、いざ彼に意見を仰いでみると、「うーん。お医者さんや助産師さんたちの邪魔にならないかな?」などと細かいことを気にしている模様。いや、そこはもちろん、赤ちゃんや私優先で処置してくれるやろ、と思いながらも、彼の言っていることも尊重し、バースプランには「もし可能であれば」という一言を添えて、へその緒は夫に切って欲しい旨を書きました。

ネットでいろいろ見ていると、「して欲しいこと」だけでなく、「して欲しくないこと」も書くといいとあったのですが、特にして欲しくないこともない。人によっては、自然なお産がしたいから可能な限り薬を使わないで欲しいとの考えもあるようです。もちろん、私も薬の使用はできるだけ避けたいし、状況が許す限り自然な状態で産みたい気持ちはある。最初は助産院での出産を希望していたくらいだし。でも、お産ってなにがあるかわからない。だから、赤ちゃんが無事に生まれてくるために必要なのであれば、薬の使用も厭わないことを記入しました。いろんなことを考えて夫とも話し合いましたが、たいして空白は埋まらなかった・・・。

実際、お産は本当に予想外の出来事の連続でした。出産とは、私たちの想像なんて及びもしないものなのだと真に思い知らされるのは、もう少しだけ、先の話。

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