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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

Netflixで観られる台湾ホラーのススメ【+予告】

冥嘴

こんにちは。
今日は2022年10月10日現在Netflixで公開中の台湾ホラーを、台湾と廟と風水学理論と東洋神秘学系民俗、そしてホラー映画が大好きな私が勝手にオススメポイント&個人的な愛着を壁打ちしていくだけの記事です。
……今日は長時間の移動なので、好きなものの事を考えて乗り切る事にしたのです。
帰り道には炸鶏排(ハンドタオルくらいあるクソデカ鶏からあげ)を食べて帰るぞ、もうその口になっている。

では、まずはネタバレ無しで軽く作品を紹介した後、ネタバレ有りで感想と思い入れを(出来るだけシンプルに)書くので、観たことのない作品は紹介を、観たことある作品は感想を読んでちょっとでも楽しんでいただけたら幸い。

■呪詛

オススメ度★★★★☆
気軽に観れる度★★☆☆☆
怖さ★★★★☆
世界観★★★★★

Twitterでも話題になった精神侵食系ホラー。幽霊や殺人鬼等の怖さでトラウマを与える作品とは違い、恐怖感はおろか嫌悪感をもざわつかせるドス黒い後味をもたらす。
SNSの話題で飛びつくにはホラーとしても映画としても若干敷居が高くもある(ホラーファンにも一般層にも万人ウケはしにくいかも)とは思いつつ、そういった「好奇心」や「興味本意」や「怖いもの見たさ」で観るのがぴったりの作品でもある。

断片的に行き交うすべてのシーンがパズルのピースであり、この世界観と雰囲気が好きなら考察も楽しめる。

【あらすじ】
動画を公開し、視聴者に話しかける女性。
彼女は言う。
念じる事で物事の流れは変えられる、と。
そして、娘を助けるために力を借りたい、この「言葉」と手の形と図形を覚えて一緒に祈って欲しい、と。

ーー「火佛修一 心薩嘸哞」

奔走する母を弄ぶように娘を襲う「呪い」。
その源流は、母が過去に犯した恐るべき禁忌。
言葉を唱え、指を広げ、母娘の無事を祈るあなたは、やがて“全て”を目撃し、知る。

■『返校』(Netflixドラマ)

オススメ度★★☆☆☆
気軽に観れる度★☆☆☆☆
怖さ★☆☆☆☆
原作補完度★★★★★

(全8話。これのみ映画ではなく連続ドラマ)
名ホラーゲームをドラマ化。
映画バージョンに比べて原作の要素が占める割合はかなり少なく、オリジナルストーリーが主軸。ホラー色も薄いが、原作で登場した謎解きやキーアイテム、人物は登場する。
原作ゲームのキャラクターが好きな人や、『返校』に初めて触れたいという人より、ゲームや映画を観た上で更に別角度から『返校』を楽しみたいという人向け。

【あらすじ】
舞台は1997年。
とある田舎町に引っ越してきた高校生の少女・ユンシアン。
時代錯誤な軍隊同然の校則で生徒を管理する学校に戸惑いながら、教師が定める劣等生“幽霊”のレッテルを貼られた気のいい少年と仲良くなる。
しかしその学校ではかつて、歴史の傷痕とも言える悲劇が起き一人の生徒が自殺していて……

■『怪怪怪怪物!』

オススメ度★★★★★
気軽に観れる度★★★★☆(ゴア有)
怖さ★★★☆☆
喜怒哀楽全開度★★★★★

個人的に最愛のホラー映画の一つ。
ポスターや予告などで“怪物”の外見や映像のポップさを見、
「特殊メイクちゃちくない?」
「モンスター感弱くない?」
とか、
「青春コメディなの?」
と思って観るのを止めた人にこそ観て欲しい。観終わったら解る、あの怪物とあの雰囲気だからこそ雄弁に迫るものがあるんです!
考察不要、知識不要のド直球ストレートムービー。
喜怒哀楽全開で惨劇を受け止めていけ!!

【あらすじ】
この町には闇に隠れて、二匹の人喰い怪物が棲んでいる……。

不良の言いなりになるしかない気弱な高校生のリン少年は、不良の悪さの手伝いに駆り出された夜の町で突然“怪物”と遭遇。
不良達は成り行きで一匹の怪物を生け捕りにし、学校の廃プールに監禁。いじめの標的をリンから怪物に移していく。
しかし、その頃もう一匹の怪物はーー。

■第九分局

オススメ度★★★★★
気軽に観れる度★★★★★
怖さ★★☆☆☆
痛快アクション度★★★★★

ホラーでファンタジックでコミカルでアクション!
往年の『来来キョンシーズ』等特撮活劇寄りのアドベンチャーホラーと、日本のトンデモ系モチーフドラマ『SPEC』や大人気“物理悪魔祓い”『コンスタンティン』のシュールさ・スケールのデカさを併せ持つ超娯楽作。
さまよえる幽霊達は怖さ控えめ。何故ならこの世には、もっと邪悪な倒すべき敵がいるからだ!
戦え!第九分局!
救え!第九分局!
線香を焚け!第九分局!

