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第6回・夫婦で本の交換会を開催しました

今年もこの季節がやってきた。1月うまれの夫と2月うまれの私の合同誕生日イベント・夫婦で本の交換会である。

結婚記念日(7月)と誕生日(1月or2月)の年に2回行われるこのイベントでは、そこそこ読書好きの私たち夫婦が、予算とテーマを決めて互いに本を贈り合っている。これまでに贈ってもらった本を容赦なく積み上げている私であるが、今回も予定通り開催した。我が家には積読が悪だという概念は存在していない。

互いに31歳になった今年のテーマは、次の本から引用した。

最近すこし占星術に興味がある私(妻)が買っていたこちらの本では、太陽星座×月星座の性格が細かく載っている。内容がとても充実しているので、今回は『あなたの最大の長所』『あなたの最大の短所』という部分に記載されている文章に絞り、それをなんらかのかたちで用いて選書することにした。月星座についても語りたいことがたくさんあるのだが、それだけで文字数を使ってしまいそうなので今回は我慢する。山羊座(太陽星座)×射手座(月星座)である夫のキーワード(つまり妻が選書する)は以下である。

あなたの最大の長所
幅広い知性:責任感と誠実さ:人のいろいろな態度や、様々な状況の裏に隠された大きな意味を自然に察知できる:野心家で冒険好き:皮肉のきいたユーモアセンス
あなたの最大の短所
饒舌で、たまに大げさになる:不安になると知識をかさに着る:新たな活動の場を求めてせわしなく動き回り、エネルギーをむだにする:狭い視野にとらわれ、道徳的に厳しい態度をとる
山羊座 × 射手座

ちなみにそれぞれの組み合わせでキャッチフレーズのようなものがつけられているのだが、夫のそれは『夢見るリアリスト』であり個人的にはやられた!と思った。お次は『夢見がちな知性派』である水瓶座(太陽星座)×魚座(月星座)の妻のキーワード(つまり夫が選書する)である。並べて気が付いたけど我々夢見すぎでは?

あなたの最大の長所
豊かな想像力と全体を見る目:社会の大義のために自分を捧げる:親切で、人を受け入れ理解できる人柄:あらゆるタイプの人と交わり、うまくやっていく力
あなたの最大の短所
非現実的で、現実逃避の傾向がある:幻想を漂ってばかりいるうちにエネルギーを浪費するきらいがあり、理想主義が高じてなんでも真に受けてしまう癖がある
水瓶座 × 魚座

月と太陽でわかる性格事典、占いとか性格診断が好きな人には超オススメなので、ここまで読んでニヤニヤできる人はぜひ買ってほしい。ちなみに我らが娘は『感受性豊かな戦略家』である。『夢見るリアリスト』と『夢見がちな知性派』と『感受性豊かな戦略家』が楽しく暮らしている木村家をよろしくおねがいします。

ということで、今回も前置きが長くなってしまったが、選書記録に入る。ちなみに予算は一万円。ざっくり一時間以内に選んでいる。

***

夫→妻・1冊目『13歳からの地政学 ー 田中 孝幸 (著)』

夫「『豊かな想像力と全体を見る目』の『全体を見る』という部分からの連想で、最初は歴史関係の本にしようかと思ったのだけど、いい感じのが見つからず、目についたものの中でキーワードに当てはまったものを。ニーズに合っている分野だという確信もあったし、入門として難易度もちょうどいいかなと。」

妻「いきなり売れ線の本が出てきて驚いた(こういう本を普段買わない人なので)。しかしそこは私のミーハーさに向けてのもので、もちろんこの本は知っていたし、なんなら少し買おうかと思っていたものだったのでちょうどよかった。」

妻→夫・1冊目『絵画と写真で掘り起こす「オトナの日本史講座」 ー 河合 敦 (著)』

妻「前回の交換会で『皮肉』から風刺画に関する本を選びたかったのに見つけ出せなかった悔しさを雪辱できるときがきた。『皮肉のきいたユーモアセンス』というワードを見つけて、今度こそ絶対に風刺画関連の本を選ぶと息巻いて本屋に行った。これを見つけて力尽きてしまった節もある自慢の選書。」

夫「いい選書だったですね。知らなかったこともたくさん書いてあったし、純粋に勉強になりました。ただ、帯文に書いてあること含め、売り方・ターゲティングと内容にズレがあるような…。難易度の設定がよくわかんなかったですね。」

