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第5回・夫婦で本の交換会を開催しました(おまけに幻の第3回)

一部の知り合いに好評の「夫婦で本の交換会」の季節がやってきた。

さて、そもそも本の交換会とはなんぞやという方のために掻い摘んで説明すると、誕生日が一ヶ月違いの私たちそこそこ読書好きの夫婦が、予算とテーマを設けて選書し合うという、お祝いを効率的に行うために編み出された夫婦円満の秘訣である。
4回・夫婦で本の交換会を開催しました

冬生まれの私たち夫婦は、夏に記念日をつくろうという目的で7月に入籍した。できるだけ忘れない日が良いという理由で、結婚記念日ランキング第2位の7月7日を選んだ。そういうわけで、この「夫婦で本の交換会」は誕生日の冬と結婚記念日の夏の年2回開催となっている。隙あらば本を買いたい。そういうことである。

この交換会の趣旨は「お互いに自分では買わないだろうけど、刺さる本をプレゼントする」ことであるが、それに加えて毎回テーマを設けている。今回は結婚6周年(鉄婚式)ということで『鉄にまつわる本』とした。その他細かい縛りはこんな感じ。

テーマ:鉄にまつわる本
予算:5千円以内
時間:1時間

というわけで、今回の選書記録の始まりである。

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夫→妻・1冊目『貨幣の歴史– デイヴィッド・オレル (著), 角 敦子 (翻訳)』

夫「鉄という字は『金(カネ)を失う』と書くので、いつお金がなくなってもいいように、お金に関する知識を得られる本を。知識は奪われないので。『貨幣』というのは自ら手に取らなさそうな絶妙な線だと思ったし、内容には銀行やお金の貸し借りといった興味を引きそうなテーマも含まれていたので、間違いないだろう。文字もそんなに小さくなくて、ゴテゴテした装飾の割には読みやすそうでした。」

妻「自分の興味のある分野の歴史を勉強したいとちょうど思っていたところだったので、すごいタイミングの絶妙なチョイス。お金のことは大好きだけど、『貨幣の歴史』は自分で手に取ることはなかっただろうから、負けたなと思った(いきなりの敗北宣言)」

妻→夫・1冊目『まるまる徹夜で読み通す (井上ひさし 発掘エッセイ・セレクションII) – 井上 ひさし  (著)』

妻「『てつ』という響きから身近に感じる単語×夫の守備範囲を意識して選んだ。井上ひさしの本を一冊も持っていないのも確認して、多分避けてるなと想像できたが、避けているのなら差し上げようの精神。」

夫「井上ひさしは(ほぼ)同郷の人で親近感はあるけれど、語られるエピソードから窺える人間性がそれはひどいものだったので、なんとなく避けていた。文筆家としては間違いなく優れた人なので、これを機に向き合おうか……。」

夫→妻・2冊目『女の答えはリングにある 女子プロレスラー10人に話を聞きに行って考えた「強さ」のこと – 尾崎 ムギ子  (著)』

夫「鉄の宝石言葉が『強靭なパワー』だったので、パワーといえばプロレス。ただのプロレス本では読んでもらえないと思い、フェミニズム論としても読めそうな本書はいいセレクトなんじゃないか。筆者が若手のライターで、とっつきやすそうだし。」

妻「これもまた『自分の守備範囲だけどわざわざ買わない』絶妙なチョイス。普通に面白そうで悔しい。」

妻→夫・2冊目『透明水彩レシピ3 樹木を描く 26人の技法と作品』

妻「鉄の原子番号26に絡めた選書。もともとは本屋の26番の棚から一番面白そうな本を探そうと思っていたが、よりにもよって前回ほぼ答えの本をもらった『スピリチュアル』の棚だったため諦めて、ひたすら26をキーワードに探すことに。ただ、最近美術に興味が出てきているようだったので、おそらく「観る」の次には「どうやって描くんだろう」が気になるタイプだと思い、あながち外れてないはず。」

夫「なににつけものごとの仕組みが気になるので、自分では描かないだろうけれど、良い選書です。ランドスケープ専攻だった学生時代、デザインを本気でやってた同級生たちが水彩でイメージを描いていたことを思い出しました。」

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え、そんな解釈する?と思われた方もいるのではないだろうか。実は1年前にも結婚5周年(木婚式)ということで『木にまつわる本』というテーマで行なったのだが、そのときから夫の『まつわる』の解像度が高く、私(妻)が恥ずかしい思いをしたので、第3回を幻に葬ってしまおうと画策していたのである。1年経って私の選書レベルも夫ほどではないが上達しただろうということで、供養の意味も込めて第3回の選書記録も載せておく。