【あらすじ】

正直者の警官の青年は、凶悪犯に遭遇するも女性の幽霊に命を助けられる。
幼い頃から幽霊を見る事ができ、警察をクビにされそうになろうとも幽霊に助けてもらった報告を曲げない実直さを見込まれた彼は、警察の秘密部署「第九分局」に招かれた。
それは、幽霊騒ぎに悩む人々や、この世をさまよう幽霊達の為に事件を解決する驚きの機関。
拳銃を聖水に、盾を八卦に持ち変えて、青年の新しい警察官ライフが始まる。

■『怪奇温泉旅館』

オススメ度★★☆☆☆
気軽に観れる度★★★★☆
怖さ★☆☆☆☆
クセ強おバカ度★★★★★

若者達のドタバタホラーコメディ。
どうしようもない“3バカトリオ”がオバケに怯えながらも友情を育み、ちょっとだけ成長するおバカ青春ストーリー。
『CABIN』をホラー成分4・コメディ成分6とすると、この作品はホラー成分1・コメディ成分9くらい。
怖いの苦手な人でも大丈夫!

【あらすじ】
チャッ◯ーのコスプレでお化け屋敷でバイトをする青年シャオジンは、客が驚いて抱き合う様を見るのが大好き。
彼は二十歳になっても高校を卒業できないせいで親戚から落ちこぼれ扱いされていた。

ある日、転入先の高校で番長をぶっ飛ばし目をつけられたのがきっかけで、番長にいじめられているちょっと乙女な人懐こい少年と、老け顔の陰キャ少年にすっかり懐かれてしまう。
二人は、シャオジンの祖父母が経営する崖っぷち温泉旅館の手伝いにまでついてくるのだが、三人がやって来たそのオンボロ旅館には、どうやら妖しい何かがいるようで……?

■『杏林医院』

オススメ度★★★☆☆
気軽に観れる度★★★☆☆
怖さ★★★★☆
幽霊の存在感強度★★★★★

実在の心霊スポットである廃病院をモチーフにしたホラー。
廃墟や医療器具のぞっとする近代的不気味さのある画の中に、黄色と赤の古風でマジカルな「おふだ」等が登場する台湾ホラーらしさが私は好きだ(ここにコメディ要素は無い)。
画面の雰囲気や“オバケ”の造形は素晴らしい。
ややシナリオに荒削りさはあるが、細かい事を気にしなければ、怖い映画観たいな~という気分の時に普通に楽しめるホラー作品。

【あらすじ】
相次ぐ不幸な事故や火災に見舞われ、今は廃墟となった「杏林医院」にテレビクルーが取材に訪れる。

また別の夜。
道士(神仏に使える術師)の父とその息子は、父の企画した「死者に会えるツアー」の客である二人の女性とともに、廃墟の杏林医院に足を踏み入れていた。
女性達はそれぞれ、夫と姉をこの病院で亡くしているという。
亡き家族との再会を願い、幽霊を呼び寄せようと試みる一行はやがて、病院に潜む禍々しい恐怖に翻弄されていく。

■『呪われの橋』

オススメ度★★★★☆
気軽に観れる度★★★☆☆
怖さ★★★★☆
ナイス構成度★★★★★

“都市伝説のある不気味な場所で肝試しをする若者達”という、近年のホラーでは定番のストーリー。
……と思いきや、それはどうやら過去の出来事であり、死者が出たというその事件を追うレポーターが調査を始める。
この「若者パート」の要所要所に「レポーターパート」が挟まることで置いてきぼりにされにくく、ストーリーをゆっくり整理しながら観ることができるつくりは良い。
画的にも『リング』や『仄暗い水の底から』『着信アリ』等、あの時代のJホラーに匹敵するかそれ以上の恐怖演出の質感は最高。
ありがちなヤングPOVモノと思わせておいて、構成とストーリーにもバッチリ驚かせてもらった。
真相に向けて加速する疾走感についてこれれば絶対ハマる。このシナリオと映像、あまりにも大胆不敵。

【あらすじ】
大学生の若者達が、女の幽霊がでるというキャンパス内の橋で肝試しを計画していた。

この橋は幽霊の都市伝説の他、肝試しをしていた学生が死亡した事件でも有名で、テレビレポーターの女性もまたこの橋を訪れ、事件について大学内で取材を開始する。

……どうでしょう?
気になる映画はあったかな?