夫→妻・2冊目『ショパンを嗜む ー 平野 啓一郎 (著)』

夫「『幻想を漂って~』の『幻想』から幻想即興曲を連想し、そこから、ショパンの本を選ぼうと。ピアノを長く習っていても、作曲家のことを詳しく知っているわけではなかろうから、興味も持ちやすいかなと思った。で、ただの伝記や評伝だとおもしろくないな~と考えていたら、平野啓一郎(芥川賞作家)の名前が見えたので。門外漢が書いたもののほうが、観点や掘り下げ方がユニークかもと。」

妻「面白かった〜!ピアノは15年やっていたけど(もう人生の半分以下になってしまったことに衝撃を受けている)、想像通り作曲家に詳しいわけではなく、とくにショパンは好きでも嫌いでもない(バッハが好きでモーツァルトが苦手)ので、どんなもんかと思っていたけど、単純に読み物として面白かった。」

妻→夫・2冊目『眼科専門医が作った 貼るだけで目がよくなるすごい写真 ー 林田康隆 (著)』

妻「2冊目から迷走したのだが、一応この本にいたった動機を整理すると、まず長所の『人のいろいろな態度で~』という部分からエスパーに関する本にしたいと思った。去年もらったスピリチュアル本が面白すぎたので、自分もそういう選書がしたいと思って精神世界というテーマの棚を長らく見ていたのだけど、去年もらった以上に面白い本がなく断念。短所の『狭い視野』から視力関係の本も選択肢としてはあったので、なんだか怪しそうな視力関係の本ということでこの本になった(ごめんなさい)。」

夫「こういう本ってやっぱり売れるんだな~と、売上の説明などを見て感慨深くなりました。本の作りやタイトル、売り文句など、マーケティングとして教科書通りなので、そういう意味で感心した。けなすわけではなく、これを書籍という形で売ることの必要性や妥当性についてはもっと考えてみたいなと思います。」

夫→妻・3冊目『戦争はいかに終結したか-二度の大戦からベトナム、イラクまで ー 千々和 泰明 (著)』

夫「『社会の大義のために自分を捧げる』から即座に戦争を連想したので、単行本の棚を見ていたら難しすぎる本ばかりで、また積まれてしまうな…と思い、こういうときは新書、かつ硬いテーマでの信頼感のある岩波か中公から選ぼうと思ったら、いい感じに見つかりました。「戦争の終わらせ方」というふうにテーマが絞られているので読みやすそうだったし、混乱した状況をいかに解消するか、というのはビジネスの場でも活きるかなと。」

妻「二週間で読み切ったぞ〜〜〜!!!!これは積読いきかなとよぎったけども、プレゼンのときに言ってもらった『混乱した状況を〜』がすごく心に残ったので、期待に応えるべく頑張って読み進めました。ハイレベルな本だったので半分も理解できなかったけど、いちばん大きなテーマは自分の中に落とし込めたかなと思う。」

妻→夫・3冊目『人生のBGMはラジオがちょうどいい ー 春風亭 一之輔 (著)』

妻「短所としてあげられている『饒舌で、たまに大げさになる』というのは、個人的には人を好きになるポイントでもあるのだけど、これはつまり落語家のことだなと思った。少し範囲を広げて、ラジオパーソナリティとかも饒舌で大げさだな(偏見)と思っていたところ、ぴったりの本があったので手に取った。期せずしてタイムリーな選書になったので演芸にわかファンとしては嬉しいかぎり。」

夫「読み終えた翌日に笑点の新メンバーになったので、本当に驚いた。ここ数年はラジオをよく聴いているし、落語も好きなので楽しく読めました。落語家だからか話のつくりもうまいしね。装画がいいな~と思ったら、書籍を持ってる漫画家(ひうち棚)が描いていて、興奮ポイントでした。」

夫→妻・4冊目『知識ゼロからのやきもの入門 ー 松井 信義 (監修)』

夫「『親切で、人を受け入れ理解できる人柄』の『受け入れ』から、器に関するものを探して、値段的にも写真の多さ的にもちょうどよかったこれを。30代ともなれば、やきものの産地くらい知らないといけないかなとも思うのし…(自分も含めて)。」

妻「美術の思想でいうと民藝とかアーツアンドクラフツとかが好きなのに、器にぜんぜん惹かれないんだよな〜。家の食器も夫のセンスに任せていたのだけど、改めていろんな種類の器を知って、多分私と夫の好み合わないかもと思っている。小鹿田焼や益子焼が好きでした。」