テーマ:木にまつわる本
予算:5千円以内
時間:1時間

妻→夫・1冊目『一切なりゆき 樹木希林のことば  – 樹木 希林  (著)』

妻「『木にまつわる』で一番最初に思い浮かんだのがどうしても樹木希林だった。割と過激な本が多く、好き嫌いありそうだなと思ったので、いちばん夫にも刺さりそうな本を選んだつもりです」

夫「絶対に樹木希林を選ぶと思っていたので、案の定という感じ。ただ、文章を読んだことはなかったし、対談が中心で、対談相手が興味深い人たちだったので、良い読書体験になりました。」

夫→妻・1冊目『装飾をひもとくー日本橋の建築・再発見ー – 五十嵐 太郎 (監修), 菅野 裕子 (監修)』

夫「ふと、木偏の漢字で画数がいちばん多いものはなにかな、と思ったら、『欞』という字で、意味は『れんじ。窓などに取り付ける格子。てすり。のき。ひさし。』だそうです。となると、家屋や建具に関する本だろうと思ったんだけど、ピンとくるものがなかったので、それに近しい本を選んだ。『日本橋』という狭域に焦点をあてているところが、単純に本として良い。」

妻「解釈のレベル高すぎん???予想通りの樹木希林出したの恥ずかしいんだが。建築はギリ興味のない分野なので、どうかなと思ったけど、単純にビジュアルが美しいのと日本橋が結構好きなので、単純に本として楽しめそう。」

妻→夫・2冊目『おんなのことば  – 茨木 のり子  (著)』

妻「定期的に『そろそろ夫に詩を布教したいな』という気持ちになるので、まさかの木が名前に入る作者で2冊かぶせてしまうというタブーではあるけれど、やはりここは押させておいた方が良いでしょうと茨木のり子を選んだ。『自分の感受性ぐらい』という詩がとても好きなので、それが入っているかどうかを基準に選書。」

夫「10年以上、ちょこちょこと詩を読んではハマらないということを繰り返しているので、ありがたいです。『一人は賑やか』が良かったですね。いま現在は詩に興味が深まってきていて、松井啓子、谷口鳥子というお二人の詩がたいへんよい。」

夫→妻・2冊目『阿弥陀如来[立像]を彫る  – 松久宗琳佛所 (監修), 松久佳遊 (監修), 大道雪代 (写真)』

夫「木といえば木彫、木彫といえば仏像。そうだ、仏像好きな妻もまだ自分で彫ってはいないなと思い、せっかくならばと。ビジュアルが良いので、彫らないにしても美しくてすばらしい本です。」

妻「まさかこんな本もらえると思わなかったけど、いつか仏像を彫りたいなという気持ちはほんの少しあるので単純に嬉しかった。いずれ彫ろうと思ったときに参考にできるかどうかはわからないけど、『ね、簡単でしょう?』というノリで淡々と仏像の彫り方を説明してくれる本は読み物として面白いです」

妻→夫・3冊目『ISSUE 和田誠のたね – 和田 誠  (著)』

妻「『種』だから木にまつわるでしょ、と自分なりにひねった選書のつもりだったが、もらった本の解釈レベルが高くて恥ずかしくなってきた。毎度芸術の棚から何かしらの大型本を選書しているので、今回もその枠でテーマに合うものがあってよかったなという感じの選書。」

夫「買おうかな~と思ってた本だったので、危なかったですね。和田誠も安西水丸も亡くなってしまって、シンプル・ヘタウマ系のイラストレーター好きとしてはたいへん悲しい……。」

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振り返ってみて改めて思うが、やはり第3回の自分の選書は恥ずかしい。言い訳をさせてもらうと、1時間という時間制限はなかなかに厳しいもので、毎回ある程度目星をつけてから本を探し始め、店内のパソコンも使って探すのではあるが、選ぶ本屋の規模感などもあり、なかなか思い通りの選書をすることができないのである。

とはいえ第3回はあまりに自分(妻)の解釈が浅かったので、今回はまず鉄のWikipediaを読むところから始めた。夫もそうだったようなので、テーマを決めて本の交換会をするときは、まずWikipediaでその言葉を調べることから始めることをオススメしたい。

個人的には今回『鉄→アイロン→アイロニー→皮肉→風刺』で風刺画の本を選びたかったのだが、購入した本屋にめぼしい在庫がなかったため断念したのが心残りである。いつもスキマ時間で購入しているため、近場の本屋にしか行けないのだが、やはりジュンク堂や丸善などの大型書店でのびのびと選書したいという気持ちは回数を追うごとに強くなるので、次の交換会では本屋を変えることも検討したい。ちなみに今回、夫はいつもと違う本屋で購入している。毎度夫の選書レベルの向上についていくだけでいっぱいいっぱいだが、今回もとても楽しかったので、「夫婦で本の交換会」を積極的にアピールしていきたい。

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