※ここから先は各作品に関する私の感想と思い入れや考察です。
所々ネタバレ有りで書いていくので、映画を観た後や、既に映画を観たことのある人向け。
ネタバレ注意!!

※ここからネタバレ有感想・考察

□『呪詛』あれこれ

『呪詛』に関しては以前noteで書きまくったので取り敢えずこちらも。

せっかくなので今回は少し、今まで触れなかった箇所の考察。
道士の指示したドゥオドゥオの絶食を守れなかったルオナンが道教廟に駆け込んできた時の、道士の奥さん(か、お弟子さん?)の例のシーン。

あれ一体何だったんでしょうね(笑)。
後頭部ぐしゃぐしゃ……からの迫り来る顔面はあのおばさん本人のものと見て恐らく間違いないので、大黒仏母がルオナンにけしかけた怪物とかではなさそう。
となると、あのおばさんの霊的な断末魔みたいな?ルオナンが絶食破りさせたせいで仏母の呪いを防ぎきれず、道士ともども呪い殺された、その
“呪い殺され様(ざま)”
の一瞬の肉体とか魂の歪みみたいなものだったのかな。

や、おそらく映画で一番ワッとなる怖いシーンなのに、明確な答えが何ら示されてないの凄いな(笑)。ジャンプスケアの王じゃん。
今年の夏は『X』と『哭悲』のダブル強怖ばあちゃんの波状攻撃だなとか言ってたけど、この人も入れよう。
(こうして私の2022年夏の心のアルバムは、穴から干し草用クソデカフォークババア・フライドポテトババア・迫り来る顔面ババアのジェットストリームアタックで彩られたのだった)

□『返校』あれこれ

原作ゲームに比べてホラーや謎解きの要素が省かれた為、怖い物語というより、ユンシアンとレイ、2人の少女の苦しみを互いが、そして視聴者が追体験する、という全体的に暗く苦しい抑圧の雰囲気が続く。
特に「性的暴行したかしてないか会議」がクソ長い。原作にはそこまで露骨な性描写が無かったから、これはまさか・かつ嫌~な要素が足された感じだったし些か冗長。

オバケはほぼ出ない(いやほぼ常に出てると言えば出てるんだけど)。一話冒頭の降霊術のクルクルペンは可愛くてマジで好き(笑)。あれをレイがやってると思うと更に面白い。

一番の衝撃はレイの後輩・ウェイ君。
ゲームと映画でも大人になったウェイ君は出てくるが、どちらも物静かそうな普通のおじさんといった感じだったのに対し、ドラマのウェイ君(ウェイおじさん)は
「過去の事で心を病み、幾らかキレキャラと化している」
という人物。
これは本当にぎょっとした。新しい。ドラマ版の良さはやはり最終話「自由の雨」に尽きる。
ゲームでも映画でも無かった“救い”を『返校』の人物達にもたらしてくれたこの話は大好きだし、心からドラマ版を観て良かったと思えた。
まず、レイの過ちへの謝罪、ウェイ君の後悔が、二人の直接の対話でぶつかり合うシーンはドラマにしか存在しない。

バイ教官や校長への復讐の為に自分と似ているユンシアンを利用しようとしたレイが、ユンシアンとともにいることで、目を背けていた過去を直視せざるを得なくなり、遂にはユンシアンと二人、先生の処刑される様を目の当たりにする。これはレイへの罰でもあり、先生の愛が本物であったという真実への到達でもあった(だからこそ更に罰であり更なる苦しみである)。
そんなレイに寄り添い、ともに涙するユンシアン。

やがて台湾に、先生の望んだ“自由の雨”が降る。
大人達の汚職で大騒ぎになっていても、子供達は自発的に集まり、互いに勉強を教え合っている。
若者達が自分で考え、皆で力を合わせ、自分達で未来を作る時代が来たのだ。

原作では“時を行き来して回想”するアイテムとして登場していたラジオは、ドラマでは、ウェイおじさんが過去に囚われている象徴として登場するが、未来へ踏み出す事を決めたウェイおじさんの傍らで、このラジオから政治的な転機が報道され、台湾に新しい時代が来たことを告げる。
ここはとてもとてもお気に入りのシーン。
辛く悲しい、しかし忘れてはならない歴史を描いた『返校』に、輝かしい未来のエピローグをもたらしてくれたのは、原作ファンとして本当に嬉しかった。

□『怪怪怪怪物!』あれこれ

この作品に関しても、過去のnoteで語りまくっているのでこちらを。

いやこの映画、本当に完璧。

□『第九分局』あれこれ

超!!楽しい映画でした!
笑いあり涙ありバトルあり、そしてハッピーエンドで、純粋に楽しめる。

個人的に好きなのは、線香の設定。
我々は、そして台湾でも、死者の供養とか(神)仏への祈りの時に線香を焚くけれど、ここを
「霊的な存在と人間とは同じ空間に存在していても周波数が違う。線香は、この両者の周波数を合わせる効果がある」
という設定にしたのはこの映画のナイスな味つけだった。

あと、これは観た人に話したかった事なんだけど、ソンの病院のマーク。あれって
“明星をつかむ六枚翼”
の意匠じゃない??

