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映画『LAMB/ラム』を観て

アイスランドの羊飼い夫婦のもとに、羊のようで羊ではない何かが産まれて——。

『LAMB/ラム』は、ざっくりと言うとこんな映画である。予告編を観てから物語の行く末をこの目で確認したく、ずっと気がかりであった。



鑑賞直後、ラストシーンの強烈な余韻が残ったまま、いろいろなことを考えていた。

そうしたら、後方のあちこちから映画の感想が聞こえてきた。
聞き取れたのはこうである。

「すごい映画だね」
「よくこんな映画がつくれるなぁ」
「不思議な映画だったね」

どれも困惑をはらむ口調で語られた感想だった。

……たしかに。


奇怪だけど面白い。
ずっと気になっていたから謎が解けたようですっきりもしている。

奇妙で不穏だけどたまに穏やかで。穏やかなんだけど歪で。一つのジャンルやテーマでは語れない、様々な要素が入り混じる映画だったと思う。

台詞や登場人物は少なく、ストーリーの舞台となるのは広い自然とその中にポツンとある牧場のみ。自然の雄大さを感じて神秘的でもあり、得体の知れない不安から閉鎖的にも感じられる。

ギリギリまで必要以上に見せず、情報を与えてくれないので、想像力が掻き立てられる。ゆえに羊の表情が際立って見えるのである。いや、なんなら「羊って表情が豊かなんだなぁ」と思うほど。

何がおかしくて何がおかしくないのか。「?」が頭の中に浮かんでは消え……。不穏に感じていた正体が明らかになってくるのだ。


結末はぜひ本編でご確認いただきたい。



⁡⁡さて。映画パンフレット愛好家(自称)として、本作のパンフレットには触れずにはいられない。

パンフレット表紙

大島依提亜さんデザインでした。素敵なパンフレットは、ほとんど大島さんデザインといっても過言ではない。⁡

このこだわり抜かれたであろう紙質が素敵すぎるのである。
見て、触って、読んで、飾って楽しめるパンフレット。

中身の充実度も申し分なく、文句のつけどころがない。

美しい



『LAMB/ラム』、不穏な空気感にどっぷり浸れる映画だった。物語の世界にとことん入り込めるって楽しいよね。満足、満足。


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