見出し画像

GOOD WAR TOUR 2. 東には行かなかった


「諸江さんは今日調子が良さそうですね」と朗くん。
諸江さんは週一整体に行っている。毎週体の調子をチェックする。

砂丘を足でチョンとしてサラサラ崩す思い出。
崩れていくミニ砂丘はかわいい。
2011年のイキってる綾子、「綾子、これ崩すのめっちゃ上手くない?」。得意げ。

今日はだいたい、動きを作ってゆく作業。
モニュメントのように動きが並べられてゆく印象。
諸江さんの一挙一動に朗くんは手を叩いてよろこぶ。

「線香……あ、線香が何か知らないですよね」と朗くん。
そこから美術についての説明があった。
そういえばお線香ってなぜあげるんだろうと思い、調べてみる。
理由は大きく3つあるとのこと。

①身を清めるため
お線香の香りはお線香をあげる人の心と体やその場を清めてくれるという。
お線香をあげ俗世に生きる人の身と心を清めることによって故人に挨拶することができる。

②故人にとっての食べ物
『倶舎論(くしゃろん)』という仏教経典には「生前に良い行いをした死者は良い香りを食べる」というような記述があるのだそう。
つまりお線香の香りは故人にとっての食べ物であると考えられている。
特に、四十九日が過ぎるまでの間、死者が食べるためにたく線香を「食香」という。

仏様と心をつなげる
お線香から立ち上る煙は、あの世とこの世をつなぐ橋渡しになるとも言われている。
そのためお線香をあげる行為には、煙を通じて仏様と心をつなげ対話をするという意味がある。

知らなかったな。

人は股間のまわりを触ると落ち着くよね。
ズボンやパンツに手を突っ込んで眠る人の話。
朗くんは、「股間を触ってるんじゃない、鼠蹊部を触ってるねん」。鼠蹊部というワード、強いね。
ちょっとわかる、と綾子さんが言った。

記憶をたどっていく。

われわれは、吊るし物・吊るされの呪いから逃れられない。
タロットカードの吊るされた男が頭をよぎる。
正位置の意味は、修行、忍耐、奉仕、努力、試練、着実、抑制、妥協。
逆位置の意味は、徒労、痩せ我慢、投げやり、自暴自棄、欲望に負ける。
金の入った袋を持たせれば、それはユダ。

それぞれがそれぞれの場所でそれぞれのことをやっている。
向かい合っているんでなくとも空間を共有していてどこか関わり合っていて、それがふしぎと心地よい。
そんな感じで、よい稽古でした。

稽古4回目
日時:2021年12月8日(水)
出席:河井、諸江、渡辺、田中
場所:京都芸術センター 制作室6


本作は2021年2月に京都で上演された『GOOD WAR』のリクリエイションを行い、大阪と東京で公演を実施します。

『GOOD WAR』は、私たちが「あの日」と聞いて想像する争いと日常で構成されています。
私たちは生きている限り、これからも誰かと戦い続けなければいけません。現時点で戦っていなくても、生きている限りいつか争いに巻き込まれます。『GOOD WAR』ではいずれ来る「その日」と、過去にあった「あの日」との向き合い方を鑑賞者と共に考えるべく、だれかの「あの日」で集積された記憶のモニュメントとして演劇作品を立ち上げます。

GOOD WAR

原案 『よい戦争』(作:スタッズ・ターケル 訳:中山容 他 1985年7月25日出版:晶文社)
構成・演出 河井朗
ドラマトゥルク 蒼乃まを、田中愛美
出演 伊奈昌宏、諸江翔大朗、渡辺綾子
美術 辻梨絵子
音響 おにぎり海人、河合宣彦
照明 松田桂一
制作 金井美希
制作協力 (同)尾崎商店、黒澤健
衣装協力 MILOU
記録 田中愛美

日時・会場
2021年12月25日(土)〜12月26日(日)|こまばアゴラ劇場
2022年1月26日(水)〜1月30日(日)|クリエイティブセンター大阪 Drafting room(名村造船所跡地)
2022年2月10日(木)〜2月15日(火)|北千住BUoY


いいなと思ったら応援しよう!