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第4回・夫婦で本の交換会を開催しました

昨年やってみて我が家の中で好評だった本の交換会をまた今年もやってみた。正確にいうと7月の結婚記念日のときにも行なっているのだが、私の怠惰でnoteに載せていないため、第2回の次が第4回という気持ちの悪い感じになっている。しかもいつかは第3回も公開しようと思っているのだから、我ながらどうかしている。ただ、つい先ほど交換会を終えたばかりで、勢いのままこの記事をつくっているので、どうしても先に誕生日交換会の方を先に残しておきたい。どうかお許しを(そんな高いモチベーションで読んでいる人はいないだろう)。

さて、そもそも本の交換会とはなんぞやという方のために掻い摘んで説明すると、誕生日が一ヶ月違いの私たちそこそこ読書好きの夫婦が、予算とテーマを設けて選書し合うという、お祝いを効率的に行うために編み出された夫婦円満の秘訣である。

今回のテーマは『バースデーカラー』。定期的に流行るが、ちょうどいまも流行っていたため衝動的に決めた。もともとはお互い三十路になったということで『三十にして立ち、』をテーマにしようとしていたが、どうしても苦労する未来しか見えなかったので、バースデーカラーの色言葉をメインに予算1万円以内で互いに贈る本を選ぶこととなった。そんな私たち夫婦のバースデーカラーは以下である。


バースデーカラー:シルバーグレイ
特徴:気高い心の持ち主
色言葉:勇気・バランス・経営力

バースデーカラー:ペールライラック
特徴:人を感動させる力を秘めた人
色言葉:家庭・表現力・気高さ

気高さに始まり気高さに終わる。ちなみに娘は「高貴な人物」という特徴を持っているので、我が家は全体的に気高いということがわかる。

というわけで、今回の選書記録の始まりである。

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妻→夫・1冊目『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた ー 永井孝尚  (著)』

妻「ビジネス書を読まない相手に『経営力』がテーマの本を選ぶ困難さに真正面から立ち向かいたかった。以前、雑誌で家電が特集されていても見るだけで満足して買いたくならないけど、新刊特集のチラシは欲しい本が増えると言っていたので、50冊が1冊にまとまっていたら2冊ぐらいは買おうと思うかもしれないと考えた。」

夫「たいていのビジネス書は、ページ数が無駄に多い・だいたい書いてあることが同じと思っているので、こういう感じでエッセンスがまとまっているとありがたいです。」

夫→妻・1冊目『はじめての西洋ジェンダー史: 家族史からグローバル・ヒストリーまで ー 弓削 尚子 (著)』

夫「『家庭』から。身近でない家庭のありかたについて書かれている本がいいなと思い、文化人類学の棚で部族の参与調査の本を探したけれども、なかったので隣の棚にあったこの本に。家族(家庭)について書かれているし、『家庭』という言葉からジェンダーのことも連想したので。」

妻「ジェンダーについていろんな本を読んでいるけど、自分ではわざわざ『西洋』に手を出したりしない(だからそもそも身近でない家庭のありかたについてという着眼点も悔しい)ので、普通に良い選書で悔しい」

妻→夫・2冊目『主人公思考 ー 坂上 陽三  (著)』

妻「経営論の棚を流し見しているときに『主人公思考』という背表紙を見つけて、これは、と思った。私にとって貴方は主人公なのよという愛あるメッセージでもある。・・・まぁ単純にテーマが面白そうなのと、大きくいうとプロジェクトマネジメント的な本だと思うので、志向にも合うだろう。」

夫「プロダクト、特にゲームを作っている人について興味があるので、いいなと思いました。あまり説教くさくなさそうなので、安心して読めそう。」

夫→妻・2冊目『恋する化石 「男」と「女」の古生物学 ー 土屋 健 ほか(著)』

夫「『表現』から。『表す・現れる』『表に現れる』という言葉なので、普段は隠れているものについての本にしようと思い、化石に狙いを定めた。せっかく夫婦で本を贈り合うので、男と女、という着眼点もいいんじゃないでしょうか。」

妻「キーワードの解釈がアクロバティック。30年生きてきて化石に思いを馳せたことなどなかったので困惑しているけど普通に面白そうで困る」

妻→夫・3冊目『僕の人生には事件が起きない ー 岩井 勇気  (著)』

妻「多分嫌がるだろうなと思いながらも、『勇気』をテーマにした本がこれ以外思い浮かばなかった。他にアンパンマン(勇気りんりん)や忍たま乱太郎(勇気100%)で攻めたかったけどあまりしっくりくるものがなかったのが悔やまれる。まえがきを読んで、なんとか読んでもらえるだろうと期待しているし、これを機に芸能人エッセイを許してあげてほしいとも思う。あと私も読みたい。」