妻→夫・4冊目『絵本で学ぶSDGs ー 絵本でSDGs推進協会 (編集), 中川 素子 (編集)』

妻「基本的にどの記述もあっているなと思ったのだけど、短所の『せわしなく動き回り、エネルギーをむだにする』だけが全く違うだろと思って笑った。エネルギーをむだにしない=SDGsだと短絡的に考え、しかしそもそも勉強対象の分野であろうと思ったので、自ら買わなそうなSDGs本という角度で、絵本のまとめ本ぐらいがちょうどいいかなと。」

夫「教育的な態度の本や絵本が嫌いなので、なんぼのもんじゃいという気持ちはあったんですが、読みたいな!と思う本がいくつも見つかったので、よかったです。別冊太陽というのもいい。」

夫→妻・5冊目『マイノリティ問題から考える社会学・入門: 差別をこえるために ー 西原 和久 (編集), 杉本 学 (編集)』

夫「『あらゆるタイプの人と交わり、うまくやっていく力』というのはストレートに多様性を表していると思ったので、ひねらず真っ直ぐな本を。マイノリティから社会学へつなげているところがほどよく発展的で広がりがあるところがいいかなと考えた。出版社も有斐閣で、老舗の安定感。」

妻「なにより装丁が美しく、少し薄い紙の触り心地が良すぎてキュンとした。触るだけでテンションがあがる本というのはなかなか出会えないし、これまでの経験でいうとそういう本は鑑賞対象になって積読しがち(おい)。ただ内容は観測範囲なので、これから読みまーす!」

妻→夫・5冊目『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学 ー ジョナサン・ハイト (著), 高橋 洋 (翻訳)』

妻「『道徳的に厳しい態度をとる』だなんて言われているけど、道徳とはいったいなんなんだと。学習参考書の多い書店だったので、道徳のドリルみたいなのないかなと一生懸命探したが、さすがに世の中そこまでではなかったようなので、真面目に選書した。600ページ超えの読み応えありそうな分厚い本で、おそらくテーマとしても普段の興味から大きく外れておらず、予算に余裕があったら買うかもしれないな、という絶妙なところがこの企画で贈られる本にピッタリだろうと思ったので選んだ。」

夫「まさに、予算に余裕があったら買う本です。ありがたい。心理学からのアプローチということもあり、きちんと実験から科学的に道徳の位置付けを定義し、道徳の基軸の分類を行ってそれを思想や文化に適用させ…と、研究のダイナミズムが息づいていて、いい本です。」

夫→妻・6冊目『銀河時代を覚醒エクスタシーの中で生きる! 地球での人生を自由自在に遊びつくすために ー 吉田 一敏 (著)』

夫「『非現実的で、現実逃避の傾向がある』と言われたら、やっぱりスピ系の本を選ばざるをえない。『精神世界というテーマの棚を長らく見ていたのだけど、去年もらった以上に面白い本がなく断念』と書いていたが、それは俺がこの本を先に買ったからです。文字通り、棚の中でひときわ輝いていました。精神世界の棚ところか、あの書店の中でいちばんおもしろい本はこれだと思う。」

妻「夫のスピリチュアル本アンテナどうなってるん??? 私の方がスピ系なのにと謎の悔しさが襲ってくる。この本のいいところは『スピリチュアルは楽しむためのもの!』と言い切っているところ。安心感のあるスピ本(?)です」

夫が妻へ選書した本
妻が夫へ選書した本

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あまりに積読本が増えていき、夫がついに『私が読み切れるかどうか』を指標に入れ始めた。これは由々しき事態なので、今回は交換会(約3週間前)が終わってからすぐに読み始めて、なんと残り1冊となった。戦争の本がちんぷんかんぷんだったけど、新書なのでなんとか読み切れたのだと思う(感謝感謝)。私はそんな忖度は一切せずに600ページ超えの本を平気でプレゼントしたが、もう半分くらい読まれているのでそもそも忖度は必要ないのである。

毎年1〜3月はやる気がみなぎり、読書量が増える傾向にあるのだが、今年の1月は特にすごくてもう去年の半分ほどの本を読んでしまった。漫画や軽めの文庫も多いので冊数がなんだという話ではあるのだが、今はとにかくたくさん本を読みたい気持ちなので、身を任せていこうと思う。

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