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二次創作の字書きが自家製本をやってみた(作業工程ぜんぶ見せます)



初めての本づくり


下の記事に書いたように、私は昨年末まで二次創作(字書き)をしていました。そして本を出して、イベントや通販で販売しました。

プロフのとおり、私の仕事は出版系ですが、校正という裏方作業ですし、
自分でイチから本を作るのは初めてでした。
なので、いつも「このやり方でいいのかな~?💦」
試行錯誤しながらやってました(^_^;)

でも、いざ自分で本を作ってみて、
二次創作はたいへん良い勉強の場だと思いました。

PDFでの組版も、印刷所への発注ももちろん初めてだった私。
表紙はレーターさんにお願いして描いてもらってましたが、
タイトルデザインや表紙デザインは自分でやってました。

そんな私にとっての救世主は、親切な諸先輩方のサイトでした。
本当にわかりやすいサイトが多くて、こんな貴重な情報を無料で公開してくださってる方々に感謝しまくりでした。

創作自体も大事ですけど、二次創作の世界では
「本づくりのノウハウ」が一番読まれてるんじゃないかな?
だってジャンルに関係なく二次人類共通の悩みですから😅

で。
二次創作(小説)の1冊目は印刷所製本でデビューしたのですが、
2冊目からはなんと、自家製本で作ることにしました。
その理由はつぎのうちどれでしょう?

①自家製本の素晴らしいサイトを見て、自分もやってみたくなった
②印刷にかかるコストを削減しようと思った
③自家製本なら、在庫を調整できると思った

正解は…全部です(笑)

そして結論から言うと、②③は実際にそうなりました
印刷(製本)コストは印刷所に比べて半分になり、
在庫はイベントや通販分だけを用意すれば良く、
足りなくなったら補充(製本)する形になりました。

その話はまた別の項でしたいと思います。
今回は私がおこなった「自家製本」のやり方についてご紹介していきます😊


①製本前の準備


1.本文の体裁を整える

小説の執筆が終わったら、校正をします。これは印刷所製本でも同じですね。

私は校正が仕事なのですが、自分で小説を書くと間違いだらけで情けなくなってきます……😿 が、めげずに時間の許す限り間違いを正していきます。

このとき必ずやるのがプリントアウト校正です。
PC画面のチェックでは完璧と思っても、印刷するとまた必ずミスが見つかります。とくに行頭の一字アキや章タイトルのあとの行間の不統一、不必要なスペースなど、レイアウトのミスが多く見つかります。
それらに赤字を入れ、一つひとつPCで直していきます。

校正は丁寧にやるほど時間が驚くほどかかります。
イベントなどで急いでいる場合でも、できれば2~3日は時間をとりたいところです。

校正作業やレイアウト設定まで終わったら(ここまでは印刷所製本でも同じですね)プリンターで本文を印刷します。

2.本文を印刷する

本文用には一般の小説と同じく、クリームキンマリという少し黄味がかった用紙を専門店で購入しました。

ページ数が200ページを超えてくると、用紙の厚さは72.5㎏以下でないと、かなり厚く、めくりにくい本になってしまいます。

この本はA5で420ページもある超長編だったので67.5㎏を選びましたが、それでもかなり分厚く、重たくて、イベント会場で手に取ってくれた方に「お、おもっ!」とビックリされました💦

写真の用紙はペーパープラザさんで購入しました。ほかにはない薄い用紙を取り扱っているので、長編を製本するときは大変ありがたいです✨

ペーパーミツヤマさんは種類も豊富で、たびたび購入させていただきました✨

なお、本文はもちろん両面印刷で。ノンブルを頼りに、ページに抜けがないかもチェックします。
私は指サックを使い、紙を傷つけないように一冊一冊、全ページチェックしました。長編になるとかなりしんどい作業ですが、買ってくれるお客さんのことを考えたら外せない作業なので頑張りました。

3.厚紙で中表紙を印刷する

つぎは、本文をくるむ中表紙です。
私はMedibang(メディバン)で製作しました。

本文の厚さから求めた背幅も、メジャー機能のあるメディバンなら容易に設定できます。厚みのある本なら、背にタイトルを入れるのもいいでしょう。

中表紙に使う厚紙はおもにダイソーで買いました。とくにこの二つがお気に入り✨

一冊ごとに中表紙の色が違うのも自家製本ならでは(*^^*)
この上にカバーかけるので一見わからない隠し味✨

では、いよいよ製本作業に入っていきます。


②製本作業

1.道具の準備

まずは道具の準備です。私が使った道具は以下のものです。

見てのとおり、ほとんどが100円ショップで買えるもの、または元々家にあったものです。
カッターだけは厚いものでもスパッと切れる切れ味が良いものをアマゾンで、約500円で購入。おもに中表紙の厚紙を、断ち切り線で切るときに使いました。