エンディングのキャスト画面の後を観てない人はぜひ観て欲しい。
第九分局に新たな使命の予感!

□『怪奇温泉旅館』あれこれ

これはそこまで、後からああだこうだ語るタイプの映画ではないですよね(笑)。
パッと観れて愉快に楽しめる。

旅館にこけしがあったり、Jホラーの幽霊の名前を出したり、監督の日本への詳しさが随所に出てて微笑ましかった。
途中から3バカトリオと行動をともにする主人公の幼なじみも最高に良いキャラ(笑)。幽霊の手?と見るや、勢い良くつかみかかろうとするとか、お前の心臓鉄なのかよ!?ってくらいのパワフル女子。

□『杏林医院』あれこれ

こちらも最近観てnoteを書いたので諸々こちらに。

「車椅子に不気味な子供の等身大人形を乗せて連れて歩く青白い女」
という、凄まじいキャラ立ちの幽霊はお気に入り。天丼に寿司乗せたくらい怖さの特盛じゃねーか!しかも全然コミカルさが無いし!!
暗黒子連れ狼(女)なのに全然コミカルじゃない……そう言えば、青白い女系の幽霊から佇まいだけで「サイコみ」を感じる事ってほとんど無かった。この怖さの理由それかな?

何となくだけど、台湾の人は幽霊が「ぱかあ~っ」と口を開ける様子が怖い、みたいのがあるのかな。色んな作品の幽霊がこのしぐさをする印象がある。

□『呪われの橋』あれこれ

『杏林医院』と少し近い構成をとっているけれど、レポーターパートがちょくちょく挟まることで整然と、納得しながらラストにたどり着ける所が映画としての最大の実力。
中華系の人名と登場人物の顔をすんなり覚えられないとレポーターパートが生きてこないのが日本人視聴者には難点と言えば難点。
(私は5人以上の主要登場人物がいる外国映画ではあだ名をつけて覚えています)
『呪われの橋』では、肝試し参加者(以下全てあだ名)のうち

すみこ:引田天功さんやにしおかすみこさんのようなハッキリした目鼻立ちの黒髪女子

メガネ:肝試しの最初の実験台にされる眼鏡の男子

イケメン:すみこの元彼、今は隊長とデキてる

隊長:肝試し隊の隊長。ショートボブの女子

大助:お調子者の背の高い男子。花子とはまるで夫婦漫才のように仲良し

花子:大助とは名コンビ。すみことは友達付き合いが長い、明るい女子

の、この6人のうち、すみこと
メガネ・イケメン・隊長 と
大助・花子 と
のシーンそれぞれがストーリーのカギ。
いわゆる“どんでん返し”系のホラーだけど、その仕掛け方が凄い。伏線どうのとかじゃなく、二回、三回と観ていて嬉しくなるレベル。
この作品は、気になった所をすぐに巻き戻してチェックしたり、気づいたときに何度でも観直せるDVDやサブスクで観るのが良いね。

オバケもしっかり怖い。
『仄暗い水の底から』のように、水や、水から出てくる髪の毛を用いた恐怖描写は日本人にも刺さる。
存在と行動に理由がある系のオバケがしっかり描かれてるのも、多くの日本人が好むストーリーかと。

超余談なんだけど、化粧上手い華やか系の女よりも、明るくて男子とワイワイできる系の女よりも、派手でもないしそこまで地味でもないカジュアルファッションめの女が一番ねちっこい恋愛脳(所構わず男にベタベタするのが好き)、という隊長のキャラが、私の見てきた中での女性達の統計と一致してて変な笑いが出ました(あくまでも当社比)。

□台湾ホラーならU-NEXTも熱い!

今回は、Netflixで現在配信中の作品からざっと紹介&感想を書いてみたけど、台湾ホラーならU-NEXTもなかなか充実してる。
映画館で観るのが怖くて……と見送った人も多そうな『哭悲』や、劇場公開中の『紅い服の少女』につながる『人面魚』、『返校 言葉が消えた日(映画版)』、『ゾンビファイトクラブ』等盛りだくさん。

科学万能の現代に、恐ろしいオバケと術師やおふだ、あと高確率で虫が同居する台湾ホラーの独特な雰囲気が私はとにかく大好きです。

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