夫「芸能人や有名人が作者の本は、本当に自分で書いているのかがわからないく、その『わからない』という状態が嫌なのであって、内容が嫌なわけではない(嫌なものもある)。こういう形でいただいたものは、内容がどうあれちゃんと読みます。」

夫→妻・3冊目『なぜ脳はアートがわかるのか ―現代美術史から学ぶ脳科学入門― ー エリック・R・カンデル (著), 高橋洋 (翻訳)』

夫「『気高さ』から。気高さとは、人に流されずに自分の頭でものを考えること、と解釈したので、考えるといえば脳、となると脳科学だろうと。『表現』にも通ずる本がちょうどあったので、これに。毎回、ちょっと読み通すのがしんどそうな本を一冊入れるようにしているので、今回はこれがそれです。」

妻「これかぁー(読み通すのがしんどそうな本)。いずれ自分でも手に取りそうな本だけど、『気高さ』からここにたどり着くのってどういう思考回路なの?ということの方が気になってしまってしかたない。でもこれは絶対読み切りたい。」

妻→夫・4冊目『世界一楽しい決算書の読み方 ー 大手町のランダムウォーカー  (著)』

妻「『バランス』という言葉の意味を改めて調べたときに、『収支・貸借のつりあい』という記述を見つけ、これだ!とすべてが頭の中でつながった。会計のことはあまり興味がないようだけど、私の好きなものなので、わかってもらえると嬉しいなという気持ちも込められている。」

夫「興味がないわけではないんだけどな……。数字は苦手だけど、数字を扱うときの考え方のようなものは好きなので、会計はたぶん比較的好みの分野です。興味がある、という様態についての認識の違いはあるとは思いますが。」

夫→妻・4冊目『目覚めよ、松果体ーー「第三の目」を覚醒させて宇宙の波に乗る方法 ー 越智啓子 (著)』

夫「『人を感動させる力を秘めた人』から。秘めているのならば目覚めさせないとな、と思い、スピリチュアル・超科学の棚をくまなく探して見つけた一冊。内容に反して?文章が妙に実用的な目線で書かれていて、とても印象の良い本です。帯に『「第三の目」の開眼方法が満載!』とあるが、そんなにたくさん方法があるとありがたみがないよな。」

妻「本のカバーがホログラムでキラキラしている。こんなに『ぽい』スピリチュアル本なんてある?と楽しくて笑ってしまう。このジャンルは好きだけど、自分だったらこのキラキラカバーの本は買わないし、そもそも第三の目を開眼させたいと思ったこともないので、やっぱり買わない。秘めているだけでこんな本をもらえるとはお得である。」

妻→夫・5冊目『アーティストのための美術解剖学 ー ヴァレリー・L・ウィンスロゥ (著)』

妻「『バランス』という言葉からの連想として、最初は体幹といった身体的アプローチから、『バランスを整える』という意味でリラックスやスピリチュアル的アプローチまで考えたけれど、ピンとくるものがなかった。一旦BSに逃げたものの、どうしても身体というキーワードを諦めきれず、得意の美術棚の前で「バランス…ポーズ…ポーズ…」と考えていたときにようやく見つけた本。ポーズ系の本の中で圧倒的に美しく、実用的だった。見るだけでも楽しいし、筋肉の名前とかたくさん載ってるので、好きかもと思った。」

夫「筋肉や骨の名前を覚えないといけないな、となぜか(本当になぜか)強迫的に感じることが数年に一度訪れてはやり過ごしてきたので、そろそろ向き合おうかなと思います。」

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妻から夫へ:テーマ『勇気』『バランス』『経営力』

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夫から妻へ:テーマ『家庭』『表現力』『気高さ』

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夫の選書のレベルが着実にあがっていて悔しい。前回は「これは面白いけど読まないだろう」という本もあったが、今回は完全に読ませにきている。最近自分で買った本よりも優先度高く読みたくなる本が多くて、とにかく悔しいという気持ちに溢れている。でも悔しい以上に楽しいので、我ながら罪深い遊びだなと思う。

相手のレベルが高まっているのを感じると、わかりやすく刺激を受けるので、そういう意味でも本の交換会はオススメです(毎年勧めていくスタイル)。次こそは夫が「やられた」と思うような本を贈ってやろうと思います。

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