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2021年、冷やし中華事件

みなさ~ん!冷やし中華はお好きですか~?(イエーイ)

もう今年、冷やし中華開きはお済みですか~?(オーー)

と、スタンドから二階席まで歓声が響いたここ、冷やし中華スタジアム!盛り上がってる~!(イエーイ)

そういえば、カレーとかと同じように、冷やし中華が苦手な方ってあんまり聞かない。お会いした事はない。

ここ、カナダのトロントでも、冷やし中華の話題をちらほら聞くようになった。連日夏日が続いていることもあり、先週辺り、Twitterで仲良くしているトロント民の皆さんがこぞって冷やし中華ランチまたはディナーの写真やツイートをあげていて(わー私も食べたいーーー!)と私の胃袋は盛り上がっていた。

パリのユイじょりシェフも作っていた。麺祭り、万歳。冷麺も食べたい。

***

こないだ、スーパーに行って、久しぶりにハム売り場でハムを眺めていた時に「あ!ハム買うなら、冷やし中華用にキュウリも買いたい!ちょっと見て来るっ」とハム売り場(うちでは、カウンターで量り売りのを買う事が多い。100gづつ、色んなお味を試せて、楽しい。私のリピート買いはローズマリー味。そのままで美味しい)の列を一人抜けて、野菜売り場で胡瓜をゲット。

そして、今日。その時は来た。

ついに冷やし中華ランチ!フフー!

実は、麺は去年の夏の終わりに食べ損ねた袋麺があった。袋麺の冷やし中華って初めて食べる。いつも三食入りの生麺を買っていたから。賞味期限は去年だけれど、まあきっと大丈夫。

パートナーと二人、キッチンに立ち、ランチの準備。「卵は薄焼きにしたいからね」とパッケージの美味しそうな写真を指差しながら言った。

「Got it」

彼は、確かに、「分かった」と言った。そして、私が胡瓜を切ろうとまな板に向かったその時、視界の先で、溶き卵がドバーっとフライパンに入れられるのを見た。

私「え!ちょっと!!!薄焼きって言ったじゃん!」

パートナー「スクランブルエッグでもいいじゃん、味は同じだよ」

私「いやいやいや、あなたさっき”分かった”って言いましたよね?」

と、私のモヤモヤはもくもくと煙を上げ始める。

冷やし中華の卵は錦糸卵って決まっている。それはジャパンの掟。というか、そもそも、この貴重な冷やし中華の機会に「イマイチな冷やし中華」は食べたくない。

こうして、私のイライラを感じ取った彼が「はいはいはい、bossy出ました。なんでも私の思い通りに行かないと気が済まないメンドクサイの出ました」みたいに返して来て、

私としては「いやいやいや、bossy(威張りたがり屋)というか、そっち、返事した癖に違うもの作ってんじゃん、そっちが悪くね?」という心境。

こうして、どちらも引かず、結局、彼が新たに冷蔵庫からタマゴを出し、割り、かき混ぜ「そんなに言うならご自分でどうぞ」と差し出して来た。

ぷンガーーーーッ!ブー!ちょーーー!もーーー!

こうして、私のお皿には錦糸卵が、彼のお皿にはスクランブルエッグが添えられ、昼食の時間となった。

こうして食べた念願の冷やし中華、ちっとも美味しくなかった。ああ悲しい。どうしてこう心が狭いのでしょう。大人になれ、自分。

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ところで、これ、ただのカップルの幼稚な「卵をどう調理するか」ってだけの話だとも言えるが、日本の文化、慣習を無下に扱われた事件!とも言えるだろう(言い過ぎ)

「スクランブルエッグでもいいじゃん」と言い放った彼(台湾出身)も、私が以前一人暮らしをしていて

「今日は夕飯はマーボー豆腐食べた、美味しかった♡」というような話をしたら、パートナーが驚いて「え、辛いの苦手じゃん?本当?」と言って来たので

「私のマーボー豆腐は辛くないよ、味噌と醤油とかで味付けしてるから」と返したら、もうそこからは弾丸トークの始まり始まり~、である。

「君、麻婆豆腐の”麻”は”辛い”だから、辛くない麻婆豆腐は麻婆豆腐じゃないんだよ」

へー、そうなんだー、辛くないのも美味しいよー(宙を見ながら)

この会話を機に、彼の前で中華料理を語るのはやめよう、と心に決めた。

***

こんな風に、私が苦言を呈される事もよくある。前には、チンゲン菜を細かく切っていたら「チンゲン菜は台湾では切らない」と言われたりもした。(思えば、確かに中華料理って丸々の形でお目にかかる事しかない気もする)

オイスターソースとペアになるお野菜のアレコレもある。なので「このお野菜はオイスターソース、大丈夫?」という謎の質問を時々投げかけている。(私は未だにオイスターソースは、なんにでも合う、好きなものに掛ければいいのでは、と心の中では思っている)

これはすっかり慣れ、私も台湾風の仲間入りを果たしているが「餃子と白飯の定食セット」にも「ふふふ、謎な日本人…」と言われる。(うちでは餃子は主食。茹でたのをよく頂く)

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こんな感じで、日々、あーでもない、こーでもない言いながらお互いの母国の文化、習慣を少しづつ学んでいるとも言えるだろう。

今日はイマイチだった冷やし中華。引っ越して、割と近くになったJ-Town(JapanのJ!)という小さなモールもあるので、近いうちに冷やし中華(生麺タイプ)を買ってリベンジしたい、と思う。トロントの夏の終わりは早いから。急がないとな。




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