これだけで、ちゃんと「無線綴じ」の本ができます。
では、作業工程をご紹介します。

2.本文の端をそろえてきっちり束ねる

印刷した本文をきっちり揃えます。

この作業をしっかりしておかないと、上下左右がバラバラの、見た目の悪い本になってしまいます。
逆に、この作業をしっかりしておくと、イベントで「これは自家製本なんです」と説明しても信じてもらえないほど(笑)綺麗な仕上がりになります。

紙をまとめたら、小口側をクリップで留めておきます。

3.背に切り込みを入れる

本のサイズにもよりますが、背の部分に2センチおきに深さ5ミリほどの切り込みを入れます。この切り込み(溝)にボンドを塗ることでページ同士がくっつき、無線綴じの本になります。

「切り込み入れ」に使うのは、上の写真で左端にある段ボールカッターです。ギザギザカッターがちょうどノコギリのように紙に食い込み、力を入れずに何度か引くだけで、しっかりと切り込みを入れられます。

4.背にボンドを塗る

背にボンドを塗っていきます。
使うのは木工用ボンドと液体のり、歯ブラシです。ボンドだけだと塗りづらいのと、乾いたときに硬くなってしまうので、潤滑油の役割としてのりをプラスします。

点々とつけたボンドを、歯ブラシでまんべんなく塗っていきます

このとき、歯ブラシでグリグリと背を割って、ページとページの間にもボンドを塗っていくことで、あとで「ちゃんとくっついていないぺージがあった!」というトラブルを防げます。

5.背をクリップで留める。おもしをして乾くまで放置

背全体にボンドを塗り終わったら、強固なクリップで留めます。

平らな場所に置き、辞書などでおもしをします。ボンドが乾くまで、数時間放置します。

6.ボンドが乾いたら、本をめくったり軽く振ったりして、落丁しない(ページが落ちない)かを確認する

これも「本文印刷後の確認」と同じく、一冊ずつ全ての本で確認しましょう。ここで見落としがあると、購買者様に迷惑をかけることになります。

7.印刷しておいた中表紙の背の左右に両面テープを貼り、本の見返しにしっかり貼り付ける

図の青枠部分に両面テープを貼りつけます。
上の写真には入っていませんが、両面テープは100円均一で買える「強力テープ」で十分です。

両面テープのはく離紙を剥がし、本と中表紙の端を合わせてくっつけます。指に圧をかけて、しっかりくっつけましょう。

これで無線綴じの本が出来上がりました\(^o^)/

8.カバーを巻く

私の大好きな作業です💕

カバーだけは印刷所にお願いしていました。
PP加工がデフォルトで格安の「おたくらぶ」さんへの依頼が一番多かったです。

カバーもメディバンで作っていました。各印刷所にテンプレートが用意されているので、それをメディバンに落とし込み、表紙と裏表紙をレイヤーとして合体させていくだけでOKです✨
折り返し部分は白いままにしておきます。

最後にテンプレートのレイヤーを消して、png形式で保存します(入稿形式は印刷所によって違いますので、確認してください)。

印刷所に入稿する前に、以下をしっかりチェックします。

・イラストが規定の位置に収まっているか
・塗り足しが足りているか
・印刷所指定の解像度(多くは350dpi)になっているか

なんて偉そうに忠告してますけど……もうね、私は何度失敗したかわかりません(^_^;) 
ほんっとーに印刷所様に申しわけない💦 カバーしか頼まないのに手間ばかりかけさせて、ほんっと―にやな客だったと思います…😓
このページをご覧になった方は、どうか私の二の舞を演じないでくださいね!


まとめ


いかがでしたか?
自家製本のキャリアもそんなに多くないため、
あまり上手な説明にはなっていなかったかもしれませんが、
少しでも参考になる部分があったなら、とても嬉しいです💕

じつは、最初に自家製本した本は、初動はそうでもなかったんですが、その後じわ売れで3桁出たりもしたので、トータルではかなりの重労働でした😅

おかげさまで、その後も頒布量がガクンと落ち込むことはなく、新刊を出すたびにプリンターをこき使うことに。なのでインク代はけっこう嵩みました💦

それでも印刷所で刷るよりは安く済みました。労働力のことを考えれば、けっしてコスパ良しとは言えないけど、丹精込めて一冊一冊作り上げていく充実感があるし、何より自作への愛着が格段に増します💕

もしわからないことや、もっと知りたいことがありましたらコメントください。お答えできる範囲でお返事させていただきます✨

これからも楽しい創作活動を!😊

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二次創作の世界で見聞きした出来事を小説にしました。
ぜひご高覧のほどを!(アカウントは別です)




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